着物の雨対策まとめ!雨コートや草履カバーなどおすすめグッズを紹介!

「せっかく着物を着てお出かけする予定なのに、天気予報が雨マーク……」

そんな時、心が折れそうになりませんか?高価な着物が濡れてしまわないか、泥はねで汚れてしまわないか、不安になるのは当然のことです。

でも、諦める必要はありません!しっかりとした着物の雨対策を行えば、雨の日でも快適にお出かけを楽しむことができます。この記事では、着物好きなら知っておきたい必須アイテムから、着物の雨対策に役立つ歩き方のコツまでを詳しくご紹介します。

目次

着物に雨対策が必要な理由と気をつけるべきポイント

着物を着る上で、なぜここまで「水濡れ」を警戒するのか、その理由を改めて整理してみましょう。洋服感覚で少し濡れても大丈夫と思っていると、後で取り返しのつかないことになるかもしれません。

1. 水に弱い正絹(シルク)と縮みのリスク

多くの着物に使われている「正絹(しょうけん)」という素材は、水に非常に弱いという性質を持っています。水に濡れると繊維が縮んでしまい、裏地と表地のサイズが合わなくなる「袋入り」という状態になることがあります。

また、濡れた部分が乾いた後に輪っかのようなシミになる「雨シミ」も厄介です。一度縮んだりシミになったりした正絹を元に戻すには、プロによる「洗い張り」や「シミ抜き」が必要になり、時間も費用もかかります。

2. クリーニング代が高額になりやすい泥はね汚れ

雨そのものよりも怖いのが、地面からの跳ね返りによる「泥はね」です。道路のアスファルトや土に含まれる汚れは粒子が細かく、繊維の奥に入り込むとなかなか落ちません。

特に薄い色の着物の場合、裾に黒い点々がつくと非常に目立ちます。特殊なクリーニングが必要になり、数万円単位の出費になることもあるため、事前の防御が何よりも大切なのです。

着物用雨コートの種類と自分に合う選び方

着物を守るための鎧とも言えるのが「雨コート」ですが、実は大きく分けて2つのタイプがあるのをご存知でしょうか?それぞれの特徴を知って、自分のライフスタイルに合うものを選びましょう。

1. 脱ぎ着が楽な「ワンピース(一部式)」タイプの特徴

ワンピースタイプは、その名の通り上から下まで繋がっているコートです。羽織って紐を結ぶだけで着付けが完了するため、急な雨の時でもサッと対応できるのが最大の魅力です。

初心者の方や、出先での着脱をスムーズに済ませたい方にはこのタイプがおすすめです。ただし、既製品の場合は着丈が決まっているため、自分の身長に合ったサイズを慎重に選ぶ必要があります。

2. 丈の調節ができて汎用性が高い「二部式」タイプの特徴

二部式(にぶしき)は、上半身のジャケット部分と、下半身の巻きスカート部分が分かれているタイプです。スカートの位置を調整することで丈の長さを変えられるため、身長を気にせず着ることができます。

また、小雨の時は下のスカートだけを巻いて「雨除け」として使うなど、状況に応じた使い分けが可能です。着付けに少し手間はかかりますが、汎用性の高さでは二部式に軍配が上がります。

3. TPOに合わせて選ぶ素材と透け感の違い

雨コートにもフォーマルとカジュアルの概念があります。結婚式やお茶会などのフォーマルな場には、光沢があり高級感のある素材や、無地のものが適しています。

一方、夏場や単衣の時期には、紗(しゃ)などの透け感のある素材を選ぶと見た目も涼やかです。季節や行き先に合わせてコートを選ぶのも、着物のおしゃれの楽しみ方の一つと言えるでしょう。

タイプメリットデメリットおすすめの人
ワンピース着脱が簡単・素早く着られる丈の調整が難しい初心者・手間を省きたい人
二部式丈調整が可能・用途が広い着るのに少し時間がかかる身長が高い/低い人・応用したい人

足元の雨対策に欠かせない草履カバーと雨草履

着物本体と同じくらい、あるいはそれ以上にダメージを受けやすいのが足元です。普通の草履で雨の中を歩くと、底から水が染み込んで台無しになってしまうことがあります。

1. 手持ちの草履を守る「草履カバー」のメリット

晴れの日用の草履にかぶせて使う透明なカバーで、急な雨対策として非常に優秀です。バッグに入れて持ち運べるため、「降るかどうかわからない」という日に一つ持っておくと安心感が違います。

底面まで覆うタイプなら、草履の裏からの浸水もある程度防げます。安価で手に入るため、まずはこれから揃えてみるのが良いでしょう。

2. 底からの浸水を防ぐ「雨草履(時雨履き)」の実力

雨の日専用に作られた「雨草履(時雨履き)」は、つま先部分に透明なカバー(爪皮)が初めから付いています。水が入らない構造になっているため、防御力は最強クラスです。

梅雨の時期や、一日中雨予報の日にお出かけする場合は、迷わず雨草履を選ぶべきです。デザインも豊富になっているので、雨の日コーデの主役にもなります。

3. 滑り止め付きのウレタンソールを選ぶ重要性

雨の日の駅の構内やタイルの上は、革底の草履だとスケートリンクのように滑ります。これは本当に危険なので、雨用の履物は底がゴムやウレタン素材のものを選びましょう。

ウレタン草履は水に強く、滑りにくいのが特徴です。比較的安価なものが多いため、雨の日兼普段履きとして一足用意しておくと重宝します。

足袋を濡らさないための防水アイテムと工夫

足袋が雨で濡れると、不快なだけでなく冷えの原因にもなります。真っ白な足袋を泥水から守るために、ここでも一工夫しておきましょう。

1. 水を弾く「撥水足袋」や「足袋カバー」の活用

最初から撥水加工が施された足袋や、普通の足袋の上から履く「足袋カバー」があります。足袋カバーは伸縮性のあるナイロン製が多く、靴下のように重ね履きするだけなので簡単です。

道中はカバーをつけておき、会場に着いたらサッと脱げば、真っ白で綺麗な足袋で過ごせます。汚れ防止としても優秀なので、雨の日以外でも使えます。

2. 予備の足袋を持ち歩くべき理由

どんなに対策をしていても、強風や激しい雨で濡れてしまうことはあります。そんな時のために、替えの足袋を一足バッグに忍ばせておきましょう。

濡れた足袋を履き替えた瞬間の爽快感は、何物にも代えがたいものがあります。エチケットとしても、予備を持っておくのは大人の嗜みと言えるかもしれません。

傘やクリップなど持っていると便利な雨対策グッズ

コートや履物以外にも、持っていると劇的に快適度が上がるグッズがあります。これらは「あったら便利」ではなく、雨の日着物の「必需品」と考えて良いでしょう。

1. 着物をすっぽり覆える大判サイズの雨傘

洋服の時と同じ小さな傘では、帯(お太鼓)が濡れてしまいます。着物の時は、直径が大きめの傘や、骨の数が多い丈夫な傘を選びましょう。

特に「16本骨」などの傘は円形に近く、背中の帯まですっぽりとカバーしてくれます。和傘のようなデザインのものを選べば、雨の日の雰囲気をさらに盛り上げてくれるはずです。

2. 裾をまくり上げて固定する「着物クリップ」

雨コートを着る際、着物の裾をまくり上げて帯に固定するために使います。洗濯バサミでは挟む力が弱かったり、生地を傷めたりする恐れがあるため、専用の「着物クリップ」を使いましょう。

大サイズを2〜3個持っておくと安心です。トイレの際にも役立つので、雨の日以外でもバッグに入れておきたいアイテムです。

3. バッグや荷物を守るための「撥水風呂敷」

意外と見落としがちなのがバッグの雨対策です。撥水加工された風呂敷が一枚あれば、バッグを包んで雨から守ったり、肌寒い時にショール代わりに羽織ったりと大活躍します。

使わない時は小さく畳めるので、荷物になりません。最近はデザイン性の高い撥水風呂敷がたくさん販売されています。

  • 着物クリップ(大):2〜3個
  • 大判の雨傘:直径60cm以上推奨
  • 撥水風呂敷:70cm〜90cmサイズが使いやすい

泥はねを防ぐための着物での歩き方テクニック

道具が揃ったら、次は「歩き方」です。実は、歩き方を少し意識するだけで、裾への泥はねを大幅に減らすことができるのです。

1. つま先を内側に向けて歩幅を小さくするコツ

泥はねは、かかとが上がった時に地面の水を蹴り上げることで起こります。これを防ぐには、極端な内股(うちまた)気味に歩き、つま先を内側に向けるのがポイントです。

そして、歩幅を普段の半分くらいに小さくしてみてください。ちょこちょこと歩くことで、水が跳ね上がる勢いを抑えることができます。

2. 階段や段差で注意すべき足の運び方

階段を上る時は、前の裾を少し持ち上げないと踏んでしまう危険があります。逆に下りる時は、後ろの裾が階段に触れて汚れる可能性があります。

雨の日の階段は特に慎重に、裾を軽く手で押さえながら移動しましょう。エレベーターがある場合は、無理せずそちらを使うのが賢明です。

雨コートの下で裾を汚さないための準備手順

雨コートをただ羽織るだけでは不十分です。コートの中で着物の裾が地面につかないよう、しっかりと持ち上げておく必要があります。

1. クリップを使って着物の裾を帯に挟む方法

まず、着物の上前(うわまえ)と下前(したまえ)の裾を持ち上げます。帯の下線あたりまでガバッと上げたら、先ほど紹介した着物クリップで帯に留めてしまいましょう。

一見すると驚くような格好になりますが、その上から雨コートを着てしまえば誰にも見えません。「中は大胆に、外は涼しく」が雨の日着物の鉄則です。

2. 長襦袢も一緒に持ち上げるかどうかの判断基準

基本的には長襦袢も一緒に持ち上げて留めるのが安心です。ただ、二部式の雨コートなどを使う場合は、長襦袢だけ下ろしておき、裾除け代わりにするという手もあります。

長襦袢がポリエステルなどの洗える素材であれば、最悪濡れても洗濯機へ入れれば済みます。自分の着ている素材に合わせて判断してみてください。

  1. 着物の上前・下前をまとめて持ち上げる。
  2. 帯の位置でクリップで留める(背中心と脇の2〜3箇所)。
  3. その上から雨コートを羽織り、裾がコートから出ていないか確認する。

雨の日でも安心して着られる着物の素材選び

もしこれから着る着物を選べる状況なら、「濡れても大丈夫な素材」を選ぶのが一番のストレスフリー対策です。雨予報の日は、あえて正絹を避けるという選択肢を持ちましょう。

1. 洗濯機で洗える「ポリエステル着物」の強み

最近のポリエステル着物は進化しており、一見すると正絹と見分けがつかないような高品質なものも増えています。何より「自宅で洗える」という安心感は絶大です。

雨に濡れても泥がついても、帰ってネットに入れて洗濯機へポン。これなら雨の日のお出かけも億劫になりません。

2. 雨に強いとされる「大島紬」の特徴と注意点

伝統的な織物である「大島紬(おおしまつむぎ)」は、泥染めという工程を経ているため、比較的雨に強いと言われています。水が染み込みにくく、サラッとした着心地が特徴です。

しかし、あくまで正絹であることに変わりはありません。絶対に縮まないわけではないので、やはり雨コートなどの対策は必要です。「他の正絹よりは少しマシ」程度に考えておきましょう。

雨コートがない場合の代用品と急な雨への応急処置

「出先で急に降られた!」「雨コートを持っていない!」そんな絶体絶命のピンチを乗り切るためのアイデアをご紹介します。

1. 大判のショールやポンチョを使った一時的なガード

洋服用の大判ストールやショールがあれば、帯周りを中心に羽織ってください。帯は着物の中でも特に濡らしたくない部分ですし、後姿の汚れを防げます。

最近のレインポンチョは袖口が広いものもあり、着物の上から羽織れる場合もあります。コンビニなどで手に入る簡易的なカッパも、なりふり構っていられない時は強い味方になります。

2. 水濡れした際のタオルドライと帰宅後のケア手順

もし濡れてしまったら、絶対にこすってはいけません。乾いたタオルやハンカチで、上から優しく押さえるようにして水分を吸い取ります。

帰宅後はすぐにハンガーにかけ、風通しの良い場所で陰干ししてください。それでもシミや縮みが気になる場合は、早めに専門のクリーニング店に相談しましょう。自分でアイロンをかけるのはリスクが高いので避けてください。

まとめ

着物の雨対策について、グッズの選び方から実践的なテクニックまでご紹介しました。雨の日は憂鬱になりがちですが、準備さえしておけば、普段通りに着物を楽しむことができます。

「雨コートを着る練習ができる」「お気に入りの雨草履を履くチャンス」と前向きに捉えてみてください。まずは足元の対策と、着物クリップの準備から始めてみましょう。雨音を聞きながら、しっとりとした着物姿で歩くのも、また乙なものですよ。

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