「私、着物が似合わないかも」と鏡の前で不安になったことはありませんか?成人式や結婚式など、ハレの日に着物を着る機会は突然やってきます。
でも、安心してください。「似合わない」と感じるのは、あなたの顔立ちのせいではなく、単に「似合う選び方」を知らなかっただけかもしれません。洋服と同じように、着物にもあなたの顔タイプによって相性の良い柄や色が存在します。
この記事では、今話題の「顔タイプ診断」を用いて、あなたに一番似合う着物のスタイルを見つける方法をご紹介します。「和風顔」でなくても大丈夫です。自分だけの魅力を引き出す最高の一着を見つけに行きましょう。
着物が似合う顔タイプ診断とは?「和風顔」だけじゃないあなたに似合う柄と色を解説
ひと昔前までは、「着物が似合うのは日本的な顔立ちの人だけ」なんて言われていました。しかし、現代の着物ファッションはとても自由で、どんな顔立ちの人でも素敵に着こなせるようになっています。
まずは、なぜ「うりざね顔」神話にとらわれなくて良いのか、その理由を紐解いていきましょう。
昔ながらの「うりざね顔」だけが正解ではない理由
かつての着物美人といえば、切れ長の目に面長の輪郭という、いわゆる「うりざね顔」が理想とされていました。しかし、それはあくまで古典的な日本髪や、昔ながらの控えめな柄行に限った話です。
現代の着物は、デザインも色使いも驚くほど多様化しています。目がぱっちりした人や、堀の深い顔立ちの人にこそ映えるモダンな柄もたくさん登場しているのです。
時代が変われば「似合う」の定義も変わります。古典的な枠組みにとらわれず、今のあなたの魅力を活かす視点を持つことが大切です。
自分の顔立ちを知ることで着物選びが楽しくなる
自分の顔タイプを知ることは、着物選びの最強の羅針盤を手に入れるようなものです。「なんとなく選んだものがしっくりこない」という失敗が、驚くほど少なくなります。
「私はかわいい系が似合う」「私はクールな雰囲気が得意」といった軸ができると、膨大な反物の中から候補を絞りやすくなります。
結果として、試着が楽しくなり、自信を持って当日を迎えられるようになるでしょう。自分を知ることは、着物を楽しむための第一歩なのです。
まずは鏡でチェック!顔タイプを判断する2つのポイント
さっそく、あなたがどのタイプに近いのかをチェックしてみましょう。手鏡を用意して、自分の顔を客観的に観察してみてください。
診断の軸となるのは、「子供顔か大人顔か」という世代感と、「曲線か直線か」という形状の2点です。
輪郭やパーツの配置でわかる「子供顔」と「大人顔」の違い
まずは、顔の輪郭と目や鼻などの配置バランスを見ていきます。これによって、あなたが「可愛らしい印象」か「落ち着いた印象」かが分かります。
以下の特徴をチェックしてみてください。
- 顔の形が丸顔、または横幅を感じるベース型である
- 目の位置が離れ気味である
- 鼻の付け根(高さ)が低めである
これらに多く当てはまる場合は「子供顔」の傾向があり、若々しく親しみやすい印象を持っています。逆に、面長でパーツが中心に寄っている場合は「大人顔」で、落ち着いた美しさが特徴です。
目の形や頬のラインで見る「曲線タイプ」と「直線タイプ」
次に、顔の中にある「線」の特徴を見ていきましょう。これによって、似合う柄の形が決まってきます。
骨格やパーツの形状を確認します。
- 顔の輪郭に骨っぽさがなく、丸みがある
- 目が丸く、縦幅がある
- 頬の肉付きがふっくらとしている
これらが当てはまれば「曲線タイプ」、逆にフェイスラインがシャープだったり、切れ長の目だったりする場合は「直線タイプ」です。これらを組み合わせることで、以下の4つのタイプが見えてきます。
| 顔タイプ | 特徴 | イメージ |
|---|---|---|
| 子供顔 × 曲線 | 輪郭もパーツも丸みがある | キュート、愛らしい |
| 子供顔 × 直線 | 丸顔だがパーツは涼しげ | フレッシュ、爽やか |
| 大人顔 × 曲線 | 面長でパーツに丸みがある | フェミニン、女性らしい |
| 大人顔 × 直線 | 面長でパーツがシャープ | クール、凛とした |
ふんわり可愛らしい印象!「子供顔×曲線」タイプに似合う着物
「キュートタイプ」とも呼ばれるこのタイプの方は、年齢を重ねても可愛らしさが残るのが最大の魅力です。
全体的に丸みのある優しい雰囲気を活かすことで、着物姿がぐっと引き立ちます。柔らかさを意識して選んでみましょう。
小さめの花柄や水玉模様が得意な理由
このタイプの方には、丸みのある可愛らしい柄がぴったりです。梅や桜、手毬(てまり)といった、コロコロとしたモチーフがよく似合います。
逆に、大きすぎる柄や鋭角的なデザインは、お顔の優しさとケンカしてしまうことがあります。小花柄を散りばめた小紋などは、可憐な雰囲気を最大限に引き立ててくれるでしょう。
パステルカラーなど優しい色合いで魅力を引き出す
色選びのポイントは、強すぎない「ふんわりカラー」を選ぶことです。原色や黒などの強いコントラストよりも、淡いトーンが肌に馴染みます。
おすすめの色味は以下の通りです。
- パステルピンク
- クリームイエロー
- 若草色(明るいグリーン)
全体的に柔らかいグラデーションでまとめると、まるでお人形さんのような愛らしい着こなしが完成します。
さっぱりと親しみやすい!「子供顔×直線」タイプに似合う着物
「フレッシュタイプ」の方は、爽やかで親しみやすい、透明感のある雰囲気が魅力です。
作り込みすぎない、ナチュラルで抜け感のある着こなしがとてもよく似合います。
縞模様や幾何学模様などすっきりした柄が似合う
甘すぎる花柄よりも、すっきりとした直線的な柄が得意です。ストライプ(縞)や、格子柄、シンプルな幾何学模様などが垢抜けて見えます。
もし花柄を選ぶなら、写実的なものよりも、イラストのように簡略化されたモダンなデザインを選ぶとよいでしょう。甘さを抑えたデザインが、清潔感のあるお顔立ちを引き立てます。
無地感覚で着られるシンプルで爽やかなデザインを選ぶ
柄を主張しすぎない「無地場」の多い着物もおすすめです。江戸小紋のように、遠目には無地に見えるような細かい柄も粋に着こなせます。
色は、爽やかさを感じる寒色系や、明るめの色が得意です。
- 水色(ライトブルー)
- レモンイエロー
- ミントグリーン
ごちゃごちゃと色を混ぜすぎず、帯周りもシンプルにまとめると、洗練された現代的な着物美人になれます。
華やかで女性らしい!「大人顔×曲線」タイプに似合う着物
「フェミニンタイプ」の方は、大人っぽさと女性らしい柔らかさを兼ね備えた、女優さんのような華やかさがあります。
上品で優美なデザインを選ぶことで、その魅力がさらに開花します。
大きめの花柄や優美な曲線を描く柄が映える理由
お顔立ちに華があるため、着物の柄も大きくてインパクトのあるものがよく似合います。牡丹(ぼたん)や大輪の菊など、存在感のある花柄でも負けません。
また、「流水紋」や「藤」のように、流れるような曲線を描く柄も得意です。優雅なラインが、大人っぽい曲線の顔立ちと美しく調和します。
上品な紫やピンクなど落ち着いた色気のある色を選ぶ
色は、子供っぽくならない「大人カラー」を意識しましょう。パステルカラーよりも、少し深みのある色や、濁りのないきれいな色が似合います。
おすすめの色は以下の通りです。
- 藤色(ラベンダー)
- ローズピンク
- 赤紫
しっとりとした女性らしさを演出する色味を選ぶことで、品格のある美しさが際立ちます。
凛としてカッコいい!「大人顔×直線」タイプに似合う着物
「クールタイプ」の方は、凛とした強さと都会的な洗練さを感じさせる、ハンサムな美しさを持っています。
可愛い着物よりも、カッコいい着物を選ぶことで、誰よりもスタイリッシュな着姿になれます。
ストライプやモダンな柄でスタイリッシュに見せる
直線的なお顔立ちには、やはり直線的な柄がマッチします。縦のラインを強調するストライプや、矢絣(やがすり)などの伝統柄もモダンに着こなせます。
花柄を取り入れる場合は、茎や葉の直線的なラインが描かれているものや、ユリのようにシャープな花を選ぶと違和感がありません。
コントラストの効いた色合わせで顔立ちを引き立てる
ぼんやりとした色よりも、はっきりとしたコントラストのある配色が得意です。黒や紺といった濃い色をベースにすると、顔立ちがキュッと引き締まります。
以下のような組み合わせがおすすめです。
- 濃紺 × シルバー
- 黒 × ゴールド
- 深緑 × 白
メリハリのある色使いは、クールタイプの方の凛とした存在感をより一層高めてくれるでしょう。
顔立ちがはっきりした「洋風顔」の人が着物を着こなすコツ
「顔が濃いから着物が浮いてしまう」と悩む方もいますが、実はそれは大きな強みになります。
洋風な顔立ちは、現代的な着物のデザインと非常に相性が良いのです。
現代的なモダン柄や大正ロマン風のデザインを取り入れる
古典的な小紋だと少し寂しく感じる場合は、大胆なデザインに挑戦してみてください。大正ロマン風のレトロな柄や、洋花をモチーフにしたモダンな柄が驚くほど似合います。
幾何学模様や、アール・ヌーヴォー調のデザインなど、洋服感覚に近い柄を選ぶと、顔立ちとのバランスが取りやすくなります。
伝統的な古典柄を着るなら「色使い」をはっきりさせる
もちろん、伝統的な柄が着られないわけではありません。古典柄を選ぶ場合は、淡い色よりも、はっきりとした鮮やかな色を選ぶのがコツです。
顔のパーツの強さに負けないよう、着物の地色を濃い目にしたり、金糸や銀糸が入った豪華な帯を合わせたりしましょう。全体の「強さ」のバランスをとることで、ゴージャスに着こなせます。
着物の「柄の大きさ」は目の大きさとのバランスで決まる
意外と見落としがちなのが、「目の大きさ」と「柄の大きさ」の関係です。
ここを意識するだけで、全身のバランスが整って見えます。
目がぱっちりした人は大きめの柄でも負けない
目が大きく、目力がある人は、着物の柄も大きめのものを選びましょう。
顔のインパクトが強い分、柄が小さいと着物の印象が弱くなってしまいます。大胆な構図の着物を選ぶことで、顔と衣装が互いに引き立て合うベストバランスが生まれます。
切れ長の目や涼しげな目元の人は小紋柄が馴染みやすい
一方、涼しげな目元や切れ長の方は、細かい柄の集まりである「小紋」や、繊細な柄がよく似合います。
細やかな柄行きは、繊細な顔立ちをより上品に、知的に見せてくれる効果があります。全体的にすっきりとした、粋な着こなしを目指すと良いでしょう。
似合う色を見つけるには?肌の色と顔映りの関係
形や柄だけでなく、「色」も重要な要素です。洋服のパーソナルカラー診断の考え方は、着物にも応用できます。
顔色が明るく見える「パーソナルカラー」を意識する
肌の色が黄み寄りの「イエローベース」か、青み寄りの「ブルーベース」かで、似合う着物の地色は変わります。
イエベの方は温かみのあるオレンジや抹茶色が、ブルベの方は涼しげな青紫やグレー系が得意です。試着の際、顔色がパッと明るく見えるか、くすんで見えないかを必ずチェックしてください。
好きな色が似合わない場合は顔から遠い帯や小物で使う
「診断では似合わないと言われたけど、どうしてもこの色が好き」という場合もあるでしょう。そんな時は、諦める必要はありません。
苦手な色は、顔から離れた場所に取り入れればOKです。帯、帯揚げ、バッグ、草履などで好きな色を使いましょう。顔まわりさえ似合う色で固めれば、全体の調和は崩れません。
もっと素敵に見せる!半衿とヘアメイクでの微調整
着物そのものだけでなく、顔周りの演出で印象は大きく操作できます。ここが最後の仕上げです。
顔のすぐそばにある「半衿」の色柄で印象を変える
着物と顔の間にある「半衿(はんえり)」は、レフ板のような役割を果たします。
基本は白ですが、顔タイプに合わせて色や刺繍を入れると一気に垢抜けます。
- 子供顔の方: 刺繍入りの半衿で可愛らしさをプラス
- 大人顔の方: 光沢のある素材やシンプルな色衿で上品に
たった数センチの布ですが、ここを変えるだけで「似合う」に近づける魔法のアイテムです。
顔タイプに合わせたヘアセットとメイクで統一感を出す
着物だけ完璧でも、ヘアメイクがチグハグだと台無しになってしまいます。顔タイプに合わせてトータルコーディネートしましょう。
- 曲線タイプ: 後れ毛を出したり、ふんわりとしたまとめ髪にしたりする。
- 直線タイプ: 面を整えたタイトなまとめ髪で、すっきりと見せる。
メイクも同様に、リップの色や眉の形をタイプに合わせることで、全身の統一感が生まれます。
おわりに
顔タイプ診断は、あなたを型にはめるためのものではありません。「自分にはどんな魅力があるのか」を再発見するためのツールです。
診断結果を知ることで、「だからこの柄がしっくりきたのか!」という納得感や、「次はこんな色に挑戦してみよう」というワクワク感が生まれるはずです。
でも、一番大切なのは、あなたがその着物を着て「心が躍るかどうか」です。
診断結果はあくまでガイドラインとして活用し、最後はあなたの「好き」という気持ちを信じてください。あなたらしい最高の一着と出会い、素敵な着物時間を過ごせることを願っています。
