「タンスに眠っている着物、もう着ないけれど捨てるのはもったいない」と悩んでいませんか?その美しい生地、実は今の暮らしに合うトートバッグに生まれ変わらせることができるんです。着物リメイクと聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、直線縫いだけで完成するバッグなら初心者の方でも安心して挑戦できます。
この記事では、型紙を使わずに作れる着物リメイクのトートバッグの作り方を詳しく解説します。思い出の詰まった着物を日常使いできるアイテムに変身させる時間は、とても豊かで楽しいものです。ミシン初心者の方でも失敗しないコツを交えながら紹介していきますので、ぜひ一緒に素敵なバッグ作りを楽しみましょう。
着物リメイクでトートバッグを作る魅力
着物をバッグにリメイクすることには、単なる再利用以上の大きな喜びがあります。生地の質感を楽しみながら、自分だけのアイテムを作り上げる過程そのものが魅力的な体験になるはずです。ここでは、なぜ今トートバッグへのリメイクがおすすめなのか、その理由を掘り下げてみましょう。
1. タンスに眠る着物を活用できる良さ
着られなくなった着物をほどいてバッグにすることで、タンスの肥やしが毎日の相棒に変わります。特に、お母様やお祖母様から受け継いだ着物は、形を変えることで身近に感じ続けられるようになるでしょう。思い出を大切にしながら、新しい命を吹き込むことができるのが最大のリメイクの良さです。
2. 初心者でも直線縫いで完成する手軽さ
着物リメイクのトートバッグは、基本的に直線縫いだけで作ることができます。洋服へのリメイクのように複雑なカーブや立体裁断が必要ないので、ミシンの操作に慣れていない方でもハードルが低いです。まっすぐ縫うだけで美しい和柄のバッグが出来上がる達成感は、ハンドメイドの楽しさを教えてくれます。
3. 世界に一つだけのオリジナル作品になる喜び
既製品にはない、自分だけの柄合わせやサイズ感で作れるのも大きな魅力です。着物の柄は切り取る場所によって表情がガラリと変わるため、同じ着物から作っても二つとして同じものはできません。「そのバッグ素敵ね、どこで買ったの?」と聞かれるような、世界に一つだけのオリジナル作品を作ってみませんか?
トートバッグ作りに必要な道具と材料
作業をスムーズに進めるためには、事前の準備が欠かせません。特別な道具を買い揃える必要はなく、家庭にある基本的な裁縫道具があれば十分スタートできます。まずは手元にある道具を確認し、足りないものがあれば準備しましょう。
1. 家庭用ミシンと基本的な裁縫道具
トートバッグ作りには、以下の基本的な道具を使用します。
- 家庭用ミシン
- 裁ちばさみ
- 糸切りばさみ
- マチ針または手芸用クリップ
- チャコペン
- 定規
これらの道具は、小学校の家庭科セットに入っているような一般的なもので問題ありません。特に「手芸用クリップ」があると、厚みのある部分を仮止めする際にマチ針よりも扱いやすく便利です。もしミシンがない場合は手縫いでも作れますが、強度が求められるバッグの場合は、ミシンの方が丈夫に仕上がります。
2. 着物生地と相性の良い糸と針の選び方
着物地を縫う際は、生地の厚さに合わせた針と糸を選ぶことが大切です。一般的に、絹の着物には絹糸を使うのがベストですが、家庭用ミシンで縫う場合はポリエステル糸でも構いません。
- ミシン針:11番(普通地用)または14番(厚地用)
- ミシン糸:シャッペスパン60番(普通地用)
正絹(しょうけん)の着物は滑りやすいので、針は新しいものを使うと布地を傷めずにスムーズに縫えます。古い針を使うと生地を引っ掛けてしまうことがあるので注意しましょう。
3. バッグの持ち手に使う素材の種類
持ち手はバッグの印象を大きく左右するパーツです。着物の共布(ともぬの)で作るか、市販のテープを使うかで仕上がりの雰囲気が変わります。
- 共布(着物の生地と同じ布)
- アクリルテープ
- 合皮の持ち手
共布で作ると全体に統一感が出て上品な仕上がりになり、アクリルテープを使うとカジュアルで普段使いしやすい印象になります。初心者の方は、作る手間が省ける市販の持ち手テープを活用するのも賢い方法です。
リメイクに向いている着物の種類と選び方
すべての着物がバッグ作りに向いているわけではありません。生地の厚みや張りによって、縫いやすさや仕上がりの強度が変わってくるからです。ここでは、初心者の方でも扱いやすく、素敵なバッグに仕上がる着物の種類を紹介します。
1. 丈夫で扱いやすい紬(つむぎ)やウールの特徴
リメイク初心者の方に一番おすすめなのは、「紬(つむぎ)」や「ウール」の着物です。これらは生地自体がしっかりとしていて張りがあり、裁断してもほつれにくい特徴があります。
ミシンで縫う際も布が逃げにくいため、まっすぐ縫いやすく失敗が少ないです。普段着として使われていた着物なので、カジュアルなトートバッグとの相性も抜群によく、日常使いに耐えられる丈夫なバッグが作れます。
2. 華やかな柄が楽しめる小紋(こもん)の活用
全体に柄が入っている「小紋(こもん)」は、どこで切っても柄が出るため、型紙の配置に悩まずに済みます。華やかな花柄や幾何学模様などバリエーションも豊富で、見るだけで気分の上がるバッグに仕上がるでしょう。
ただし、縮緬(ちりめん)などの柔らかい生地の小紋は、縫うときに伸び縮みしやすい傾向があります。そのため、必ず接着芯を貼って生地を安定させてから縫うようにしてください。
3. シミや汚れがある着物の部分的な使い方
古い着物には、どうしてもシミや色褪せがある場合があります。しかし、汚れているからといってリメイクを諦める必要はありません。
トートバッグは必要な生地の面積が少ないため、きれいな部分だけを選んで裁断することができます。大きなシミがある着物でも、その部分を避けてカットすれば、新品同様の美しいバッグに変身させることが可能です。
リメイク前の下準備:ほどき方と洗濯・アイロン
いきなりハサミを入れるのではなく、生地の状態を整える「下準備」が完成度を左右します。面倒に感じるかもしれませんが、この工程を丁寧に行うことで、仕上がりの美しさが格段にアップします。
1. 縫い目をきれいにほどく手順とコツ
まずは着物を反物の状態に戻すために、縫い目をほどいていきます。リッパーを使って丁寧に糸を切っていきますが、生地を傷つけないように注意が必要です。
- 袖
- 衿(えり)
- 身頃(みごろ)
上記の順に、小さいパーツから外していくと作業がしやすいです。縫い代部分に溜まったホコリは、ガムテープなどでペタペタと取るとすっきりきれいになります。無理に引っ張らず、糸を一本ずつ抜く感覚で行いましょう。
2. 古い着物の汚れや臭いを取る洗濯の方法
ほどいた着物は、一度洗って汚れや長年のタンスの臭いを落としましょう。正絹(シルク)は水につけると縮む性質があるため、おしゃれ着洗剤を使って手早く手洗いするのが基本です。
もし色落ちや縮みが心配な場合は、お風呂場に干して蒸気をあてたり、消臭スプレーを使って陰干しするだけでも効果があります。「縮ませて生地の目を詰める」という意味では、あえて一度水を通しておくと、バッグ完成後の型崩れを防ぐことができます。
3. 地直しをして歪みを整えるアイロンのかけ方
洗濯して乾いた生地は、シワシワになったり歪んだりしています。これを「地直し(じなおし)」と言い、アイロンをかけて布の縦横の目を直角に整える作業が必要です。
アイロンは、生地の裏から中温のドライ(スチームなし)でかけるのが基本です。布を引っ張りすぎず、プレスするように上から押さえてシワを伸ばしていきましょう。ここで生地を平らにしておくと、裁断のサイズが狂わず、きれいに縫い合わせることができます。
型紙なしでOK!生地の裁断サイズと配置
今回は型紙を作らず、布に直接線を引いてカットする方法で作ります。着物の反物幅(約36cm前後)をそのまま活かせば、布の無駄も出ず、端処理の手間も省けるので非常に効率的です。
1. 初心者におすすめの基本サイズと寸法の決め方
初めて作るなら、A4サイズがすっぽり入る使い勝手の良いサイズがおすすめです。着物の身頃(背中の広い部分)を使えば、十分な大きさが取れます。
- 本体(表地):幅36cm(反物幅)× 高さ30cm(縫い代込み)を2枚
- 本体(裏地):表地と同じサイズを2枚
- 持ち手:幅10cm × 長さ40cm を2枚
この寸法は目安ですので、お好みの深さに調整しても構いません。縫い代は全て1cm〜1.5cmを見ておけば大丈夫です。シンプルに長方形にカットするだけなので、定規で直接布に線を引いていきましょう。
2. 着物の反物幅を活かした無駄のない裁断
着物はもともと約36cmの幅の布で作られています。この「耳」と呼ばれる布端はほつれてこないため、バッグの脇の縫い代としてそのまま利用することができます。
耳をそのまま使えば、ロックミシンやジグザグミシンをかける手間が省けます。裁断する回数も減るので、ハサミを入れるのが怖いという初心者の方にも嬉しいポイントです。
3. 柄合わせを意識した生地の配置ポイント
裁断する前に、一度生地を広げて「どの部分をバッグの正面にするか」を確認しましょう。特に大きな花柄や模様がある場合は、バッグの中心に柄が来るように配置すると見栄えが良くなります。
表と裏で柄の出方を変えてみるのも、リメイクならではの楽しみ方です。メインの柄が見えなくならないよう、底のマチになる部分(下から4〜5cm程度)を考慮して柄の位置を決めるのがコツです。
バッグの強度を上げる接着芯の貼り方
着物の生地は洋服よりも薄いものが多いため、そのままバッグにすると頼りない仕上がりになってしまいます。そこで重要になるのが「接着芯(せっちゃくしん)」です。これを貼るだけで、既製品のようなハリと強度が生まれます。
1. 着物リメイクに必須となる接着芯の役割
接着芯は、生地の裏に貼って厚みや張りを持たせる芯地のことです。着物リメイクにおいては、生地の補強だけでなく、古い生地が裂けるのを防ぐという重要な役割も果たします。
また、接着芯を貼ることで生地が伸びにくくなり、ミシンで縫いやすくなるというメリットもあります。柔らかい着物地がシャキッとするので、バッグが自立しやすくなり、使い勝手も格段に向上します。
2. バッグに適した接着芯の厚さと種類の選び方
バッグ作りには、ある程度しっかりとした厚みの接着芯が必要です。手芸店では「不織布タイプ」と「織物タイプ」が売られていますが、バッグ用には「中厚手」から「厚手」のタイプを選びましょう。
- トートバッグ用(普通):中厚手の不織布タイプ
- しっかり自立させたい場合:厚手のハードタイプ
初めての方は、扱いやすい「不織布のプレシオン芯」などがおすすめです。100円ショップの接着芯は薄すぎることが多いので、できれば手芸店で専用のものを購入することをおすすめします。
3. 空気が入らないようにきれいに貼る手順
接着芯をきれいに貼るコツは、アイロンを滑らせないことです。アイロンを滑らせると、生地と芯がズレてシワや気泡が入ってしまいます。
- 生地の裏面に接着芯(ザラザラした面)を重ねる。
- アイロンを上から垂直に押し当て、10秒ほど数える。
- 持ち上げて隣の位置に移動し、また押さえる。
このように「プレスする」感覚で全体を接着していきます。完全に冷めるまで動かさないようにすると、接着剤が定着して剥がれにくくなります。
トートバッグ本体の縫い方とマチの作り方
準備が整ったら、いよいよミシンで縫い合わせていきます。表地と裏地をそれぞれ袋状にしてから合わせる方法なら、縫い目が見えずきれいに仕上がります。
1. 表地と裏地をそれぞれ袋状に縫い合わせる工程
まず、表地2枚を中表(内側が表)に合わせて、両脇と底の3辺を直線縫いします。このとき、上部の「袋口」になる部分は縫わずに開けておいてください。
裏地も同様に縫いますが、底の部分に10cmほど「返し口」として縫わない箇所を作っておきます。後でここから表にひっくり返すため、忘れずに開けておきましょう。縫い始めと縫い終わりは必ず返し縫いをして、糸がほつれないようにします。
2. 収納力をアップさせる三角マチの縫い方
トートバッグに厚みを持たせるために、底の角をつまんで「マチ」を作ります。脇の縫い目と底の縫い目を合わせて三角形にたたみ、お好みのマチ幅(例:8cmなど)で線を引いて縫います。
- マチ6cmの場合:縫い目から3cmのところを縫う
- マチ8cmの場合:縫い目から4cmのところを縫う
余分な三角形の部分は、縫い目から1cm残してカットしても良いですし、そのまま底板代わりに残しておいても構いません。これでバッグの中に物を入れても安定するようになります。
3. 縫い代を割ってきれいに仕上げるコツ
脇や底を縫い終わったら、縫い代をアイロンで左右に開いて「割る」作業を行います。このひと手間をかけるかどうかで、バッグの角や口部分の仕上がりの美しさが変わります。
特に生地が重なる部分は厚みが出やすいので、しっかりとアイロンで押さえて平らにしておきましょう。縫い代が落ち着き、後の工程でミシンが通りやすくなります。
持ち手の作り方と裏地の合わせ方
本体ができたら、持ち手を取り付けてバッグの形に組み立てていきます。ここが一番ワクワクする工程かもしれませんね。
1. 共布(ともぬの)で持ち手を作る方法と補強
着物の余った生地(共布)で持ち手を作ると、統一感のある仕上がりになります。幅10cmにカットした生地を4つ折りにし、幅2.5cmの持ち手を作ります。両端にステッチ(端ミシン)をかけることで、丈夫で持ちやすい持ち手になります。
強度を出したい場合は、持ち手の中に綾テープや接着芯を挟み込んで縫うと安心です。完成した持ち手は、表袋の口部分に仮止めしておきます。中心から左右均等の位置(例:中心から6cmずつ)に配置しましょう。
2. 本体と裏地を中表で合わせるタイミング
表袋(表向き)の中に、裏袋(裏返し状態)をすっぽりと入れます。つまり、生地の「表」と「表」が向き合う「中表」の状態になります。
持ち手が内側に挟まれていることを確認し、袋口の縫い代同士を合わせます。脇の縫い目がズレないようにマチ針やクリップでしっかり固定するのがポイントです。
3. 返し口を残してバッグの形に縫う手順
合わせたら、袋口の周りをぐるりと一周縫い合わせます。厚みがある部分なので、ミシンの速度を落としてゆっくり縫い進めましょう。
ここでは返し口を開ける必要はありません(裏地の底に開けてあるため)。一周縫い終わったら、裏地の底にある返し口から手を入れて、生地全体を引っ張り出し、表に返します。まるで手品のようにバッグの形が現れる瞬間です!
仕上げのステッチと完成後の確認ポイント
表に返したら、最後の仕上げを行います。ここで形を整えることで、手作り感が薄れ、売り物のような完成度に近づきます。
1. 返し口を閉じて形を整える最後の仕上げ
表に返した後、裏地の底に開いていた「返し口」を閉じます。ミシンで端を縫ってしまっても良いですが、手縫いの「コの字綴じ」で閉じると縫い目が見えず、よりきれいに仕上がります。
裏地を本体の中に押し込み、袋口の形を整えます。表地と裏地が浮かないように、アイロンで袋口をしっかりと押さえておきましょう。
2. 袋口にステッチを入れて強度を高める方法
袋口の端から0.2cm〜0.5cmほどの位置に、ぐるりと一周ステッチ(おさえミシン)をかけます。これにより、裏地が飛び出してくるのを防ぎ、持ち手の接合部分も補強されます。
特に持ち手が付いている部分は負荷がかかりやすいので、さらに強度を高めるために、ステッチを2重にするか、四角くバッテン(×)に縫う補強を入れると安心です。
3. 完成したトートバッグの形を整えるアイロン仕上げ
最後にバッグ全体にアイロンをかけて形を整えます。製作中についた畳みシワを取り除き、マチの形をきれいに整えれば完成です。
糸くずがついていないか確認し、もしチャコペンの跡が残っていれば消しておきましょう。これで、あなたの思い出の着物が素敵なトートバッグに生まれ変わりました。
初心者でもできる簡単なアレンジアイデア
基本のトートバッグが作れるようになったら、少し工夫を加えて自分好みにカスタマイズしてみましょう。小さなアレンジで使い勝手が劇的に向上します。
1. 内ポケットをつけて使い勝手を良くする工夫
スマホや鍵が迷子にならないよう、裏地に内ポケットをつけると便利です。余った生地を四角く縫って、裏地を縫い合わせる前の段階で縫い付けておくだけでOKです。
ポケットの口部分には接着芯を貼っておくと、出し入れしてもヨレにくくなります。自分のスマホサイズに合わせて作れるのもハンドメイドの特権ですね。
2. マグネットボタンやタグで既製品のように見せるコツ
袋口に「マグネットボタン」をつけると、中身が見えず安心感が増します。手縫いで付けられるタイプなら、完成した後からでも取り付け可能です。
また、バッグの脇や正面に「革タグ」や「織りネーム」を一つ縫い付けるだけで、見た目がグッと引き締まり、既製品のような高級感が出ます。100円ショップでもおしゃれなタグが手に入るので、ぜひ試してみてください。
3. 余った端切れで作れるお揃いの小物
バッグを作って微妙に余った端切れ(ハギレ)は、捨てずに小物に変身させましょう。バッグとお揃いの「ポケットティッシュケース」や「くるみボタンのヘアゴム」なら、小さな布でも作れます。
バッグと小物をセットで持つと、コーディネートに統一感が生まれてとてもおしゃれです。最後まで布を大切に使い切ることで、着物への感謝の気持ちも込められます。
まとめ
着物リメイクで作るトートバッグについて、準備から仕上げまでを解説してきました。難しそうに見える着物リメイクも、直線を縫い合わせるだけのトートバッグなら、気軽に挑戦できると感じていただけたのではないでしょうか。
タンスの中で眠っていた着物が、あなたの手によって新しい形となり、再び光を浴びることはとても素敵なことです。まずは失敗しても惜しくない練習用の着物から始めて、慣れてきたら大切な一着をリメイクしてみてください。世界に一つだけのバッグを持って出かける日は、きっといつもより晴れやかな気分になるはずです。
