着物買取は「持ち込み」と「宅配」どっちがいい?メリット・デメリットを徹底比較

タンスを開けるたびに「いつか片付けなきゃ」と気になっている大量の着物たち。処分しようと思い立っても、重い着物を運ぶのは大変ですし、かといって知らない業者に送るのも不安になりますよね。

着物買取には大きく分けて、自分でお店に持っていく「持ち込み」と、箱に詰めて送る「宅配」の2つの方法があります。どちらも一長一短あるため、自分の性格や着物の枚数に合わせて選ぶのが正解への近道です。この記事では、それぞれの特徴を比較しながら、あなたにぴったりの方法を見つけるお手伝いをします。

目次

着物買取の「持ち込み」と「宅配」の違いとは?

「お店に行くか、箱に詰めるか」という行動の違いはもちろんですが、実は査定の進み方や気持ちの面でも大きな違いがあります。まずはざっくりと、この2つの仕組みを整理してみましょう。

1. お店に行くか送るか?仕組みの簡単な違い

もっとも大きな違いは、査定員と顔を合わせるかどうかという点です。持ち込みは「対面」でのやり取りが基本ですが、宅配はすべてが「非対面」で完結します。

  • 持ち込み買取(店頭買取)
  • 宅配買取(郵送買取)

持ち込みは、美容院に行くような感覚で予約をして(予約不要な店もあります)、その場で結果を聞くスタイルです。一方で宅配は、ネットショッピングの返品作業に似ていて、自宅で作業を完結させるスタイルになります。

2. 査定から現金化までの流れはどう違う?

お金を受け取るまでのスピード感も、両者ではまったく異なります。急いでいるのか、それとも自分のペースで進めたいのかによって、選ぶべき道が変わってきます。

項目持ち込み(店頭)宅配(郵送)
申込み電話やWEBで予約WEBでキット依頼
着物の移動自分で店まで運ぶ集荷業者が持っていく
査定時間30分〜1時間程度商品到着後1〜3日
結果連絡その場で口頭説明メールや電話
代金の受取その場で現金払い後日銀行振込

持ち込みの最大の強みは、なんといっても「その日のうちに現金になる」ことでしょう。宅配の場合は、発送してから振込までタイムラグがあるため、少し気長に待つ必要があります。

目の前で査定してもらえる「持ち込み」のメリット

わざわざお店まで足を運ぶ「持ち込み」には、手間をかけるだけの価値があります。特に、大切にしていた着物を手放すときほど、相手の顔が見える安心感は大きいものです。

1. 査定士に直接質問できる安心感がある

目の前に査定士さんがいるので、「なぜこの値段になったのか」をその場で質問できます。納得がいかない場合も、直接交渉したり理由を聞いたりできるのは大きなメリットです。

たとえば「このシミがなければ、もう少し高くなった」といった具体的なアドバイスをもらえることもあります。プロの意見を直接聞けるので、モヤモヤしたまま手放すことが少なくなります。

2. その場ですぐに現金を受け取れる

急な出費がある場合や、すぐにお財布を潤したいときには持ち込みが最強です。査定が終わって金額に合意すれば、その場ですぐに現金を手渡ししてもらえます。

振込口座を教えたり、入金を待ったりする手間がありません。売ったその足で、ちょっといいランチを食べて帰るなんてこともできますね。

3. 自分の着物がどう扱われるかを確認できる

実は意外と重要なのが、着物の扱い方です。目の前で査定してくれるので、手袋をして丁寧に扱ってくれているか、雑に放り投げていないかをご自身の目でチェックできます。

思い出の詰まった着物ですから、ぞんざいに扱われるのは悲しいですよね。信頼できる相手かどうかを肌で感じられるのは、対面ならではの良さといえます。

利用する前に知っておきたい「持ち込み」のデメリット

良いことづくめに思える持ち込み買取ですが、物理的な大変さが伴います。特にお店が遠い場合や、着物の量が多い場合は注意が必要です。

1. 重い着物をお店まで運ぶのが大変

着物は一枚あたり約1kgほどの重さがあります。もし10枚の着物を売りたいと思ったら、10kgのお米を持って移動するのと同じ苦労が必要です。

  • 車がないと移動が困難
  • 雨の日は着物が濡れるリスクがある
  • 帯や小物も合わせるとかなりの重量になる

車でお店の目の前まで行けるなら良いのですが、電車やバスでの移動となると、まさに重労働です。途中で「やっぱりやめればよかった」と後悔することになりかねません。

2. 混雑していると待ち時間が長くなる

人気のお店や週末などは、査定待ちの行列ができていることがあります。予約をしていても、前の人の査定が長引けば、狭い店内で長時間待たされるかもしれません。

せっかくの休日が、待ち時間だけで潰れてしまうのはもったいないですよね。時間に余裕がないときは、持ち込みは避けたほうが無難かもしれません。

3. 近所に着物専門の買取店がないことが多い

これが一番のネックかもしれません。街のリサイクルショップはあっても、「着物の価値がわかる専門店」は意外と少ないのです。

近所の古着屋さんに持ち込んだら、数百万円の着物を「1kg 100円」で買い叩かれてしまった、という悲しい話もよく聞きます。専門店を探すと、都心部まで出向かなければならないケースが多いのです。

自分のペースで進められる「宅配」のメリット

次に、最近利用者が増えている「宅配買取」について見ていきましょう。誰にも会わずに、自分のタイミングで進められる手軽さが最大の魅力です。

1. 自宅から一歩も出ずに着物を手放せる

家から一歩も出ることなく、すべての作業が完了します。ダンボールなどの「宅配キット」を無料で送ってくれる業者も多く、自分で資材を用意する必要すらありません。

重い荷物を持って歩き回る必要がないのは、体力に自信がない方にとって本当に助かりますよね。集荷も宅配業者が玄関まで来てくれるので、パジャマのままでも大丈夫です。

2. 誰とも顔を合わせずに査定が完了する

「断るのが苦手」という方にこそ、宅配をおすすめします。対面だと、査定額が安くても「せっかく見てもらったし……」と気を使って売ってしまうことがあるからです。

宅配なら、査定結果はメールで届くことがほとんどです。金額に納得できなければ、スマホひとつで冷静にキャンセルできます。相手の顔色を伺う必要は一切ありません。

3. 全国どこからでも専門店の査定が受けられる

地方に住んでいても、東京や大阪にある有名専門店の査定を受けられます。近所にリサイクルショップしかない場合でも、宅配なら選択肢が全国に広がります。

着物は地域によって需要の差があまりないので、全国基準の相場で買い取ってもらえるのは大きなメリットです。地理的なハンデをなくせるのが宅配の良いところですね。

思ったより手間がかかる?「宅配」のデメリット

便利な宅配買取ですが、実は「箱に詰める」という作業が意外とハードルになります。慣れていないと、思わぬトラブルになることもあるので注意しましょう。

1. ダンボールへの梱包作業が意外と大変

着物は形が崩れやすいため、適当に箱に放り込むわけにはいきません。たとう紙に包まれた着物を、シワにならないように丁寧にダンボールに詰める必要があります。

  • 着物のサイズに合う箱を用意する
  • 隙間を緩衝材で埋める
  • 雨対策でビニールをかける

この作業を面倒だと感じる方は多いかもしれません。特に枚数が多いと、箱詰めだけで半日仕事になってしまうこともあります。

2. 発送してから振込までに数日かかる

荷物を送ってから業者の手元に届き、査定が終わるまでには数日のタイムラグが発生します。さらにそこから振込手続きになるため、即金性はありません。

「今週末の旅行のお小遣いにしたい!」といった急ぎのニーズには応えられません。忘れた頃に入金があるくらいの、ゆったりした気持ちで待つ必要があります。

3. 金額に納得できない場合の返送料がかかることも

ここは必ずチェックしてほしいポイントです。査定額に満足できず「やっぱり返して」となった場合、返送料が自己負担(着払い)になる業者が多いのです。

着物の送料は高くなりがちなので、数千円の出費になることもあります。「とりあえず値段だけ知りたい」という軽い気持ちで送ると、痛い出費になるかもしれません。

「持ち込み」と「宅配」はどちらが高く売れる?

手間や時間の違いはわかりましたが、肝心の「買取価格」に違いはあるのでしょうか?少しでも高く売りたいのが本音ですよね。

1. 買取方法によって査定額は変わるのか?

結論から言うと、基本的な着物の査定基準は同じです。「持ち込みだから高い」「宅配だから安い」といった単純な図式はありません。

着物の価値は「作家」「産地」「状態」「古さ」で決まります。どのルートで店に届いたかによって、着物そのものの価値が変わるわけではないからです。

2. お店ごとのキャンペーンや特典の違い

ただし、時期によってはキャンペーンで差がつくことがあります。「今月は持ち込み限定で買取額10%アップ!」といったイベントを行っている店舗もあるからです。

逆に「宅配買取強化月間」を実施している業者もあります。公式サイトをチェックして、どちらがお得なキャンペーンをやっているかを確認するのが賢い方法です。

3. コストを抑えられるのはどちらの方法か

視点を変えて、業者側のコストを考えてみましょう。持ち込み店舗は家賃や人件費がかかりますが、宅配専門業者は店舗を持たず倉庫だけで運営できるため、コストが安く済みます。

浮いたコストを買取額に還元してくれる「宅配専門」の業者のほうが、理論上は高値をつけやすい傾向にあります。もちろん業者によりますが、店舗を持たない強みは意外と大きいのです。

すぐに現金化したいならどっちが早い?

「とにかく早く片付けたい」「すぐにお金が必要」というスピード重視派の方には、明確な答えがあります。

1. 「持ち込み」なら即日の受け取りが可能

最速を目指すなら、迷わず「持ち込み」です。朝一番でお店に持ち込めば、お昼前には財布の中に現金が入っているでしょう。

銀行の営業時間を気にする必要もありませんし、土日でも関係なく現金化できます。このスピード感は、他のどの買取方法にも真似できない強みです。

2. 「宅配」で最短振込を目指すためのポイント

宅配でも少し工夫すればスピードアップが可能です。多くの業者が「自動承認(査定結果の連絡なしで即振込)」というコースを用意しています。

  • 身分証のコピーを同梱する
  • 自動承認コースを選ぶ
  • 集荷を最短日時で依頼する

これらを行えば、荷物が到着した当日に振り込まれることもあります。ただし、金額を見てから断ることができないので、その点だけは覚悟が必要です。

あなたはどっち?タイプ別のおすすめ買取方法

ここまで読んで、まだ迷っている方もいるかもしれません。最後に、あなたの状況に合わせたおすすめの選び方を整理してみましょう。

1. 「持ち込み」が向いている人の特徴

以下のような方は、頑張ってお店まで運ぶ価値があります。

  • 家の近くに着物専門店がある
  • 今日中に現金が欲しい
  • 査定員と直接話して交渉したい
  • 着物の枚数が少なく、手で持てる

散歩がてら気軽に行ける距離に専門店があるなら、持ち込みが一番安心で確実です。対面でのコミュニケーションを重視する方にも向いています。

2. 「宅配」を利用したほうが良い人の特徴

一方で、以下のような方は宅配買取を選ぶほうが幸せになれるでしょう。

  • 日中忙しくてお店に行けない
  • 近くに専門店がない
  • 対面で断るのが苦手
  • 誰とも会わずに済ませたい

自分のペースを崩したくない方や、地方にお住まいの方には宅配がベストな選択肢です。箱に詰めて送るだけの手軽さは、一度味わうと癖になります。

3. 着物の枚数や住んでいる場所で判断する

物理的な条件で決めてしまうのも一つの手です。「着物が5枚以上あるなら宅配」「専門店まで車で1時間以上かかるなら宅配」といった具合です。

無理をして重い着物を運んでも、交通費やガソリン代がかかっては意味がありません。自分の労力をお金に換算して、どちらが得かを考えてみてください。

査定を依頼するときに必要な準備

どちらの方法を選ぶにしても、準備不足だと二度手間になってしまいます。スムーズに買い取ってもらうために、最低限これだけは用意しておきましょう。

1. 本人確認書類(身分証)はどちらも必須

古物営業法という法律の決まりで、着物を売るには必ず身分証明書が必要です。

  • 運転免許証
  • 健康保険証
  • マイナンバーカード

持ち込みの場合は原本を提示し、宅配の場合はコピーを箱に入れるか、スマホで画像をアップロードします。これがないと買取してもらえないので、忘れずに準備してください。

2. 証紙や付属品を揃えておくことの大切さ

着物の価値を証明する「証紙(しょうし)」があるかないかで、査定額が倍以上変わることもあります。購入時のたとう紙の中に入っていないか、もう一度よく探してみてください。

帯揚げや帯締めなどの小物も、セットにすることでプラス査定になることがあります。バラバラにするより、まとめて出したほうが好印象です。

3. クリーニングは出すべき?そのまま?

「汚れているから洗ったほうがいいかな?」と迷うかもしれませんが、そのまま出してください。これが鉄則です。

数千円かけてクリーニングしても、査定額が数千円アップすることはまずありません。かえって損をしてしまうことが多いので、汚れやシワはそのままで大丈夫です。

自分に合った買取方法を選ぶポイント

着物買取の「持ち込み」と「宅配」、どちらが正解ということはありません。大切なのは、あなたの今の状況や優先順位に合っているかどうかです。

「安心感」と「即金」が欲しいなら、お店に持ち込むのが一番です。一方で、「手軽さ」と「非対面」を重視するなら、宅配買取が強い味方になってくれます。迷ったら、まずは少量の着物で査定に出してみるのも良いでしょう。

着物は持っているだけでも湿気で傷んでしまい、価値が下がっていきます。タンスの肥やしにしてしまう前に、自分に合った方法で次の持ち主へとバトンタッチしてみてはいかがでしょうか。それが、着物にとってもあなたにとっても、一番幸せな選択になるはずです。

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