袴のブーツは編み上げじゃなくてもいい?サイドゴアやショートブーツの合わせ方を解説

卒業式の準備が進むにつれて、多くの人が頭を悩ませるのが足元のコーディネートです。「袴のブーツは編み上げじゃなくてもいいの?」と疑問に感じている方も、実はとても多いのではないでしょうか。

一生に一度の晴れ舞台とはいえ、たった数時間の式典のために新しい靴をわざわざ購入するのは少し躊躇してしまいますよね。普段使い慣れていない靴で足を痛めてしまうのも心配な要素の一つです。

結論から言うと、手持ちのサイドゴアブーツやシンプルなショートブーツでも、ポイントさえ押さえれば十分に素敵に着こなせます。この記事では、袴のブーツは編み上げじゃなくてもいい理由と、失敗しない合わせ方を具体的に解説していきます。

目次

袴のブーツは編み上げじゃなくてもいい?

袴には編み上げブーツというイメージが強いですが、実は絶対にそうでなければならないという決まりはありません。最近では、より自由な発想で着物を楽しむスタイルが定着してきています。

むしろ、シンプルなデザインのブーツを選ぶことで、着物の柄や袴の色味をより引き立たせる効果も期待できるのです。ここでは、なぜ編み上げ以外でも問題ないのか、その背景とメリットを掘り下げてみましょう。

1. 卒業式で編み上げ以外を履いても大丈夫な理由

かつては「女学生=矢絣の着物に海老茶色の袴、そして編み上げブーツ」というスタイルが大正ロマンの象徴として流行しました。しかし、これはあくまで一つのファッションスタイルであり、厳格なルールとして定められているわけではありません。

現代の卒業式では、個性を表現するために多様な足元が選ばれるようになっています。草履を履く人もいれば、あえてモダンなパンプスを合わせる人もいるくらいですので、編み上げのないブーツでも全く失礼にはあたりません。

編み上げブーツとシンプルブーツの違いは以下の通りです。

特徴編み上げブーツシンプルブーツ(サイドゴア等)
雰囲気レトロ・大正ロマンモダン・すっきり・大人っぽい
着脱紐を結ぶ手間がかかるファスナーやゴムで楽に脱ぎ履き可能
活用普段使いには派手な場合も式典後も日常のコーデに使いやすい
印象足元にボリュームが出る足元が引き締まり着物が主役になる

2. シンプルなデザインが選ばれる最近の傾向

最近の着物トレンドとして、無地に近いシンプルな着物や、くすみカラーを取り入れたシックなコーディネートが増えています。そうした装いには、装飾の多い編み上げブーツよりも、プレーンなブーツの方が相性が良いことも多いのです。

過度な装飾を削ぎ落とした足元は、洗練された大人の女性という印象を与えてくれます。周りがみんな編み上げブーツを履いている中で、あえてシンプルなブーツを選ぶことで、周りと差をつけるおしゃれな着こなしが完成します。

サイドゴアブーツを袴に合わせるときのポイント

脱ぎ履きが楽で歩きやすいサイドゴアブーツは、卒業式のような長い一日にはとても頼もしい存在です。しかし、カジュアルな印象が強いため、袴に合わせる際には少しだけ注意が必要です。

何も考えずに合わせてしまうと、足元だけが浮いてしまったり、野暮ったく見えたりする可能性があります。サイドゴアブーツを上品に履きこなすための、具体的なチェックポイントを見ていきましょう。

1. 足首が太く見えないシルエットの確認

サイドゴアブーツを選ぶ際にもっとも重要なのが、足首周りのシルエットです。筒が太く寸胴な形をしているものは、袴の裾から見えた時に足首が太く見えてしまい、全体のバランスが悪くなってしまいます。

できるだけ足首にフィットする、細身のシルエットのものを選んでください。足の甲から足首にかけてのラインがシュッとしているだけで、袴姿が一気に垢抜けて見えます。

シルエット選びのチェック項目は以下の通りです。

  • 足首部分のくびれ
  • 甲の立ち上がりの角度
  • つま先のシャープさ

2. ゴム部分が目立たないデザインの選び方

サイドゴアブーツの最大の特徴である側面のゴム部分は、機能的である反面、どうしてもカジュアルな雰囲気が出てしまいます。袴の格調高さと喧嘩しないよう、ゴム部分が目立ちにくいデザインを選ぶのが賢明です。

例えば、革と同色のゴムが使われているものや、ゴムの幅が狭いデザインのものがおすすめです。また、袴の丈を少し長めに着付けることで、ゴム部分を自然に隠してしまうというテクニックもあります。

ファスナー付きショートブーツを合わせるコツ

手持ちのショートブーツを活用する場合、内側や後ろにファスナーがついているタイプが多いと思います。シンプルなショートブーツはどんな袴にも合わせやすい万能アイテムですが、着物を守るための配慮が必要です。

着付けの先生やレンタル店の方も気にされるポイントですが、事前に知っておけば対策は難しくありません。大切な着物を傷つけずに、美しくブーツを履きこなすためのコツを紹介します。

1. 金具が着物を傷つけないための注意点

ブーツのファスナーの持ち手(引手)部分は、歩いている時に反対側の足の裾に引っかかってしまうことがあります。特に着物の裾や袴のひだはデリケートなので、金属部分が擦れて生地を傷めてしまうリスクがあるのです。

これを防ぐためには、ファスナーが直接当たらないような工夫をしておくと安心です。例えば、ファスナーの上にマスキングテープを貼って保護したり、ファスナーが内側ではなく後ろについているデザインを選んだりする方法があります。

金具トラブルを防ぐための対策は以下の通りです。

  • ファスナーの上に同系色のテープを貼る
  • 引手を下に倒して固定する
  • ロングソックスで金具部分を覆う

2. すっきり上品に見えるつま先の形

ショートブーツの印象を大きく左右するのが、つま先(トゥ)の形状です。丸みの強いラウンドトゥは可愛らしい印象になりますが、子供っぽく見えてしまうこともあります。

袴に合わせるなら、少し角ばったスクエアトゥや、尖りすぎないポインテッドトゥがおすすめです。これらは着物の縦のラインと相性が良く、足先までスラリと伸びた美しい立ち姿を演出してくれます。

袴の裾から肌が見えない筒丈の目安

袴にブーツを合わせる際、絶対に避けたいのが「袴の裾とブーツの間から素肌が見えてしまうこと」です。これは着こなしとして美しくないだけでなく、見ている側にも寒々しい印象を与えてしまいます。

動いたり座ったりした時にも肌が見えないよう、袴の長さとブーツの丈のバランスを計算することが大切です。ここでは、失敗しないための丈の合わせ方について解説します。

1. 袴の長さとブーツの高さの黄金バランス

草履を履く場合、袴はくるぶしが見え隠れするくらいの長さに着付けますが、ブーツの場合はそれよりも少し短く着付けるのが一般的です。具体的には、草履の時よりも3〜5センチほど短くすると、ブーツのデザインがきれいに見えます。

しかし、袴を短くしすぎると、今度はブーツの上端が見えてしまいやすくなります。理想的なのは、ブーツの筒丈が足首よりもしっかり上にあり、袴の裾がブーツの履き口に数センチ被っている状態をキープすることです。

2. 筒丈が短いブーツの時に気をつけること

もし履きたいブーツの筒丈が短く、くるぶしギリギリの長さしかない場合はどうすれば良いでしょうか。その場合は、潔く袴の丈を少し長めに着付けてもらうよう、着付け師さんにお願いしましょう。

また、万が一裾が上がってしまった時のために、素肌を見せないためのインナー対策も必須です。黒のタイツやハイソックスを着用して、ブーツと肌の境界線を曖昧にしておくことが、美しい着こなしの秘訣です。

黒だけじゃない?袴に合うブーツの色選び

「袴のブーツといえば黒」と思い込んでいませんか?確かに黒はどんな着物にも合う万能色ですが、実はそれ以外の色を選ぶことで、周りとは一味違うおしゃれを楽しむことができます。

着物の色や柄に合わせてブーツの色を変えるだけで、全体の統一感がグッと増します。ここでは、黒以外で特におすすめしたい2つのカラーと、その合わせ方について紹介します。

1. 茶色やキャメルが与える柔らかい印象

茶色やダークブラウン、キャメルといった茶系色のブーツは、全体を優しく柔らかい雰囲気にしてくれます。特に、赤やピンク、オレンジといった暖色系の着物や、レトロモダンな柄の袴とは相性抜群です。

黒いブーツだと足元のコントラストが強すぎてしまう場合でも、茶色なら自然に馴染んでくれます。髪色を明るくしている方にとっても、髪と足元の色がリンクして全身のバランスが取りやすくなるというメリットがあります。

茶系ブーツが似合う着物の色は以下の通りです。

  • エンジや赤系の華やかな着物
  • グリーンや抹茶色の渋めの袴
  • ベージュやクリーム色の淡い着物

2. 白やベージュで今っぽさを出す方法

最近のトレンドとして注目されているのが、アイボリーやベージュ、白に近い淡い色のブーツです。パステルカラーの着物や、レース素材を使った今風の袴に合わせると、非常に透明感のある儚げなスタイルが完成します。

足元を明るくすることで、重くなりがちな袴姿に軽やかさが生まれます。ただし、汚れが目立ちやすいので、事前のメンテナンスと、式典当日の天候には少し気を配る必要があるかもしれません。

袴姿がきれいに見えるヒールの高さとは?

普段ヒールを履き慣れていない人にとって、長時間の式典で高いヒールを履くのは不安ですよね。しかし、袴姿をより美しく見せるためには、ある程度のヒールの高さがあった方がスタイルが良く見えます。

無理をして足を痛めてしまっては元も子もありませんが、安定感と見た目の美しさを両立できる高さといものがあります。自分に合ったヒールの選び方を知って、快適に式典を過ごしましょう。

1. スタイルアップできる理想のヒールの高さ

袴姿がもっとも美しく見えるヒールの高さは、一般的に5センチから7センチ程度と言われています。このくらいの高さがあると、背筋が自然と伸び、袴のシルエットが縦にスラリと長く見えます。

また、少しヒールがあることで、歩く際の姿勢も良くなり、着物特有の「すり足」気味の歩き方もしやすくなります。ぺたんこの靴よりも、適度な傾斜があった方が着物の裾を踏みにくくなるという実用的なメリットもあります。

2. 履き慣れていない人が選ぶべきヒールの太さ

ヒールの高さと同じくらい重要なのが、ヒールの「太さ」です。ピンヒールのような細いヒールは、不安定になりやすく、砂利道や校庭などを歩く際に埋まってしまう恐れがあります。

おすすめなのは、しっかりと太さのあるチャンキーヒールや、ウェッジソールに近い形状のものです。接地面が広いので安定感があり、長時間立っていても疲れにくいため、卒業式には最適です。

安定感のあるヒールの種類は以下の通りです。

  • チャンキーヒール
  • 太めのブロックヒール
  • 厚底のプラットフォーム

ブーツの中には何を履くのが正解?

ブーツを履いてしまえば外からは見えませんが、中に何を履くかは当日の快適さを大きく左右します。慣れない着物での寒さ対策や、靴擦れ防止のためにも、インナー選びは重要です。

卒業式が行われる3月は、体育館などの会場が底冷えすることも珍しくありません。見えない部分だからこそしっかりと準備をして、足元の冷えやトラブルを防ぎましょう。

1. 防寒対策でするなら黒のタイツ

防寒対策を最優先にするなら、黒のタイツがベストな選択肢です。デニール数は60〜80デニール程度あると暖かく、透け感も少ないので、万が一袴の裾から見えてしまってもブーツの一部のように見えて違和感がありません。

ストッキングでは寒すぎますし、分厚すぎる裏起毛タイツだとブーツが窮屈になってしまうことがあります。自分のブーツのサイズ感に合わせて、適切な厚みのタイツを選んでみてください。

2. あえて靴下を少し見せるテクニック

ブーツの筒丈が少し短い場合や、足元にアクセントを加えたい場合は、あえて靴下を見せるというテクニックもあります。ブーツから1〜2センチほど靴下を覗かせることで、レトロで可愛らしい雰囲気を演出できます。

この場合、靴下の色は白や黒、あるいは着物の柄に入っている一色を選ぶとまとまりが良くなります。ただし、あまり出しすぎると子供っぽくなってしまうので、チラッと見える程度のバランスを意識しましょう。

普段履いているブーツを使うメリット

「やっぱり専用のブーツを買った方がいいのかな」と迷っている方もいるかもしれませんが、普段履いているブーツを使うことには大きなメリットがあります。それは単に節約になるというだけでなく、当日のパフォーマンスにも関わることです。

使い慣れた道具を使う安心感は、緊張しがちな式典の日には何よりの味方になります。ここでは、手持ちのブーツを活用することの良さを改めて確認しておきましょう。

1. 足が痛くなりにくく式典中も快適

新しい靴を履いた日に靴擦れをしてしまい、歩くのが辛かったという経験は誰にでもあると思います。卒業式はずっと座っているわけではなく、立ったり座ったり、移動したりと意外と動く場面が多いものです。

すでに自分の足の形に馴染んでいる普段のブーツなら、靴擦れの心配はほとんどありません。痛みを気にせず、友人との会話や写真撮影に集中できることは、何にも代えがたいメリットと言えるでしょう。

2. 卒業式が終わった後も長く使える

卒業式用に買った編み上げブーツは、普段のファッションには合わせにくく、結局一度履いただけで靴箱の肥やしになってしまうことも少なくありません。これは非常にもったいないことです。

普段から愛用しているデザインのブーツであれば、卒業式が終わった翌日からまた日常使いができます。あるいは、卒業式を機に新調する場合でも、その後も使えるシンプルなデザインを選んでおけば、長く愛用できて経済的です。

全体のバランスを整える小物使いの工夫

ブーツが決まったら、最後に確認したいのが小物とのバランスです。足元だけを見て決めるのではなく、バッグや髪飾りを含めたトータルコーディネートとして捉えることが大切です。

特にシンプルなブーツを選ぶ場合、小物使いで華やかさをプラスしたり、統一感を出したりすることで、全体の完成度が格段に上がります。ちょっとした工夫で印象が変わるポイントを紹介します。

1. ブーツの雰囲気とバッグの素材を合わせる

ブーツとバッグの素材感を合わせると、全体に統一感が生まれます。例えば、レザーのブーツを履くなら、バッグも布製や巾着ではなく、レザー素材のものを選ぶとカチッとした正統派な印象になります。

逆に、スエード調のブーツなら、少しマットな質感のバッグを合わせるなど、質感のリンクを意識してみてください。また、ブーツの色とバッグの色を揃えるのも、失敗しない鉄板のテクニックです。

合わせやすいバッグの種類は以下の通りです。

  • がま口タイプのハンドバッグ
  • 小ぶりのレザーショルダー
  • シンプルなスクエアバッグ

2. 髪飾りのテイストと足元をリンクさせる

足元をモダンなブーツにするなら、髪飾りも古典的なつまみ細工だけでなく、少し洋風の要素を取り入れてみると素敵です。ドライフラワーやリボン、パールなどを使った髪飾りがよく合います。

「モダンな足元」と「モダンなヘアスタイル」で挟むことで、間の着物が古典柄であっても、全体が現代的でおしゃれな雰囲気にまとまります。上と下でテイストを揃えることを意識して、全身鏡でチェックしてみましょう。

まとめ

袴に合わせるブーツは、必ずしも編み上げである必要はありません。手持ちのサイドゴアブーツやシンプルなショートブーツでも、シルエットや丈感に気をつければ、十分に美しく、そして自分らしく着こなすことができます。

むしろ、履き慣れた靴を選ぶことで、足の痛みを気にせず卒業式を心から楽しめるという大きなメリットがあります。大切なのは、「決まり」にとらわれすぎず、全体のバランスを見ながら自分らしいスタイルを見つけることです。

卒業式は、学生生活最後の大切な節目です。無理をして足が痛かった記憶ではなく、素敵な袴姿で笑顔で過ごした記憶が残るよう、ぜひ賢くおしゃれな足元を選んでくださいね。あなたの晴れ姿が、最高に輝くものになることを応援しています。

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