「実家のタンスを整理していたら、古いウール着物が出てきた」なんて経験はありませんか?柄はレトロで可愛いけれど、広げてみると虫食いの穴がちらほら見つかることも多いですよね。
捨ててしまうのはもったいないけれど、着物として着るにはちょっと勇気がいるかもしれません。そんなときは、思い切ってスカートやチュニックにリメイクしてみるのはいかがでしょうか。
実はウール着物は、洋服にリメイクするのにとても適した素材なんです。今回は、虫食いがあっても可愛く蘇らせる方法を、初心者の方にも分かりやすくお話ししますね。
虫食いのあるウール着物がリメイクに向いている理由
着物というと「絹(シルク)」をイメージする方が多いかもしれませんが、普段着として愛されたウールには独特の魅力があります。リメイク素材として優秀な理由を知ると、ハサミを入れるのが楽しみになってくるはずですよ。
1. 普段着として気兼ねなく楽しめる丈夫さ
ウールの着物は、もともと昭和の時代に普段着として流行したものです。そのため、絹の着物に比べて生地が丈夫で、多少の水濡れや汚れにも強いという特徴があります。
洋服に仕立て直した後も、特別なお手入れを気にせずデイリーに着回せるのは嬉しいポイントですよね。お家でのお洗濯も、コツさえ掴めば難しくありません。
2. 虫食い部分は避けて裁断できる生地の広さ
「穴が開いているのに使えるの?」と心配になるかもしれませんが、着物の生地は意外と長いんです。一反(着物一着分)はおよそ12メートルもの長さがあります。
スカートやチュニックを作る場合、必要な生地の量は着物全体の半分から3分の2程度で済むことが多いです。そのため、虫食いのある箇所をうまく避けて裁断すれば、きれいな部分だけで十分に洋服が作れます。
3. 温かみのある素材感が冬のスカートやチュニックに合う
ウール特有のふっくらとした厚みと温かさは、冬のアイテムにぴったりです。特に昔の着物は、現代の洋服生地にはないレトロで大胆な柄が多く、仕立てるとパッと目を引く素敵な一着になります。
シンプルなニットに合わせるだけで、どこか懐かしくて新しいコーディネートが完成しますよ。
リメイク前に知っておきたいウール着物の洗い方
ハサミを入れる前に、まずは着物をきれいに洗いましょう。長年タンスに入っていた着物は、ホコリや防虫剤のにおいを吸っていることがあるからです。
また、ウールは水に通すと縮む性質があるため、縫う前に一度洗って縮ませておく「水通し」の意味もあります。これを済ませておけば、完成した後に洗濯しても型崩れしにくくなります。
1. 自宅の洗濯機でおしゃれ着洗いをする手順
クリーニングに出さなくても、ご自宅の洗濯機で十分に洗えます。ポイントは、強い摩擦を避けて優しく洗うことです。
- 着物を袖だたみにする
- 大きめの洗濯ネットに入れる
- おしゃれ着洗い用の中性洗剤を使う
- ドライコース(または手洗いコース)を選ぶ
脱水は長すぎるとシワの原因になるので、1分以内の短めに設定するのがおすすめです。
2. 縮みや型崩れを防ぐ干し方のコツ
脱水が終わったら、すぐに取り出して形を整えましょう。濡れたウール着物は重みがあるので、ハンガー一本にかけると肩の部分が伸びてしまうことがあります。
物干し竿に袖を通すようにして、着物全体を広げて干す「竿通し」がベストです。もし場所がない場合は、複数のハンガーを使って重さを分散させるように工夫してみてください。
3. アイロンがけで生地を整える大切さ
半乾き、または乾いた後にアイロンをかけると、生地の目が整って裁断しやすくなります。このひと手間で、仕上がりのきれいさがぐっと変わってきますよ。
ウールは熱に弱い場合があるので、必ず当て布をして中温でかけるようにしましょう。スチームをたっぷり当てると、ふっくらとした風合いが戻ります。
目立つ虫食い穴を上手に隠すアイデア
どうしても避けられない場所に虫食い穴がある場合でも、諦める必要はありません。ちょっとした工夫で、穴を隠すどころかデザインの一部に変えてしまうことができます。
「ここをどう隠そうかな?」と考える時間も、リメイクならではの楽しさかもしれませんね。
1. 穴の空いた部分を避けて型紙を配置する
まずは基本の対処法として、型紙を置く位置を調整してみましょう。着物の生地幅(約36cm)の中で、穴の位置を確認しながらパズルのように配置を考えます。
縫い代(縫い合わせる部分)に入りそうな場所なら、そのままでも大丈夫です。表に見える場所に穴が来る場合は、次のアイデアを試してみてください。
2. ダーニング刺繍で可愛らしいワンポイントにする
最近人気の「ダーニング」という修繕方法をご存知でしょうか?穴の空いた部分を、あえて目立つ色の糸で縦横に織るようにして塞ぐテクニックです。
- ウールと同系色の毛糸
- アクセントになる反対色の刺繍糸
あえて目立たせることで、「お気に入りの修繕跡」として愛着が湧いてきます。
3. レースや小さなポケットを付けて穴をカバーする
穴の上にモチーフ編みのレースを縫い付けたり、小さなポケットを配置して隠してしまうのも手です。デザインのアクセントになり、機能性もアップします。
特にチュニックの裾近くや、スカートのポケット位置などは、この方法が自然に馴染みますよ。
着物をほどく手順と下準備
洗ってきれいになった着物を、いよいよ一枚の布に戻していきます。「ほどく」という作業は少し時間がかかりますが、無心になれる癒やしの時間でもあります。
糸くずが出やすいので、コロコロや掃除機を用意してから始めるとスムーズですよ。
1. リッパーを使って効率よく糸をほどく方法
ハサミよりも「リッパー」という道具を使うと、生地を傷つけずに早くほどけます。縫い目の間にリッパーの先を差し込み、数センチおきに糸を切っていきましょう。
- 袖の付け根
- 襟周り
- 脇の縫い目
特に力がかかっている部分は糸が食い込んでいることがあるので、無理に引っ張らず丁寧にカットしてくださいね。
2. 縫い代を広げて布を平らにする
ほどいた直後の布は、縫い代だった部分が折り曲がったままになっています。このままだと正確なサイズが測れないので、アイロンでしっかりと折り目を伸ばしましょう。
折り目が頑固な場合は、霧吹きで少し湿らせてからアイロンを当てるときれいに伸びます。この工程を丁寧に行うことで、縫う時のズレを防げます。
3. 生地の弱っている部分を確認する
ほどいた布を光に透かしてみると、虫食い以外にも生地が薄くなっている部分が見つかることがあります。特に膝やお尻の部分は、擦れて弱くなっていることが多いです。
弱っている部分は破れやすいので、リメイクする際はなるべく負荷のかからない場所(裾の方など)に使うようにしましょう。
ウール着物で作るギャザースカートの作り方
初めてのリメイクなら、まずは直線の多いギャザースカートがおすすめです。着物の布幅をそのまま活かせるので、面倒な型紙作りも必要ありません。
「まっすぐ縫うだけ」で完成するので、ミシン初心者さんでも失敗が少ないですよ。
1. 直線縫いだけでできるシンプルな構造
着物の幅(約36cm)を何枚か横につなぎ合わせて、大きな筒状にするだけでスカートの土台ができます。4枚つなげばスッキリしたシルエットに、5〜6枚つなげばふんわりしたボリュームが出ます。
- 4枚はぎ:すっきり大人っぽい
- 5枚はぎ:ふんわり可愛らしい
- 6枚はぎ:ボリュームたっぷり
お好みのシルエットに合わせて枚数を調整してみてください。
2. ウエストゴムを使って自分のサイズに合わせる
ウエスト部分は三つ折りにして縫い、ゴムを通す道を作ります。これならファスナー付けのような難しい工程がいりません。
自分のウエストに合わせてゴムの長さを調整できるので、着心地も楽ちんです。ゴム通し口を少し開けておくのを忘れないようにしましょう。
3. 裾の処理をきれいに行うポイント
裾もウエストと同じように三つ折りにして直線縫いをします。ウールは厚みがあるので、折り目が浮いてきやすい素材です。
待ち針やクリップで細かく留めてから縫うか、アイロンでしっかり折り目をつけておくと、波打たずにきれいに縫えますよ。
重ね着に便利なチュニックへのリメイク方法
スカートの次は、トップスにも挑戦してみましょう。チュニックなら、冬はタートルネックの上に重ね着するだけで素敵なコーディネートになります。
体型を拾わないゆったりしたデザインにすれば、お部屋着としても活躍しそうですね。
1. 元の着物の幅を活かした型紙いらずのデザイン
チュニックも、着物の幅をそのまま前身頃と後ろ身頃に使います。基本的には、長方形の布を2枚合わせて、肩と脇を縫うだけで形になります。
自分の体に合わせて、着丈(長さ)を自由に決められるのも手作りの良さです。お尻が隠れるくらいの丈にすると、暖かくて安心感がありますよ。
2. 袖ぐりをゆったり作って動きやすくする工夫
中にセーターなどを着ることを考えて、袖を通す部分(袖ぐり)は少し広めに開けておきましょう。25cm〜30cmくらい開けておくと、厚手のインナーを着ても窮屈になりません。
脇を縫う位置を調整するだけでいいので、難しい袖付けは不要です。
3. 襟元の形を変えて顔まわりの印象を変える
襟ぐりの形を変えるだけで、同じ生地でも印象がガラッと変わります。
- Vネック:首元がすっきり見える
- ボートネック:女性らしく優しい印象
- スクエアネック:レトロで個性的
ウールは切りっぱなしだとほつれてくるので、襟ぐりは「バイアステープ」という布テープでくるんで処理するときれいに仕上がります。
虫食いを逆手に取るデザインのアレンジ
虫食いが多すぎて大きな布が取れない場合でも、諦めるのはまだ早いです。小さなハギレとして活用することで、逆にオリジナリティあふれる作品が生まれます。
「使える部分をつなぎ合わせる」という発想で、自由に遊んでみましょう。
1. パッチワーク風につないで新しい布にする
虫食いのないきれいな部分だけを四角くカットして、パッチワークのように縫い合わせてみましょう。同じ着物の中でも、柄の部分と無地の部分を交互にするだけでリズムが生まれます。
もし他の着物のハギレがあれば、それらと組み合わせても素敵です。世界に一つだけのオリジナル生地が出来上がりますよ。
2. 異素材を組み合わせて穴の空いた部分を補う
ウール着物の一部に、デニムやリネン(麻)、コーデュロイなどの異素材を組み合わせてみるのもおしゃれです。
例えば、スカートの横の部分だけ別の布に切り替えてみたり、ポケットだけ違う素材にしてみたり。素材のコントラストが生まれて、モダンな雰囲気に仕上がります。
3. 裾や袖口など汚れやすい部分に別布を使う
チュニックの袖口やスカートの裾は、擦れたり汚れたりしやすい場所です。ここに丈夫な別布を使うことで、デザインのアクセントになりつつ、服としての強度も上がります。
虫食い部分を避けるために丈が足りなくなってしまった時の「丈伸ばし」のテクニックとしても使えますよ。
リメイク作業に必要な道具と材料
作業を始める前に、必要な道具が揃っているか確認しておきましょう。ウール着物は普通の綿生地よりも厚みがあるので、それに適した針や糸を選ぶことが大切です。
道具選びを間違えると、ミシンの故障や仕上がりの悪さにつながってしまうこともあります。
1. 厚手の生地を縫うためのミシン針と糸の選び方
家庭用ミシンで縫う場合、針と糸の番手(太さ)を厚地用に変えるのが基本です。
| 道具 | おすすめのサイズ・種類 |
|---|---|
| ミシン針 | 14番(中厚地〜厚地用) |
| ミシン糸 | 60番(普通地用)または30番(厚地用) |
基本的には60番の糸で大丈夫ですが、生地がかなり分厚い場合は30番の糸を使うとしっかり縫えます。
2. ウエスト用のゴムや接着芯などの副資材
スカートやパンツを作る場合は、ウエストゴムが必要です。幅が2.5cm〜3cmくらいの太めの平ゴムを選ぶと、お腹に食い込まず安定した履き心地になります。
また、襟ぐりやポケット口など、伸びてほしくない部分には「接着芯」を貼ると、型崩れせずピシッとした仕上がりになりますよ。
3. 布の端処理に必要な道具
ウールは切り端から糸がほつれやすい素材です。ロックミシンがあればベストですが、家庭用ミシンの「ジグザグ縫い」でも十分ほつれ止めになります。
もしミシンがない場合や手縫いで仕上げたい場合は、「ピンキングはさみ」という刃がギザギザになったハサミで切るだけでも、ある程度のほつれを防ぐことができます。
リメイクしたスカートやチュニックのコーディネート
苦労して作ったリメイク服、せっかくならおしゃれに着こなしたいですよね。昭和レトロな柄のウール着物は、現代のファッションアイテムとも意外と相性が良いんです。
「昔の柄だから浮いてしまわないかな?」なんて心配は無用ですよ。
1. ブーツやタートルネックと合わせる冬の装い
ウール着物のスカートには、黒や茶色のシンプルなブーツがよく似合います。足元を引き締めることで、着物の柄がより引き立ちます。
トップスには、無地のタートルネックニットを合わせるのが王道のスタイルです。着物の柄に使われている色を一色とって、トップスの色に選ぶと全体がまとまりやすくなりますよ。
2. レトロモダンな雰囲気を楽しむ色合わせ
あえて鮮やかな色のタイツや靴下を合わせて、レトロポップな雰囲気を楽しむのもおすすめです。
- 紺色の着物 × 黄色の靴下
- 茶色の着物 × 赤いカーディガン
こんな風に、少し大胆な色合わせができるのも着物リメイクならではの楽しさです。
3. 帽子やバッグなどの小物との相性
ベレー帽やハンチングなどの帽子は、ウール素材の服と相性抜群です。被るだけで、手作り服がぐっと「よそ行き」の雰囲気になります。
革のショルダーバッグや、カゴバッグなどを合わせても可愛いですね。自分だけのコーディネートを見つけて、ファッションを楽しんでください。
まとめ
虫食いのあるウール着物も、少しの工夫と愛情で、素敵なスカートやチュニックに生まれ変わります。「穴があるから」と諦めていたその着物が、世界に一つだけのお気に入りの一着になるかもしれません。
まずは小さなハギレでコースターを作ってみるなど、簡単なことから始めてみるのも良いですね。針を進めながら、その着物を着ていた頃の思い出や、織ってくれた人のことに思いを馳せる時間は、とても豊かで穏やかなものです。
タンスを開けて、眠っている着物に「もう一度出番だよ」と声をかけてみませんか?きっと、新しい形になってあなたの生活を彩ってくれるはずですよ。
