親族の結婚式が決まると、留袖の準備に追われますよね。着物は決まったけれど、「メイクはどうしよう?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。「留袖のメイクはプロに頼むべき?」それとも「自分でやっても大丈夫?」という疑問は、実はとても重要なんです。普段のメイクと着物用のメイクは全く別物だからです。
安易に決めてしまって、当日の写真を見て「なんだか顔だけ浮いている…」なんて後悔はしたくないですよね。この記事では、留袖にふさわしいメイクのポイントや、美容室オーダーとセルフメイクそれぞれのメリットを解説します。あなたにとってベストな選択ができるように、判断基準を一緒に見ていきましょう。
留袖にふさわしいメイクの特徴とは?
留袖を着る日は、いつもより少し背筋が伸びるような特別な一日ですよね。洋服の時と同じ感覚でメイクをしてしまうと、豪華な着物に顔が負けてしまうことがあります。まずは留袖ならではのメイクの鉄則を押さえておくことが大切です。
1. 普段のメイクと留袖メイクの決定的な違い
普段のメイクと留袖メイクで一番違うのは「肌の質感」と「平面的な美しさ」です。洋服のメイクは立体感を出して小顔に見せることが多いですが、着物は「平面的」な顔立ちの方が美しく映えると言われています。
ハイライトやシェーディングを駆使しすぎると、和装の上品さを損ねてしまうことがあるんです。能面のような…というと極端ですが、凹凸を強調しすぎない、滑らかで明るい肌作りが求められます。
2. 上品さと華やかさを両立させるバランス
留袖は黒地で重厚感があるため、ナチュラルメイクすぎると顔色が悪く見えてしまいます。かといって、アイシャドウを濃く塗りすぎると、派手すぎて品がない印象になりかねません。
ポイントは「口紅」でしっかりと血色感を出すことです。目元は切れ長を意識して上品にまとめつつ、リップは鮮やかな赤やローズ系を選ぶと、黒留袖とのバランスがグッと良くなりますよ。
3. 写真撮影を意識した立体感の重要性
結婚式では、集合写真やスナップ写真など、とにかく写真を撮られる機会が多いですよね。フラッシュや強い照明を浴びたとき、薄すぎるメイクだと顔のパーツが飛んでぼやけてしまうことがあります。
肉眼で見て「ちょっと濃いかな?」と思うくらいが、写真ではちょうど良く映るものです。特に眉とリップラインを丁寧に描くことで、遠目から見てもはっきりとした美しい顔立ちをキープできます。
プロに頼むか自分でやるか決めるポイント
「やっぱりプロにお願いしようかな」「いや、自分で頑張ってみようかな」と迷ってしまいますよね。どちらが正解というわけではなく、あなたの状況に合わせて選ぶのが一番です。判断するための基準を整理してみましょう。
以下のポイントを確認してみてください。
- メイク技術への自信
- 当日のスケジュール
- 予算の優先順位
まずは自分の腕前と相談です。普段からメイクが好きで、着物に合うメイクを練習する時間があるならセルフでも問題ありません。逆に、眉を描くのが苦手だったり、崩れないベースメイクに自信がなかったりするなら、プロに任せた方が安心感は大きいです。
次に時間の余裕です。当日は着付けやヘアセットもあり、朝は分刻みのスケジュールになります。自分でメイクをするとなると、焦ってアイラインがガタガタになってしまう…なんてハプニングも起きかねません。心に余裕を持ちたいなら、全てお任せするのが得策です。
美容室やホテルでプロに依頼するメリット
やはりプロの手を借りると、仕上がりのクオリティは格段に上がります。美容室やホテルでメイクを頼む最大の良さは、「安心感」を買えることではないでしょうか。具体的なメリットを見ていきましょう。
1. 客観的に見て似合う色や形を提案してもらえる
自分では「この色が似合う」と思っていても、着物を着た状態だと違和感が出ることがあります。プロは多くの着物姿を見てきているので、あなたの顔立ちと留袖の柄行を見て、ベストな色味を提案してくれます。
「少しキツく見えるかな?」と心配な場合も、相談すれば優しく見せる眉の形にしてくれます。客観的な視点で「一番きれいに見えるバランス」を作ってもらえるのは、プロならではの強みですね。
2. 長時間崩れにくいベースメイクの技術
結婚式は数時間に及びますし、披露宴で感動して涙することもあるでしょう。プロの技術ですごいのは、なんといってもベースメイクの崩れにくさです。下地から丁寧に作り込むので、時間が経っても美しい肌が続きます。
特に夏場の挙式や、暖房が効いている冬の室内では、汗や皮脂のコントロールが重要です。プロに任せれば、頻繁にお化粧直しに行けない状況でも、テカリやヨレを気にせず過ごせますよ。
3. 挙式当日にリラックスして準備ができる
当日の朝は何かとバタバタして緊張するものです。そんな中、椅子に座っているだけで綺麗にしてもらえる時間は、貴重なリラックスタイムになります。プロの手技に身を委ねることで、気持ちも落ち着きますよね。
メイク中に「今日のお着物、素敵ですね」なんて会話を楽しむ余裕も生まれます。晴れやかな気持ちで式に臨むための準備運動として、プロにお願いする価値は十分にあるはずです。
自分で留袖メイクをするメリット
一方で、自分でメイクをすることにも大きなメリットがあります。プロに頼むと「なんだか自分じゃないみたい」と違和感を覚える方もいますが、セルフならその心配はありません。
主なメリットとデメリットを比較してみましょう。
| 比較項目 | セルフメイク | プロにお任せ |
| コスト | 0円(手持ちの場合) | 5,000円〜10,000円 |
| 仕上がり | いつもの安心感 | 写真映えする美しさ |
| 手間 | 練習が必要 | 座っているだけ |
| 肌への負担 | 慣れた化粧品で安心 | 合わない場合も |
1. 使い慣れた化粧品で肌トラブルを防げる
敏感肌の方にとって、美容室の化粧品が肌に合うかどうかは大きな懸念点です。普段使い慣れている自分のコスメを使えば、肌荒れのリスクを最小限に抑えられます。これはセルフメイクの最大の安心材料ですね。
もちろん、プロに頼む場合でも自分の化粧品を持ち込むことは可能です。ですが、全て自分の道具で自分の手で仕上げる方が、肌のコンディションをコントロールしやすいと感じる方も多いでしょう。
2. 自分の顔のコンプレックスをカバーしやすい
「右の眉が描きにくい」「ここのシミは絶対に隠したい」といった細かいこだわりは、自分が一番よく分かっていますよね。他人に触られるとくすぐったい、思った通りに隠れていない気がする、というストレスもありません。
長年研究してきた「自分が一番よく見える角度や書き方」を活かせるのはセルフの強みです。着物に合わせつつ、いつもの自分らしさを残したいなら、自分でメイクするのも素敵な選択肢です。
3. 美容室代を節約できるコスト面での利点
結婚式の参列には、ご祝儀や着付け代、交通費など何かとお金がかかります。メイク代を節約できれば、その分をヘアセットのランクアップや、新しい草履の購入などに回せるかもしれません。
メイクは自分で済ませて、崩れにくいヘアセットだけプロに頼むという賢い使い分けもおすすめです。予算と相談しながら、どこにお金をかけるかメリハリをつけるのも大切ですね。
仕上がりに差が出る具体的なポイント
プロとアマチュアの違いは、実は「ちょっとした一手間」の積み重ねにあります。ここを押さえるだけで、セルフでもプロ級の仕上がりに近づけることができますよ。特に意識したい3つのポイントを紹介します。
以下の点に注目してメイクしてみてください。
- 肌の質感作り
- 眉のバランス
- 口紅の輪郭
1. 肌の明るさと陶器のような質感の作り方
留袖に合う肌は、ツヤツヤすぎるものよりも、セミマットで「陶器」のような質感が理想です。テカリに見えないよう、パウダーで丁寧に押さえて上品な肌を作りましょう。首の色と差が出ないようにトーンアップするのも忘れずに。
また、年齢が出やすい目元や口元のくすみは、コンシーラーできちんと消しておきます。このひと手間があるだけで、黒い着物を着た時に顔色がパッと明るく見え、疲れを感じさせない若々しい印象になります。
2. 着物に負けない眉の描き方と左右のバランス
着物メイクの要と言っても過言ではないのが「眉」です。普段より少し太めに、そして緩やかなアーチを描くように意識してください。細すぎたり角度がつきすぎたりする眉は、キツイ印象を与えてしまいます。
左右対称に描くのは難しいですが、眉頭の位置を揃えるだけでもバランスが整って見えます。眉尻を少し濃いめに描くと、横顔が引き締まって見え、伏し目がちになった時も色っぽさが漂いますよ。
3. 口紅のライン取りと発色の鮮やかさ
最近のナチュラルメイクではリップラインをぼかすことも多いですが、留袖の場合は逆です。リップライナーを使って、唇の輪郭をはっきりと取ることが重要です。これだけで、顔全体がきちんとして見えます。
色はベージュ系だと地味になりすぎるので、鮮やかな赤や深みのあるローズがおすすめです。口元に色があると、写真に写った時に表情がいきいきとして見え、お祝いの席にふさわしい華やかさが生まれます。
美容室でのメイク料金の相場
プロに頼むとなると、やはり気になるのがお値段ですよね。「高そう…」と身構えてしまう前に、一般的な相場を知っておくと予算が立てやすくなります。場所によって金額も変わってくるので確認しましょう。
料金の目安を以下にまとめました。
| 依頼先 | メイク料金目安 | 特徴 |
| ホテルの美容室 | 5,000円〜8,000円 | 移動が楽・着付け連携◎ |
| 街の美容院 | 3,000円〜5,000円 | 比較的リーズナブル |
| ヘアメイク専門店 | 4,000円〜6,000円 | 早朝対応・技術が高い |
1. ホテルの美容室と街の美容室での価格差
式場が入っているホテルの美容室は、どうしても割高になる傾向があります。その分、着付け室との連携がスムーズだったり、着崩れた時にすぐ直せたりといった安心料が含まれていると考えれば納得ですね。
一方、街の美容室は比較的リーズナブルです。式場の近くで評判の良い美容室を探して予約するのも一つの手です。ただ、移動時間を計算に入れないといけないので、雨の日などは少し大変かもしれません。
2. ヘアセットとメイクのセット料金の目安
多くの美容室では、「ヘアセット+フルメイク」のお得なセットプランを用意しています。別々に頼むよりも1,000円〜2,000円ほど安くなることが多いですね。相場としては、セットで10,000円〜15,000円程度を見ておくと良いでしょう。
さらに「着付け」もセットにすると、トータルでの割引率が高くなることもあります。バラバラに予約する手間も省けるので、一箇所でまとめてお願いできるサロンを探すのが効率的です。
3. 早朝料金や指名料など追加費用の確認
見落としがちなのが「早朝料金」です。結婚式が午前中の場合、美容室の開店時間前に対応してもらう必要があります。30分ごとに500円〜1,000円程度の早朝料金が加算されるのが一般的です。
また、人気のスタイリストさんを指名する場合や、つけまつげの装着をお願いする場合もオプション料金がかかることがあります。予約の電話をする時に、トータルの支払い額をしっかり確認しておきましょう。
失敗しない美容室へのオーダー方法
プロに任せたのに「思っていたのと違う…」となってしまうのは、実はコミュニケーション不足が原因のことが多いんです。美容師さんもエスパーではないので、あなたの好みを具体的に伝える工夫が必要です。
1. なりたいイメージを写真で伝える工夫
言葉だけで「上品に」「華やかに」と伝えても、その基準は人それぞれ違います。一番確実なのは、理想のメイク写真を見せることです。雑誌の切り抜きや、スマホの画像でOKです。
「この女優さんのような眉にしたい」「色味はこれくらい落ち着いた感じで」と視覚的に伝えれば、イメージのズレを最小限に防げます。逆に「これは嫌だ」というNG画像を見せるのも効果的ですよ。
2. 肌質やアレルギー情報の正確な伝え方
肌トラブルを避けるために、事前の申告は必須です。「アルコールが入っている化粧水はしみる」「ラメが入ったものは痒くなる」など、具体的であればあるほど美容師さんも配慮してくれます。
もし心配なら、ベースメイク用品だけは自分のものを持ち込んで「これを使ってください」とお願いしても大丈夫です。遠慮せずに伝えることが、結果として満足のいく仕上がりにつながります。
3. 照明の強さを考慮した濃さの相談
式場の照明についても伝えておくと、プロの技が光ります。「自然光が入るガーデンウェディングです」とか「窓のない披露宴会場でスポットライトが強いです」といった情報は、メイクの濃さを決める重要なヒントになります。
強いライトの下では、陰影をしっかりつけないと顔がのっぺりしてしまいます。当日のシチュエーションを伝えることで、その場に最適かつ写真映えするメイクを計算して仕上げてくれるはずです。
セルフで仕上げる時のベースメイクのコツ
「やっぱり自分でやる!」と決めた方のために、これだけは押さえてほしいベースメイクの手順を紹介します。ここさえ丁寧にやれば、プロ顔負けの崩れにくい肌が作れますよ。
手順は以下の通りです。
- コントロールカラー
- リキッドファンデーション
- フェイスパウダー
1. 肌のくすみを飛ばすコントロールカラーの選び方
ファンデーションを厚塗りして隠そうとすると、どうしても老けて見えてしまいます。そこで活躍するのがコントロールカラーです。大人の肌には、くすみを飛ばして血色を与える「ピンク」や「パープル」系がおすすめです。
目の下や小鼻の周りなど、影になりやすい部分に薄く仕込んでおきましょう。これだけで肌のトーンが均一になり、ファンデーションの量を減らすことができます。透明感を出すための土台作りですね。
2. 厚塗り感を出さずにカバーするファンデーション
ファンデーションは、顔全体に均一に塗る必要はありません。顔の中心(目の下から頬にかけての三角ゾーン)をしっかり塗り、フェイスラインに向かって薄く伸ばしていくのがコツです。
こうすることで自然な立体感が生まれ、首との境目も目立ちにくくなります。気になるシミなどは、コンシーラーでピンポイントにカバーしましょう。全体は薄付きに見えるのに、悩みは隠れている状態を目指します。
3. 汗や涙に強いフェイスパウダーの使い方
仕上げのフェイスパウダーは、メイク持ちを左右する重要なアイテムです。普段より少し多めにパフに取り、肌に押し込むようにして密着させましょう。特にTゾーンや小鼻は念入りに。
最後に何もついていない大きなブラシで余分な粉を払い落とせば、粉っぽさは残りません。この「粉を密着させてから払う」という工程が、時間が経っても涼しげな陶器肌をキープする秘訣です。
ポイントメイクで気をつけるべき注意点
ベースができたら、次はポイントメイクです。ここでは「足し算」と「引き算」のバランスが大切になります。全てを強調するのではなく、着物を引き立てるような色使いを意識してみてください。
1. 優しい印象を与える眉山の位置と角度
キリッとした眉も素敵ですが、留袖はお祝いの席で着るものなので、優しく柔らかな表情に見せたいですよね。眉山をカクッと上げすぎず、なだらかなカーブを描くように意識しましょう。
色は髪色や瞳の色に合わせるのが基本ですが、少しグレーがかったブラウンを選ぶと、黒留袖の重厚感とマッチします。眉尻が消えないように、アイブロウコートを塗っておくと安心ですよ。
2. 派手になりすぎないアイシャドウの色選び
アイシャドウは、肌馴染みの良いブラウン系やベージュ系が無難で失敗がありません。ラメが大粒のものはカジュアルに見えてしまうので、細かいパールの入った上品なものを選びましょう。
もし色を入れたい場合は、着物の柄に使われている色(例えば淡いピンクや紫など)を薄く目尻に入れる程度に留めます。あくまで主役は着物なので、目元は主張しすぎず、伏し目になった時にきれいに見えるグラデーションを心がけてください。
3. 顔全体を引き締めるリップカラーの選定
先ほども触れましたが、口紅は顔全体の印象を決める重要なパーツです。ヌーディーなベージュは顔色が悪く見えがちなので、少し深みのある赤や、華やかなローズピンクを選びましょう。
グロスでテカテカにするよりも、程よいツヤのあるセミマットな口紅の方が、着物の質感には合います。食事をしても落ちにくいティントタイプを仕込んでおくと、乾杯の時もグラスへの色移りを気にせず楽しめます。
当日までに準備しておきたいこと
メイクの技術も大切ですが、実は一番重要なのは当日の肌コンディションです。土台が整っていれば、メイクのノリも持ちも格段に良くなります。式直前になって焦らないよう、準備を進めておきましょう。
以下のチェックリストを活用してください。
- 保湿ケアの徹底
- シェービング(うぶ毛処理)
- 化粧品の残量チェック
1. 化粧ノリを良くするための事前のスキンケア
式の1週間前くらいからは、特に保湿を重点的に行いましょう。水分がたっぷり満たされた肌は、ファンデーションが吸い付くように馴染みます。前日の夜はシートパックでスペシャルケアをするのも良いですね。
ただし、当日の朝は油分の多いクリームを塗りすぎるとメイク崩れの原因になります。朝は水分補給を中心に、乳液やクリームは薄く伸ばしてしっかりハンドプレスし、ベタつきがなくなってからメイクを始めましょう。
2. うぶ毛処理と眉の形を整えるタイミング
着物を着ると襟足(うなじ)が見えるので、顔だけでなく襟足のシェービングも忘れずに行いましょう。理容室やシェービングサロンでプロにお願いすると、見違えるほど肌が明るくなります。
シェービングや眉カットは、肌への刺激を考えて式の3〜5日前までに済ませるのがベストです。前日に慌ててやって赤みが出てしまったら大変ですから、余裕を持って予約を入れておいてくださいね。
3. 手持ちの化粧品の使用期限と残量の確認
セルフメイクをする場合、意外と盲点なのが化粧品の残量です。「使おうと思ったらリキッドアイライナーがカスカスだった!」なんてことになったら目も当てられません。
久しぶりに使う勝負コスメがあるなら、変質していないか、色はちゃんと出るかを確認しておきましょう。パフやスポンジも新しいものに変えておくと、当日の仕上がりが一段と美しくなりますよ。
まとめ
留袖のメイクは、プロに頼むにしても自分でやるにしても、一番大切なのは「ハレの日にふさわしい品格」を意識することです。プロに頼めば安心感と客観的な美しさが手に入りますし、自分でやればいつもの安心感と納得感を得られます。
あなたの性格や当日のスケジュールに合わせて、無理のない方を選んでくださいね。どちらを選んだとしても、事前にしっかりと準備をしておけば大丈夫です。素敵なメイクで、思い出に残る一日を過ごせることを願っています。
