パーティーに着ていく着物の選び方は?立食と着席での違いやマナーを解説

パーティーの招待状が届くと、心が華やぐ反面、何を着ていこうか迷ってしまうことはありませんか?特に「パーティーに着ていく着物の選び方」は、ドレスコードや会場の雰囲気によって大きく変わるため、頭を悩ませるポイントですよね。

今回は、そんなお悩みを解決するために、パーティーでの着物選びや、立食と着席それぞれのマナーについて詳しく解説します。ちょっとしたコツを知っているだけで、当日の立ち振る舞いに自信が持てますよ。一緒に素敵な着物姿を目指しましょう。

目次

パーティーの招待状が届いた時の確認ポイント

招待状を受け取ったら、まずは慌てずに詳細を確認することが大切です。着物選びの失敗を防ぐには、事前の情報収集が何よりも重要になります。会場や会の趣旨に合わせた装いをイメージすることから始めましょう。

1. 開催場所の格式やドレスコードを確認する

まず最初にチェックすべきなのは、会場がホテルなのか、レストランなのか、あるいはガーデンパーティーなのかという点です。会場の格式によって、選ぶべき着物の格も自然と決まってきます。

  • ホテルの宴会場
  • レストラン
  • 屋外やカジュアルな会場

ホテルの格式高い宴会場であれば、重厚感のある訪問着などが安心です。一方で、レストランウェディングのような少し砕けた場であれば、軽やかな付け下げや色無地でも十分素敵ですね。

会場の床がカーペットかフローリングかによっても、歩きやすさが変わります。事前に会場のウェブサイトを見て、雰囲気を掴んでおくと心の準備ができますよ。

2. 結婚式かカジュアルな集まりかで区別する

パーティーの主旨が結婚式などの祝賀会なのか、それとも友人同士の気軽な集まりなのかを明確にしましょう。主役が誰なのかを考えることは、着物選びの基本中の基本です。

  • 結婚披露宴
  • 出版記念パーティー
  • 友人との食事会

結婚式であれば、新郎新婦や親族よりも目立ちすぎないような配慮が必要です。主役を立てつつ、場に華を添えるような装いが求められます。

カジュアルな集まりなら、少し遊び心のあるコーディネートも許されます。自分の好みを表現できるチャンスなので、季節のモチーフなどを取り入れて楽しんでみてください。

3. 主催者との関係性で立ち位置を考える

自分が招待された立場を再確認することも忘れてはいけません。主催者の先輩や上司として出席するのか、あるいは友人として参加するのかで、選ぶ着物が変わってくるからです。

  • 主賓・来賓
  • 一般の招待客
  • 主催者側の親族や関係者

主賓として招かれているなら、品格のある第一礼装に近い装いが望ましいでしょう。相手に対する敬意を服装で表すことができます。

逆に関係者側であれば、ゲストをもてなす動きやすさも考慮する必要があります。控えめながらも清潔感のある装いを心がけると、好感度がぐっと上がりますよ。

立食パーティーで動きやすく美しく装うコツ

立食パーティーは自由に動けるのが魅力ですが、着物にとっては少しハードルが高く感じるかもしれません。でも、ポイントさえ押さえれば、誰よりも優雅に振る舞うことができます。動きやすさと美しさを両立させる秘訣をお伝えします。

1. 袖が邪魔にならない所作と工夫

立食では、料理を取ったりグラスを持ったりと、腕を動かす機会が多くなります。その際、長い袖が料理に触れてしまわないか心配になりますよね。

  • 袖を軽く押さえる
  • 袂(たもと)をクリップで留める
  • 所作を小さくする

料理を取るときは、必ず反対の手で袖口や袂を軽く押さえるようにしましょう。これだけで見た目が美しくなるだけでなく、汚れ防止にもなります。

また、人混みの中では腕を大きく広げないことが鉄則です。脇を締めてコンパクトに動くことで、周囲への配慮が行き届いた上品な印象を与えられます。

2. 人と距離が近くても安心な着付けのポイント

立食パーティーは、隣の人との距離が近くなりがりです。ふとした瞬間にぶつかって着崩れてしまうのを防ぐため、着付けにも一工夫しておきましょう。

  • 腰紐をしっかり締める
  • 帯を少し高めに結ぶ
  • 裾を短めに着付ける

腰紐はいつもより少しだけしっかり締めておくと、動いても着物がズレにくくなります。帯の位置が高めだと、全体の重心が上がり、スタイル良く見える効果もありますよ。

裾は床すれすれではなく、気持ち短めに着付けるのがおすすめです。人混みで裾を踏まれるリスクを減らし、足さばきも軽快になります。

3. 裾を踏まないための歩き方の意識

立食では移動が多くなるため、歩き方一つで疲れ具合が変わってきます。着物の裾を自分で踏んでしまわないよう、普段とは違う意識が必要です。

  • 歩幅を小さくする
  • 内股気味に歩く
  • つま先に重心を乗せる

大股で歩くと裾が割れてしまい、だらしない印象になりかねません。歩幅は小さく、すり足のようなイメージで進むと、着物らしいしとやかな動きになります。

バックするときや方向転換するときは特に注意が必要です。急に振り返らず、体全体でゆっくりと向きを変えるようにすると、裾が絡まるのを防げます。

着席スタイルの食事会で長時間楽に過ごす方法

着席スタイルのパーティーでは、長時間同じ姿勢で座り続けることになります。美味しい食事を楽しむためにも、苦しくならない工夫が欠かせません。テーブル席でのマナーと合わせて、快適に過ごすための知恵をご紹介します。

1. テーブル席で苦しくない帯の締め方

座るとお腹周りが圧迫されるため、立っている時よりも帯がきつく感じることがあります。食事を最後まで楽しむためには、帯の締め加減が鍵を握ります。

  • 帯枕の紐を緩めにする
  • 帯板を柔らかいものにする
  • 食事前に深呼吸をする

帯枕の紐は、みぞおちに当たると苦しさの原因になります。少し下の位置で結ぶか、伸縮性のある紐を使うと楽に過ごせますよ。

また、着付けの最後に大きく深呼吸をして、帯の中に少し空気を入れるようなイメージを持ってみてください。このわずかな余裕が、食事中の快適さを大きく左右します。

2. 椅子の背もたれと帯の空間の保ち方

椅子に深く腰掛けると、せっかくのお太鼓が潰れてしまうことがあります。美しい後ろ姿をキープするためには、座り方にもコツがあるのです。

  • 浅めに腰掛ける
  • 背筋を伸ばす
  • 背もたれに寄りかからない

椅子には浅めに座り、背もたれとの間に拳一つ分くらいのスペースを空けるのが理想です。こうすることで帯が潰れず、姿勢も美しく保てます。

どうしても疲れて寄りかかりたい時は、帯の下の方だけを背もたれに当てるようにしましょう。お太鼓の形を崩さずに、少しだけ体を休めることができます。

3. ナプキンを膝にかける際の手順

着物を汚さないためにナプキンは必須アイテムですが、扱い方にもマナーがあります。和装ならではの美しい所作で、スマートに使いこなしたいですね。

  • 二つ折りにする
  • 輪を手前にする
  • 帯に少しかける

ナプキンは二つ折りにし、輪になっている方を自分のお腹側に向けて膝に置きます。こうすると、口を拭くときに内側を使えるので、汚れを人に見せずに済みます。

もしナプキンが大きければ、端を少し帯に挟むのも一つの手です。ナプキンが滑り落ちるのを防ぎ、着物の前身頃もしっかりガードできますよ。

パーティーにおすすめの着物の種類とは?

「結局、どの着物を着ていけばいいの?」という疑問にお答えします。パーティーシーンで活躍する代表的な着物をピックアップしました。それぞれの特徴を知って、自分らしい一着を見つけてください。

着物の種類特徴おすすめのシーン
訪問着華やかで格式高い結婚式、祝賀会、レセプション
付け下げ上品で控えめレストラン、観劇、お茶会
色無地シンプルで万能食事会、格式を問わない集まり

1. 華やかさと品格を兼ね備えた訪問着

訪問着は、肩から裾にかけて絵羽模様が描かれており、一枚の絵画のような美しさがあります。格式あるパーティーでは最も選ばれやすい着物です。

  • 豪華な刺繍や友禅染め
  • 季節の花鳥風月の柄
  • 明るく上品な色合い

広い会場でも映える華やかさがあり、主役級の存在感を放ちます。お祝いの席にふさわしい、喜びや吉祥を意味する柄を選ぶと喜ばれますよ。

ただし、柄が派手すぎると主役より目立ってしまうこともあります。会場の雰囲気や自分の年齢に合わせて、色柄のバランスを見極めることが大切です。

2. さりげないお洒落を楽しめる付け下げ

付け下げは、訪問着よりも柄が控えめで、あっさりとした印象の着物です。仰々しくなりすぎず、それでいてきちんとした場にも対応できる便利な一枚です。

  • ポイント柄が多い
  • モダンなデザインも豊富
  • 帯合わせで表情が変わる

立食パーティーや、友人との気軽な食事会にはぴったりです。訪問着だと少し堅苦しいかな、と感じる場面でも、付け下げなら自然に馴染みます。

最近は訪問着に近い華やかな付け下げも増えています。帯次第で格を上げたり下げたりできるので、コーディネートの幅が広がるのも魅力ですね。

3. シンプルで帯合わせが楽しい色無地

色無地は柄のない一色染めの着物で、帯や小物で個性を出しやすいのが特徴です。紋を入れれば準礼装にもなり、一つ持っていると非常に重宝します。

  • 地紋の美しさ
  • 自分に似合う色を選べる
  • 帯が主役になる

シンプルな分、帯の美しさが際立ちます。豪華な織りの帯を合わせれば格調高く、染めの帯なら柔らかい雰囲気にと、自在に印象を変えられます。

パーティーのテーマカラーに合わせて色を選ぶのも素敵ですね。着る人の人柄を引き立ててくれる、奥深い魅力を持った着物と言えるでしょう。

帯の結び方で後ろ姿の印象を変えるには?

着物は「後ろ姿で語る」とも言われます。帯結びは全体の印象を大きく左右する重要なポイントです。シーンに合わせて結び方を変えてみるのも、着物の楽しみ方の一つですよ。

1. 二重太鼓でフォーマルな装いにする

最も基本的で格式高いのが、袋帯を使った「二重太鼓」です。喜びが重なるようにという意味が込められており、お祝いの席には欠かせません。

  • 正統派の美しさ
  • きちんとした印象を与える
  • 崩れにくい安定感

背中に四角いお太鼓がピシッと決まると、それだけで背筋が伸びるような気がしますよね。どんな年代の方からも好感を持たれる、間違いのないスタイルです。

着席のパーティーでも、お太鼓なら背もたれに当たっても比較的直しがききます。迷ったらまずは二重太鼓を選べば、マナー違反になることはありません。

2. 変わり結びで華やかさをプラスする

少しカジュアルなパーティーなら、華やかな「変わり結び」に挑戦してみるのもおすすめです。帯の柄や長さを活かして、立体的な造形を楽しめます。

  • リボン風のアレンジ
  • ひだをたっぷり取る
  • 若々しい印象になる

特に振袖や訪問着に合わせると、後ろ姿がパッと明るくなります。美容師さんに着付けをお願いする場合は、希望のイメージを伝えてみましょう。

ただし、椅子に座る時間が長い場合は注意が必要です。立体的な結び方は潰れやすく、背中が痛くなることもあるので、立食パーティー向きかもしれません。

3. 帯揚げや帯締めで季節感を取り入れる

帯結びだけでなく、帯周りの小物使いも重要です。帯揚げや帯締めの色を変えるだけで、コーディネート全体がぐっと引き締まります。

  • 季節の色を取り入れる
  • 金糸銀糸で格を上げる
  • 飾り結びでアクセント

春なら桜色、秋なら紅葉色といったように、季節感を表現するのに最適なアイテムです。小さな面積ですが、意外と人の目に入りますよ。

パーティーなら、帯締めの房を上向きにするなどの細かいルールも意識したいですね。細部まで気を配ることで、着物上級者のようなこなれ感が生まれます。

草履やバッグなど小物の合わせ方

着物と帯が決まったら、次は小物選びです。特に足元と手元は、快適さと美しさに直結する部分。パーティーの形式に合わせて、最適なアイテムを選びましょう。

1. パーティー会場で疲れにくい草履の選び方

慣れない草履で長時間過ごすのは大変ですが、選び方次第で疲れを軽減できます。鼻緒が太めで柔らかいものを選ぶのが第一のポイントです。

  • 台にクッション性がある
  • 鼻緒が太くて柔らかい
  • 高さは5cm前後が目安

台が高い方がフォーマル度は増しますが、歩きやすさを考えると5cm程度がバランス良いでしょう。立食パーティーなら、なおさら履き心地を重視すべきです。

事前に家の中で少し履いて、足に馴染ませておくのもおすすめです。当日いきなり新品を履くと、靴擦れの原因になってしまいますからね。

2. 立食と着席で使い分けるバッグの大きさ

バッグは、パーティーの形式によって使い分けるのがスマートです。立食の場合は、常に持ち歩くことになるので、サイズ感が重要になります。

形式おすすめのバッグ理由
立食小ぶりのクラッチ手元が邪魔にならずスマート
着席利休バッグ・ハンドバッグ必要なものがしっかり入る
共通金銀の織り地フォーマルな場にふさわしい

立食では、グラスとバッグを同時に持つ場面も想定されます。小脇に抱えられるクラッチバッグや、チェーン付きの小ぶりなものが便利ですよ。

着席の場合は、膝の上や背中の後ろに置けるサイズが適しています。あまり大きすぎると置き場所に困るので、サブバッグを活用して荷物を分けるのが賢い方法です。

3. 末広(扇子)を持つ意味と扱い方

フォーマルな席では、末広(祝儀扇)を帯に差すのがマナーです。これは「末広がりに幸せが続くように」という願いが込められた縁起物なんですよ。

  • 左側の帯と帯揚げの間に差す
  • 金色の面を内側にする
  • 原則として仰がない

あくまで儀礼用なので、暑いからといってパタパタ仰ぐのはNGです。挨拶や写真撮影の時に手に持つことで、より丁寧な印象を与えることができます。

食事中などは帯に差したままで構いませんが、落とさないように注意しましょう。小さなアイテムですが、これがあるだけで格が一段上がります。

会場までの移動で使う羽織やコートの役割

会場に到着するまでの移動中も、着物姿を守るための配慮が必要です。特に大切な着物を汚さないために、羽織やコートは重要な役割を果たします。

1. 塵除けや防寒としてのコートの選び方

着物用のコートには、防寒だけでなく、塵や埃から着物を守る「塵除け」の意味もあります。季節や天候に合わせて適切なものを選びましょう。

  • 道行コート
  • 道中着
  • 雨ゴート

フォーマルな場には、襟元が四角く開いた「道行コート」が最も適しています。きちんとした印象を与え、中の着物もしっかりガードしてくれます。

天候が怪しい時は、撥水加工されたコートや雨ゴートを準備しておくと安心です。泥はねは着物の大敵ですので、足元のガードも忘れずに。

2. クロークに預ける際のマナーと畳み方

会場に到着したら、コートはクロークに預けるのが一般的です。その際、スムーズに預けられるよう、畳み方を予習しておくとスマートですね。

  • 表を内側にして畳む
  • コンパクトにまとめる
  • 荷物札をなくさない

コートの表側が汚れないように、裏返して畳むのが基本です。「本日はこちらをお願いします」と一言添えて渡すと、係の方への印象も良くなります。

草履の履き替えが必要な場合は、履いてきた靴を入れる袋も用意しておきましょう。自分の荷物をコンパクトにまとめておくのは、大人の嗜みです。

3. 会場の入り口で脱ぐタイミング

コートを脱ぐタイミングは、会場の建物の入り口、または受付の手前が基本です。洋装のコートと同じ感覚で、室内に入る前に脱ぐのがマナーです。

  • 建物の外かエントランス
  • 受付の前では脱いでおく
  • 塵を落とすイメージ

冬場など寒い場合は、エントランスホールに入ってから脱いでも構いません。ただし、パーティー会場の扉を開ける時には、すでに身軽な状態になっている必要があります。

脱いだコートを腕にかけて会場に向かう姿も、着物美人に見えるポイントです。バタバタせずに、余裕を持って準備を整えたいですね。

着物姿がより美しく見える立ち居振る舞い

美しい着物を着ていても、所作が美しくなければ魅力は半減してしまいます。着物ならではの体の動かし方をマスターして、優雅な立ち居振る舞いを目指しましょう。

1. グラスを持つ手がきれいに見える角度

乾杯のシーンなどでグラスを持つ際、脇が空いていると横柄に見えてしまいます。脇を軽く締め、肘を体に付けるようにすると、腕のラインが美しく見えます。

  • 脇を締める
  • 反対の手を添える
  • 指先を揃える

グラスの底に反対の手を軽く添えると、より上品で丁寧な印象になります。指先を揃えて伸ばすことを意識するだけで、手元が驚くほどきれいに見えますよ。

飲むときは顎を上げすぎず、グラスの方を口に運ぶようにしましょう。首筋が美しく見え、着物姿が際立ちます。

2. 階段の上り下りで裾を汚さないコツ

階段は着物にとって難所の一つですが、少しのコツでスムーズに移動できます。裾を踏まないように、右手で上前(うわまえ)を軽く持ち上げるのがポイントです。

  • 体を斜めに向ける
  • 上前を少し引き上げる
  • 袖を腕にかける

真っ直ぐ上るのではなく、体を少し斜めにして進むと足が動かしやすくなります。長い袖が階段に付かないよう、反対の腕にかけておくと安心ですね。

降りるときも同様に、足元をしっかり確認しながらゆっくりと。焦らず優雅に動くことが、結果として一番の安全策になります。

3. 記念撮影ですらりと映るポージング

パーティーでは写真を撮る機会も多いですよね。着物姿をすらりと細く見せるには、カメラに対して斜めに立つのが鉄則です。

  • 左足を少し引く
  • 右足を前に出す(Iラインを作る)
  • 手をおへその下で重ねる

真正面から写ると、どうしても幅広に見えてしまいます。体を斜めにし、片足を少し引くことで、縦のラインが強調されてスタイルアップ効果が狙えます。

背筋を伸ばし、顎を少し引いて微笑めば完璧です。帯の柄も見せつつ、全身のバランスを整えて素敵な一枚を残しましょう。

食事の際に袖や襟元を汚さないための所作

美味しい料理を目の前にしても、着物を汚すのが怖くて楽しめないのは残念ですよね。汚れを防ぐための所作を身につけておけば、心置きなく食事を堪能できます。

1. 乾杯のときに袖口を押さえる理由

乾杯で腕を上げると、袖口から腕が露出し、さらに袖が料理やグラスに触れる危険性が高まります。これを防ぐために、反対の手で袖口を押さえるのです。

  • 腕の露出を防ぐ(奥ゆかしさ)
  • 袖の汚れを防ぐ
  • 周囲への配慮

二の腕が見えるのは、和装ではあまり美しいとされません。袖口を軽くつまむように押さえることで、奥ゆかしさと品格を表現できます。

特に立食パーティーでは、隣の人に袖が当たらないようにする意味もあります。自分のためだけでなく、周りの人のためにも必要なマナーなんですね。

2. 料理を取り分ける際の手の動かし方

大皿から料理を取り分ける時は、袖が最大の懸念事項です。遠くの皿を取ろうとして袖が手前の料理に付いてしまう、なんてことは絶対に避けたいですよね。

  • 無理に遠くのものを取らない
  • 袖をしっかり押さえる
  • 近くの人にお願いする

遠くにある料理は、無理に手を伸ばさず「取っていただけますか?」と近くの人にお願いするのがスマートです。コミュニケーションのきっかけにもなりますよ。

自分で取る場合は、必ず袖を反対の手で押さえ、汚れないように細心の注意を払いましょう。この「押さえる」という動作が、着物所作の基本中の基本です。

3. 万が一こぼしてしまった時の応急処置

注意していても、うっかり食べこぼしてしまうことはあります。そんな時は慌ててこすらず、冷静に対処することが被害を最小限に食い止める鍵です。

  • 乾いた布やティッシュで吸い取る
  • 絶対にこすらない
  • 後でプロに任せる

水分なら、乾いたハンカチなどで優しく押さえて水分を吸い取ります。こすると汚れが繊維の奥に入り込んでしまうので、絶対にNGです。

その場では応急処置にとどめ、帰宅後にすぐ着物専門のクリーニングに出しましょう。「何もしない」が、実は一番賢い選択の場合も多いのです。

トイレや着崩れが気になった時の対処法

長時間のパーティーでは、トイレや着崩れの心配もつきものです。いざという時に焦らないよう、スマートな対処法を知っておくと安心感が違います。

1. 個室に入ったときの袖と裾のさばき方

着物でトイレに行くのは大仕事に思えますが、手順を覚えれば意外と簡単です。まず一番長い「袖」を処理することから始めましょう。

  • 袖を帯締めや帯揚げに挟む
  • 裾を左右に分けて持ち上げる
  • 終わったら元に戻して整える

両袖を前で合わせて結ぶか、帯締めに挟んで床につかないようにします。次に、裾(着物、長襦袢、裾除け)を一枚ずつめくり上げて固定します。

着物クリップを一つ持参しておくと、袖や裾を留めるのに非常に便利です。用を足した後は、必ず鏡で後ろ姿を確認し、おはしょり等がめくれていないかチェックしましょう。

2. 帯が下がってきたときの簡単な直し方

動いているうちに帯が下がってくるのはよくある悩みです。そんな時は、タオルやハンカチを使って応急処置をすることができます。

  • 帯の下にタオルを入れる
  • 帯を少し持ち上げる
  • 帯締めでしっかり固定する

帯の下側(お尻側)に小さく畳んだハンドタオルを挟み込み、下から支えるようにします。これだけで帯の位置が上がり、見た目もシャキッとします。

帯締めを一度解いて、しっかりと締め直すのも効果的です。トイレの個室など、人目につかない場所でこっそりと直しましょう。

3. 化粧室に行くベストなタイミング

パーティーの最中に中座するのは気が引けますが、我慢して着崩れたり体調を崩しては元も子もありません。タイミングを見計らって席を立つことが大切です。

  • 乾杯の後、食事が始まる前
  • メインディッシュが終わった後
  • お色直しの最中(結婚式の場合)

食事が始まってすぐや、スピーチの最中に立つのはマナー違反です。歓談の時間や、料理の切れ目を狙って静かに移動しましょう。

「少し化粧直しに」と言えば、スマートに席を外せます。余裕を持って行動することで、常に美しい状態をキープできますよ。

まとめ

パーティーでの着物選びとマナーについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。立食か着席か、会場の雰囲気はどうか、といった事前のリサーチが成功の鍵を握っています。

最初は色々と決まりごとが多くて大変に感じるかもしれません。でも、袖を押さえたり、歩幅を小さくしたりといった所作は、すべて「着物を美しく見せるため」のもの。慣れてしまえば、自然と優雅な振る舞いができるようになりますよ。

ぜひ、次回のパーティーでは自信を持って着物を着こなしてくださいね。あなたの華やかな着物姿が、会場をより一層明るく彩ること間違いなしです。

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