「祖母から譲り受けた着物があるけれど、着る機会がない」「処分するのはもったいない」と悩んでいませんか?大切な着物を手放すなら、少しでも納得できる価格で次の持ち主に引き継ぎたいですよね。
実は、着物買取を依頼する前に、ちょっとした準備をしておくだけで査定の結果が変わることがあるんです。難しい専門知識は必要ありません。この記事では、査定額がプラスになる条件と、誰でもすぐにできる準備についてお話しします。
着物の査定額が決まるポイントとは?
着物の査定と聞くと「古いものは安い」「新しいものは高い」と単純に考えてしまいがちです。しかし実際には、作られた年代だけでなく、今の時代に「着たい」と思う人がいるかどうかが大きく関わってきます。
市場の需要こそが、価格を決める一番の理由なんです。どのような視点で価値が決まるのか、まずはその仕組みを少しだけ覗いてみましょう。
1. そもそも着物の価値はどう判断されるのか
着物の価値は、素材や作家の知名度といった「品質」と、色や柄の「流行」の掛け合わせで決まります。たとえ高価な着物でも、現代の感覚で着にくいデザインだと評価が伸び悩むことがあるのです。
逆に、無名な作家のものであっても、モダンな柄や使いやすい色合いであれば意外な値段がつくこともあります。今のトレンドに合っているかどうかも、大切なポイントなんですね。
2. 「高価買取」になりやすい着物の共通点
高く評価される着物には、いくつかの共通点があります。最も分かりやすいのは「保存状態が良いこと」と「サイズが十分に大きいこと」です。
具体的な特徴
- シミや汚れが目立たない
- 現代女性の身長に合うサイズ(身丈160cm以上など)
- 正絹(シルク)素材である
- 証紙や付属品が揃っている
これらが揃っていると、再販しやすいため査定額も上がりやすくなります。特にサイズは、後から大きくすることが難しいため重要視される傾向にあります。
3. 古い着物でも値段がつくケースはあるのか
「何十年も前の古い着物だから」と諦めるのはまだ早いです。明治や大正時代の着物は「アンティーク着物」として、独特のデザインが若者や海外の方に人気があります。
古いからこそ出せる色合いや、現代では再現できない職人技が詰まっているものも少なくありません。古さそのものが「価値」として評価されることもあるので、自己判断で捨てないことが大切です。
素材が正絹(シルク)であること
着物の素材には様々な種類がありますが、買取において圧倒的に有利なのは「正絹(しょうけん)」です。絹特有の光沢や肌触りの良さは、他の素材では代えがたい魅力があります。
ご自宅の着物がどんな素材でできているか、まずは確認してみましょう。それだけで、ある程度の期待値が見えてくるかもしれません。
1. 化学繊維やウールとの査定額の違い
ポリエステルなどの化学繊維やウールは、手軽に着られる反面、中古市場での需要は低めです。新品でも比較的安価で手に入るため、買取価格がつかないこともしばしばあります。
素材による需要の違い
- 正絹:需要が高く、買取の対象になりやすい
- 木綿・麻:上布(じょうふ)などの高級品は高値がつくことも
- ウール・化繊:値段がつきにくい、またはまとめて数百円程度
このように、素材によってスタートラインが大きく異なることを知っておくと、心の準備ができますね。
2. 手触りで見分ける簡単なチェック方法
「タグがないから素材が分からない」という場合でも、手触りである程度の判別が可能です。正絹はしっとりとしていて、肌に吸い付くような滑らかさがあります。
一方、ポリエステルはツルツルとしていて少し冷たい感触があり、ウールは少しざらつきを感じることが多いです。生地を擦り合わせた時の「衣擦れ(きぬずれ)」の音も、絹ならではの特徴ですよ。
3. 正絹でも重さや織り方で価値が変わる理由
同じ絹でも、ずっしりと重みのある「縮緬(ちりめん)」や、軽くしなやかな「羽二重(はぶたえ)」など様々なタイプがあります。一般的に、生地がしっかりとしていて重みがあるものは、多くの絹糸を使っているため贅沢な品とされます。
また、織り方によっても格が変わります。手間暇かけて織られた着物は、それだけ丈夫で長く着られるため、評価も高くなる傾向にあるのです。
証紙や付属品が揃っているか
着物を購入した時に付いてくる「証紙(しょうし)」は、いわば着物の身分証明書のようなものです。これがあるのとないのとでは、査定額に大きな差が出ることがあります。
タンスの奥にしまい込んでいないか、着物とセットで保管されているか、今一度チェックしてみてください。
1. 着物の品質を保証する「証紙」の重要性
証紙には、産地や織元、使われている糸の質などが記載されています。特に「大島紬」や「結城紬」などの有名産地の着物の場合、証紙が本物の証明になります。
査定員にとっても、証紙は品質を判断する確実な材料になります。これが一枚あるだけで、査定の信頼度がグッと上がり、スムーズに価値を認めてもらえるようになるのです。
2. 証紙がない場合はどう評価されるのか
もし証紙を紛失してしまっても、買取自体は可能です。経験豊富な査定員であれば、生地の質感や織りの特徴から産地や価値を見極めることができます。
ただ、証明書がない分、どうしても「確証がない」として査定額が控えめになることは否めません。少しでも高く評価してもらうために、購入時の情報を覚えている範囲で伝えるのも一つの手です。
3. 箱や予備の布(端切れ)も一緒に残しておく理由
着物を仕立てた時に余った布(端切れ)も、実は大切な付属品です。万が一着物が破れた時の補修に使えますし、素材を確認するサンプルにもなります。
付属品リスト
- 共箱(ともばこ):作家名などが書かれた木箱
- 端切れ:仕立ての残布
- 草履やバッグ:セットで購入したもの
これらが揃っていると「大切に扱われてきた」という印象を与え、プラス査定に繋がることがあります。
シミや汚れが少ない状態の良さ
次の人が気持ちよく着られるかどうかは、見た目の清潔感に直結します。どんなに良い着物でも、目立つ汚れがあると再販が難しくなってしまうからです。
査定に出す前に、着物を広げて全体の状態をチェックしてみましょう。特に汚れやすいポイントを知っておくと、確認がスムーズになりますよ。
1. 襟元や袖口の汚れは査定にどう響くか
着物を着た時に肌が触れる「襟元」や「袖口」は、ファンデーションや皮脂汚れが付きやすい場所です。ここは査定員が真っ先にチェックするポイントでもあります。
薄い汚れならクリーニングで落ちることもありますが、変色してしまった古いシミは減額の対象になりやすいです。とはいえ、無理にこすって生地を傷めるよりは、そのまま見てもらう方が安全です。
2. カビの有無とニオイのチェックポイント
長期間タンスにしまいっぱなしにしていると、湿気でカビが生えてしまうことがあります。白い点々のようなカビはもちろん、独特のカビ臭さも査定に影響します。
また、防虫剤のニオイが強すぎる場合も注意が必要です。風通しの良い場所で陰干しをして、ニオイを少しでも飛ばしておくだけで印象はずいぶん変わりますよ。
3. 長期間保管していた着物のシワの状態
畳んだまま何年も放置していると、折り目に深いシワがついてしまいます。特に重みのある着物は、折り目がくっきりと残り、生地が弱くなっていることもあります。
ひどいシワはプレス加工が必要になるため、マイナス査定の要因になります。定期的に虫干しをして空気に触れさせることは、着物の寿命を延ばすためにも大切なんですね。
丈が長くサイズが大きいもの
現代人の体格は、昔に比べて手足が長く、身長も高くなっています。そのため、中古市場では「大きめのサイズ」の着物が圧倒的に人気があります。
「大は小を兼ねる」という言葉通り、着物の世界でもサイズは重要な価値基準の一つなのです。
1. 昔の着物が「小さい」と査定が下がる理由
明治や昭和初期の女性は小柄だったため、昔の着物は丈(身丈)や袖の長さ(裄丈)が短いものがほとんどです。今の人が着ようとすると、手首や足首が出てしまい、美しく着こなせません。
どれだけ素晴らしい柄や素材でも、着られる人が限られてしまうと、どうしても需要は下がってしまいます。これが、古い着物の値が付きにくい大きな理由の一つです。
2. 仕立て直しができるサイズ感の目安
着物は仕立て直してサイズ調整ができる衣服ですが、それにも限界があります。布の余り(縫い代)が十分にないと、大きく作り直すことができません。
一般的に、身丈が160cm以上、裄丈が65cm以上あると、多くの現代女性がそのまま、あるいは少しの調整で着ることができます。このサイズ感を目安にしてみてください。
3. 高身長の方向けの着物が需要が高いわけ
身長が165cm以上ある方向けの着物は、新品市場でも数が少なく、中古市場でも常に品薄状態です。そのため、トールサイズの着物はそれだけで希少価値があります。
もしご自身の身長が高く、それに合わせて仕立てた着物であれば、予想以上の高値がつく可能性があります。「大きいから邪魔」なんて思わずに、自信を持って査定に出しましょう。
有名産地や作家の着物であること
着物にも、ブランド品と同じように「ネームバリュー」が存在します。伝統的な技法で作られたものや、著名な作家が手掛けた作品は、美術品としての価値も加わります。
もし譲り受けた着物の中にこうした一品が紛れていたら、それは宝物かもしれません。
1. 伝統工芸品(友禅・紬など)の評価基準
日本各地には、その土地ならではの技法で作られた「伝統的工芸品」があります。例えば、石川県の「加賀友禅」や鹿児島県の「大島紬」などは特に有名です。
これらは国の基準を満たした伝統工芸品として、非常に高い評価を受けます。手間暇のかかり具合が量産品とは桁違いなため、中古であっても高値で取引されることが多いのです。
2. 人間国宝や有名作家の作品である場合
重要無形文化財保持者(人間国宝)や、有名な着物作家が手掛けた着物は、もはや「着る芸術」です。作家のファンやコレクターが存在するため、需要が安定しています。
「北村武資」や「羽田登喜男」といった名前を聞いたことはありませんか?作家物はデザインにも個性があり、一目でそれと分かる存在感を放っています。
3. 落款(らっかん)の有無を確認する場所
作家物かどうかを見分ける一番の手がかりが「落款」です。これは作家のサインのようなもので、着物の「衽(おくみ)」という部分や、襟先の下の方に刻印されています。
小さな印ですが、これがあるだけで査定額が数倍になることも珍しくありません。隅々までチェックして、四角や丸い印がないか探してみてください。
クリーニングは出すべき?出しちゃダメ?
「汚れているから、きれいにしてから売ろう」と考えるのは自然なことです。しかし、着物買取においては、その親切心が裏目に出ることがあります。
良かれと思ってやったことが損にならないよう、クリーニングの判断は慎重に行いましょう。
1. 査定前にクリーニングをしないほうが良い理由
結論から言うと、査定前のクリーニングはおすすめしません。着物のクリーニング代は高額で、数千円から一万円以上かかることもありますが、その分だけ査定額が上がるとは限らないからです。
「3000円かけてクリーニングしたのに、査定アップは500円だった」というケースはよくあります。また、慣れない手入れで生地を傷めてしまうリスクも避けるべきです。
2. 自分でできる簡単なお手入れと陰干し
お金をかけず、自宅でできる範囲のお手入れで十分です。まずは、着物ハンガーにかけて、直射日光の当たらない風通しの良い場所で半日ほど干しましょう。
これだけで、湿気やタンスのニオイをある程度取ることができます。あとは、柔らかい布でホコリを優しく払う程度で構いません。
3. 頑固な汚れがある場合の対処法
もし目立つシミや汚れがあっても、無理に落とそうとしないでください。ベンジンなどで擦ると、輪ジミになって余計に目立ってしまうことがあります。
査定の際に「ここにシミがあります」と正直に伝えるだけで大丈夫です。プロの業者は独自のクリーニングルートを持っていることが多いので、そのままの状態でお任せしましょう。
たとう紙の状態とたたみ方の確認
着物を包んでいる和紙のことを「たとう紙(文庫紙)」と言います。中身の着物が主役とはいえ、この包み紙の状態も査定員の第一印象を左右します。
少しの手間で「大切に扱われてきた着物だ」というメッセージを伝えることができますよ。
1. 古いたとう紙は交換したほうが良いのか
たとう紙が茶色く変色していたり、斑点状のシミが出ていたりしませんか?劣化したたとう紙を使い続けると、そのシミが着物に移ってしまう可能性があります。
もし家に新しいたとう紙の予備があれば、交換しておくとベストです。なければ、破れてボロボロの状態よりは、外して着物だけをきれいに畳んでおく方が印象が良い場合もあります。
2. 査定員に見せる前のきれいなたたみ方
着物がぐちゃぐちゃに詰め込まれているのと、シワなくピシッと畳まれているのとでは、受ける印象が全く違います。「本畳み(ほんだたみ)」という基本の畳み方をしておきましょう。
縫い目に沿って正しく畳めば、余計なシワも防げます。YouTubeなどの動画を見ながらやれば、初めての方でも意外と簡単にきれいに畳めますよ。
3. 帯や小物類とセットにしておくメリット
着物単体で売るよりも、それに合わせた帯や帯締め、帯揚げなどをセットにすると喜ばれます。「すぐに着られるコーディネート」として再販しやすくなるからです。
セットにするメリット
- コーディネートの手間が省けるため需要がある
- 単品では値段が付きにくい小物も評価してもらえる
- まとめて売ることで「おまとめ査定」として金額アップが狙える
もしセットの組み合わせが分からなければ、まとめて風呂敷に包んでおくだけでも十分です。
売るタイミングはいつがベスト?
「いつか着るかもしれない」と迷っているうちに、数年が経ってしまった…ということはありませんか?実は、着物を売るのに最適なタイミングというものがあります。
市場の動向と、着物自体のコンディションの両面から考えてみましょう。
1. 着物の需要が高まる季節はあるのか
基本的には一年中需要がありますが、強いて言えば、成人式や卒業式、入学式シーズンの少し前(12月〜3月頃)は需要が高まります。
しかし、最近は海外からの観光客によるレンタル需要や、リメイク素材としての需要も増えています。そのため、季節を気にしすぎて売り時を逃すよりは、思い立った時に動くのが正解です。
2. 「着ない」と思ったその時が売り時の理由
「もう着ないかな」とふと思ったその瞬間が、実は一番の売り時です。なぜなら、着物は保管している間も、空気中の湿気や酸化によって、少しずつですが確実に劣化していくからです。
今日が、あなたの着物にとって一番状態が良い日です。迷っている間にも価値が下がってしまう可能性があることを覚えておいてください。
3. 経年劣化が進む前に手放す決断の大切さ
絹は生き物のようなものです。どんなに丁寧に保管していても、経年による黄ばみや生地の弱りは避けられません。「いつか」を待っているうちに、シミが出て着られなくなっては元も子もありませんよね。
きれいな状態のうちに手放すことは、着物にとっても、次の持ち主にとっても幸せなことです。早めの決断が、結果的に高い査定額に繋がります。
自分に合った買取方法の選び方
着物買取には、大きく分けて3つの方法があります。それぞれの生活スタイルや、売りたい着物の量に合わせて選ぶことが、ストレスなく売却するコツです。
無理のない方法を選んで、スムーズに取引を進めましょう。
1. 自宅に来てもらう出張買取の流れ
着物が大量にある場合や、高価な着物を持ち出すのが不安な場合におすすめです。査定員が玄関先まで来てくれるので、重い着物を運ぶ必要がありません。
その場で査定し、現金で支払われることが多いのも魅力です。目の前で査定してもらえるので、疑問点があればその場で質問して納得することができます。
2. 箱に詰めて送る宅配買取の手軽さ
「人を家に入れるのは抵抗がある」「忙しくて時間が取れない」という方にぴったりです。業者から送られてくる段ボールに着物を詰めて送るだけなので、自分のペースで進められます。
対面でのやり取りがない分、気楽ですが、査定結果が出るまでに数日かかることや、キャンセル時の返送料がかかる場合がある点には注意が必要です。
3. お店に持ち込む店頭買取のメリット
近くに店舗があるなら、買い物ついでに持ち込むのも良いでしょう。「今日中に売りたい」「すぐに現金化したい」というスピード重視の方に向いています。
ただ、着物は意外と重いので、枚数が多いと運ぶのが大変です。また、専門の査定員が不在だと預かりになることもあるので、事前に予約をしておくと安心ですね。
まとめ:大切な着物を気持ちよく手放すために
着物の査定額は、素材や状態といった「品質」だけでなく、事前の「準備」によっても変わる可能性があります。最後に、今回お伝えしたポイントを振り返ってみましょう。
まず、正絹などの良い素材や証紙があることは大きなプラス要素です。そして、何よりも大切なのは「現状のまま、きれいに畳んで見せる」こと。無理なクリーニングは避け、陰干しでニオイを取るくらいのお手入れで十分です。
着物は、タンスに眠らせておくよりも、誰かに着てもらうことで本来の輝きを取り戻します。「今までありがとう」という気持ちを込めて送り出せば、きっと良い形で次の持ち主へと受け継がれていくはずです。まずは無料査定を利用して、あなたの着物の価値を確かめてみてはいかがでしょうか。
