息子さんや娘さんのご結婚、本当におめでとうございます。いよいよ両家の顔合わせとなると、母親としてどんな服装で臨むべきか悩みますよね。「せっかくのお祝いだから訪問着を着たいけれど、張り切りすぎと思われないかしら?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。実は、両家顔合わせにおいて訪問着はとても良い選択肢なんです。
この記事では、両家顔合わせで母親が訪問着を着る際のポイントや注意点を、着物のプロの視点からわかりやすくお伝えします。相手のご家族に好印象を与えつつ、自分自身も楽しめるような素敵な装いを見つけましょう。大切なハレの日を、自信を持って笑顔で迎えられるようお手伝いしますね。
両家顔合わせに訪問着を着ていくのは正解?母親としての装い
結論から言うと、両家顔合わせの食事会に訪問着を着ていくのは大正解です。なぜなら、訪問着はフォーマルな場にふさわしい「準礼装」という格を持っているからです。結婚式ほど堅苦しくなく、でも日常着とは違う特別感を演出できるので、顔合わせというシーンにはぴったりなんですよ。
準礼装である訪問着が顔合わせに最適な理由
着物には「格」というランクがありますが、訪問着は留袖に次ぐ準礼装にあたります。この「準礼装」という立ち位置が、顔合わせのようなお祝いの席では非常に使い勝手が良いのです。相手のご家族に対しても、「あなたのために準備をしてきました」という敬意を目に見える形で伝えられますよ。
洋装でいうと、セミフォーマルなワンピースやスーツと同じくらいの感覚だと思ってください。ただ、着物というだけで場の雰囲気はぐっと華やかになりますし、きちんとした印象を与えられるのは間違いありません。迷っているなら、ぜひ自信を持って袖を通してくださいね。
おめでたい席に華を添える母親の役割
顔合わせの主役はもちろん新郎新婦ですが、母親の装いもその場の空気を作る大切な要素です。明るく上品な訪問着姿の母親がいるだけで、緊張感のある席がパッと明るい雰囲気に包まれます。これは洋服ではなかなか出せない、着物ならではの力と言えるでしょう。
また、これから親戚付き合いが始まる相手方に対して、「着物を大切に着る丁寧な家庭」という印象を持ってもらえるメリットもあります。控えめながらもお祝いの気持ちを装いで表現することは、母親としての大切な役割の一つだと私は思います。
会場の格式(料亭・レストラン)と着物の相性
訪問着を着るかどうか決める際、会場の雰囲気とのバランスを考えることも大切です。老舗の料亭やホテルの個室で行う場合、訪問着の格調高さは空間にとてもよく馴染みます。逆に、カジュアルなレストランの場合は少し浮いてしまう可能性もゼロではありません。
- 老舗料亭
- ホテル内の日本料理店
- 格式あるフレンチレストラン
こうした会場であれば、訪問着で訪れても全く違和感はありません。むしろ、お店の方からの扱いもより丁寧になることが多いですよ。会場が決まったら、一度ウェブサイトなどで内装や雰囲気をチェックしてみると安心ですね。
失敗しないための最重要ポイントは両家の「格」
訪問着を着るにあたって一番気をつけるべきなのは、相手の母親とのバランスです。これを「格合わせ」と言いますが、片方が普段着に近い服装で、もう片方が正装だと、お互いに気まずい思いをしてしまいます。事前にしっかりと調整しておくことが、成功への近道ですよ。
事前に相手の母親の服装を確認する方法
まずは、子どもを通じて相手の母親が何を着る予定か確認してもらいましょう。「こちらは訪問着を着ようと思っているけれど、あちらはどうされますか?」と素直に聞いてもらうのが一番です。もし相手が洋装のスーツであっても、格が揃っていれば問題ありません。
もし相手のお母様が「私は楽な格好で行くわ」とおっしゃる場合は、こちらも少しカジュアルダウンした着物にするか、あるいは洋装に合わせるなどの配慮が必要です。この事前のすり合わせさえできていれば、当日「しまった!」と焦ることはありません。
洋装と和装が混在しても問題ないケース
「相手が洋装で私が着物だと変かしら?」と心配する声をよく聞きますが、結論から言えば、格さえ合っていれば洋装と和装が混在しても大丈夫です。フォーマルなワンピースやスーツは、訪問着と同等の「準礼装」として扱われるからです。
| 服装の種類 | 格(ランク) | 相性の良さ |
| フォーマルスーツ | 準礼装 | ◎(訪問着と合う) |
| 上品なワンピース | 準礼装〜略礼装 | ◯(色柄による) |
| カジュアルな服 | 平服 | △(訪問着だと浮く) |
| 黒留袖 | 第一礼装 | △(顔合わせには重い) |
表のように、相手がスーツやきちんとしたワンピースであれば、こちらが訪問着でもバランスは取れています。むしろ「お互いに素敵ですね」と会話のきっかけになることも多いですよ。大切なのは服装の種類ではなく、お祝いに対する気持ちのレベルを合わせることです。
父(夫)の服装とのバランスの取り方
意外と忘れがちなのが、隣に並ぶ父親(夫)の服装とのバランスです。妻が立派な訪問着なのに、夫がヨレヨレのジャケットやノーネクタイでは、ちぐはぐな印象を与えてしまいます。ご夫婦で並んだ時の統一感も意識してみてくださいね。
- ダークスーツ
- 礼服(ブラックスーツ)
基本的には、男性はダークスーツに白やシルバーのネクタイを合わせれば間違いありません。もし訪問着がかなり華やかなものであれば、男性も礼服(ブラックスーツ)を選ぶと格負けせず、夫婦揃ってきちんとした印象になりますよ。
母親にふさわしい訪問着の色選びのコツ
いざ訪問着を選ぼうとすると、色柄の多さに驚かれるかもしれませんね。母親の立場で選ぶなら、「主役の新婦を引き立てつつ、自分も顔色が明るく見える色」を選ぶのが鉄則です。派手すぎず地味すぎない、絶妙なラインを狙っていきましょう。
顔映りが良く上品に見える淡い色の効果
50代、60代の母親世代には、肌を明るく見せてくれる淡い色が特におすすめです。濃い色は落ち着いて見えますが、場合によっては顔色が沈んで見えたり、強すぎる印象を与えたりすることもあります。パステルカラーのような柔らかい色は、優しげな母親像を演出してくれますよ。
また、淡い色は写真映りがとても良いんです。集合写真を撮ったときに、レフ板効果で顔周りが明るくなり、若々しい印象になります。後から写真を見返したとき、「この色にしてよかった」と思えるはずです。
ベージュや薄いピンク・水色が好まれる理由
具体的にどの色が人気かというと、ベージュ、薄ピンク、水色、若草色などが定番です。これらの色はどれも「控えめな華やかさ」を持っていて、誰からも好感を持たれやすい色なんですよ。
- クリーム系・ベージュ
- 薄いピンク・サーモンピンク
- 水色・藤色
- 若草色・ミントグリーン
ベージュやクリーム系は肌馴染みが良く、どんな帯にも合わせやすい万能カラーです。ピンク系は幸せオーラが出ますし、寒色系は知的で涼やかな印象になります。自分の肌のベースカラー(イエベ・ブルベ)に合わせて選ぶのも楽しいですね。
季節感を演出する色の選び方
着物の醍醐味といえば、季節を色で表現できることです。春なら桜色や若草色、秋なら落ち着いた黄色や茶系など、開催時期に合わせた色を取り入れると「粋」な装いになります。日本ならではの美意識を感じられて素敵ですよね。
ただ、季節を先取りするのが着物の粋とされていますが、顔合わせのような席ではあまり神経質になりすぎなくて大丈夫です。自分が着ていて心地よく、お祝いの気持ちが伝わる明るい色であれば、それが一番の正解ですよ。
お祝いの席にぴったりな柄の種類と意味
着物の柄には一つひとつ意味が込められています。顔合わせはおめでたい席ですから、幸せを願う意味が込められた柄を選ぶと素敵ですね。柄の意味を知って着ていると、会話の中で話題になったときにもスマートに答えられますよ。
縁起の良い吉祥文様や古典柄の特徴
「吉祥文様(きっしょうもんよう)」と呼ばれる、縁起の良い柄はお祝いの席に最適です。例えば、長寿を願う「鶴亀」や、繁栄を意味する「扇」などが代表的ですね。これらが入っているだけで、お祝いの気持ちを無言のうちに伝えられます。
- 松竹梅
- 鶴・亀
- 宝尽くし
- 扇面(せんめん)
- 七宝(しっぽう)
古典柄は流行り廃りがないので、長く着られるのも魅力です。もしお手持ちの訪問着にこれらの柄が入っていたら、まさに顔合わせのための着物と言っても過言ではありません。自信を持って着ていってくださいね。
花柄を選ぶ際におすすめの四季の花
花柄を選ぶ場合は、季節に合った花か、季節を問わずに着られる「四季草花(しきそうか)」が便利です。特に、牡丹や菊、桜などが描かれた華やかな訪問着は、お母様の表情をより優しく見せてくれますよ。
- 牡丹(ぼたん)
- 菊(きく)
- 桜(さくら)
- 藤(ふじ)
桜の柄は春のイメージが強いですが、写実的すぎない図案化された桜なら通年着ても良いとされています。ただ、どうしても季節感が気になる場合は、複数の花が描かれた柄を選んでおけば、どの季節に着ても安心ですよ。
柄の配置で変わる落ち着きと華やかさのバランス
訪問着は、柄が上半身(肩や胸)と裾に入っています。母親として出席する場合は、柄が全体にびっしりと入った総柄よりも、余白を生かしたすっきりとしたデザインの方が上品に見えます。
特に、胸元の柄が少なめのものは顔周りがすっきりとし、落ち着いた大人の女性という印象を与えます。逆に裾の方に華やかな柄が集まっていると、座ったときには見えにくいですが、立ち姿がとても美しくなりますよ。
開催時期に合わせた着物の仕立て(袷・単衣・薄物)
着物は洋服と同じように、季節によって生地や仕立て方が変わります。これを間違えると、暑くて汗だくになったり、季節外れで恥ずかしい思いをしたりすることも。開催月が決まったら、まずはその時期に適した着物の種類を確認しましょう。
| 月 | 着物の種類 | 特徴 |
| 10月〜5月 | 袷(あわせ) | 裏地あり。透けない。 |
| 6月・9月 | 単衣(ひとえ) | 裏地なし。透けない。 |
| 7月・8月 | 薄物(うすもの) | 裏地なし。透ける(絽・紗)。 |
10月から5月までの「袷(あわせ)」の基本
1年のうちで一番長く着られるのが、裏地のついた「袷(あわせ)」です。春、秋、冬の顔合わせであれば、基本的にこの袷の訪問着を選べば間違いありません。重厚感があり、写真映えも一番良いタイプですね。
最近は空調が効いているので、5月や10月の暖かい日だと少し暑く感じることもあります。そんなときは、肌着を夏用の涼しいものにするなど、インナーで調節するのが快適に過ごすコツですよ。
6月・9月の「単衣(ひとえ)」の選び方
季節の変わり目である6月と9月は、裏地のない「単衣(ひとえ)」を着るのがルールです。見た目は袷とあまり変わりませんが、軽くて風通しが良いのが特徴です。ただ、最近は温暖化の影響で5月後半や10月前半でも単衣を着るケースが増えています。
もし手持ちに単衣の訪問着がない場合は、無理に誂えたりレンタルしたりせず、気温に合わせて柔軟に考えても大丈夫です。ただ、正式なルールとしては単衣の時期だということを知っておくと、心構えが違いますよね。
7月・8月の夏の顔合わせと「絽(ろ)」の着物
真夏に顔合わせを行う場合は、「絽(ろ)」や「紗(しゃ)」といった透け感のある薄物を着ます。見た目にも涼やかで、周囲の人に清涼感を与えるのが夏着物のマナーです。絽の訪問着はとても上品で素敵ですよ。
ただ、真夏の着物はご本人にとって体力的な負担になることもあります。無理をして着物を着るよりも、涼しい洋装を選ぶのも賢明な判断です。体調と相談しながら決めてくださいね。
訪問着に紋は必要?家紋の有無と格の考え方
「訪問着に家紋は入れたほうがいいの?」という疑問もよく聞かれます。結論から言うと、顔合わせのような食事会の席では、紋の有無にそこまでこだわる必要はありません。むしろ、紋の数によって格が変わることを知っておくと便利です。
顔合わせの食事会なら一つ紋または紋なしでもOK
訪問着には、背中に一つだけ紋を入れる「一つ紋」が一般的です。これがあると格が上がり、お茶会や結婚式など幅広いシーンで使えます。顔合わせでも、一つ紋が入っていれば丁寧な印象になりますが、紋がない「無紋」でも全く失礼にはなりません。
最近の訪問着は、あえて紋を入れずにファッション性を重視したものも多いです。無紋の訪問着は、ちょっとしたパーティーや観劇などにも気軽に着ていけるので、汎用性が高いとも言えますね。
三つ紋を入れる場合に気をつけること
背中と両袖の後ろに紋が入る「三つ紋」は、訪問着としてはかなり格が高くなります。ここまでくると準礼装というよりは、よりフォーマル度が増すため、料亭などの格式高い会場には合いますが、カジュアルなレストランでは重すぎるかもしれません。
もしお手持ちの着物が三つ紋の場合は、相手方のお母様の服装とのバランスをより慎重に考える必要があります。相手が略礼装(ワンピースなど)だと、格の差が開きすぎてしまう可能性があるからです。
レンタル着物で紋がない場合の考え方
レンタル衣装を利用する場合、多くの訪問着には紋が入っていないか、誰でも使える「通紋(つうもん)」が入っています。実家の家紋と違っていても、あるいは紋がなくても、顔合わせの席では問題ありません。
「家紋が違うと失礼になるのでは?」と心配する必要はありませんよ。レンタルであることは最近では一般的ですし、何よりも「着物を着てお祝いする」という気持ち自体が尊いものです。
着物を引き立てる帯と小物のコーディネート
着物が決まったら、次は帯と小物選びです。ここでのポイントは「礼装用」で統一すること。普段着用の小物を合わせてしまうと、せっかくの訪問着の格が下がってしまいます。小物は全体の印象を引き締める名脇役なんですよ。
金糸や銀糸が入った袋帯の合わせ方
訪問着には、金糸や銀糸が織り込まれた「袋帯」を合わせるのが基本です。「二重太鼓」という結び方をして、「喜びが重なるように」という願いを込めます。キラキラと輝く帯は、お祝いの席に華やかさをプラスしてくれますね。
- 金地・銀地の袋帯
- 白っぽい明るい色の袋帯
- 吉祥文様が織り出された帯
黒っぽい帯よりも、白や金、銀ベースの帯の方が、お母様の装いとしては明るく上品に見えます。着物の柄の色とリンクさせると、全体に統一感が生まれておしゃれですよ。
帯揚げと帯締めで白や淡い色を使うマナー
帯の上に見える「帯揚げ」と、帯の中央を締める「帯締め」も、礼装用のものを選びましょう。基本は白、または白に金銀が入ったものですが、訪問着の場合は淡いピンクやクリーム色などのパステルカラーを使っても素敵です。
逆に、濃い色や原色の小物はカジュアルな印象になるため、顔合わせの席では避けたほうが無難です。小物まで淡いトーンでまとめると、全体が柔らかく上品な雰囲気に仕上がります。
草履とバッグを礼装用で揃える必要性
意外と見られているのが足元と手元です。草履とバッグはセットになっている礼装用のものを使うのが一番安心です。草履は台が高く、金や銀、淡い色のエナメルや布製のものがフォーマル用とされています。
- かかとの高さが4〜5cmある草履
- 金・銀・白ベースのバッグ
- 小ぶりのハンドバッグタイプ
普段使いの低い草履や、洋服用のバッグを合わせるのはNGです。特にバッグは、布製のサブバッグなどを一つ持っておくと、記念品などを持ち帰る際に便利ですよ。
黒留袖や色留袖・付け下げとの違いとは?
「家にある黒留袖じゃダメなの?」「付け下げって何?」と、他の着物との違いに迷うこともありますよね。それぞれの着物が持つ意味と、顔合わせに適しているかどうかを整理しておきましょう。
黒留袖は結婚式本番まで取っておくのが一般的な理由
黒留袖は、既婚女性の第一礼装です。最も格が高い着物ですが、これは主に「結婚式当日」に新郎新婦の母親が着るものです。顔合わせの席で黒留袖を着ると、あまりにも本格的すぎて「今日が結婚式?」と相手を驚かせてしまうかもしれません。
また、黒留袖は「相手をもてなす側の正装」という意味合いが強いため、両家が対等に会う顔合わせの場には少し重すぎるのです。結婚式本番まで楽しみにとっておきましょう。
色留袖を選ぶほうが適しているケース
色留袖は、黒留袖と同格か、紋の数によっては訪問着と同格になります。もし訪問着をお持ちでなく、派手すぎない上品な色留袖があるなら、それを着るのも選択肢の一つです。
特に、三つ紋や一つき紋の色留袖なら、訪問着と同じ感覚で着られます。ただし、柄が裾にしかないので、座った時の華やかさは訪問着の方が勝るかもしれません。会場の雰囲気に合わせて選んでみてください。
訪問着より少し控えめな付け下げの活用法
「付け下げ(つけさげ)」は、訪問着を簡略化した着物です。訪問着よりも柄が控えめで、あっさりとした印象のものが多いです。最近の付け下げは訪問着と見分けがつかないほど豪華なものもあり、「付け下げ訪問着」と呼ばれることもあります。
実は、あまり仰々しくしたくない顔合わせの席には、この付け下げが非常に便利です。「張り切りすぎず、でも失礼のない装い」を求めるなら、上品な付け下げを選ぶのも賢い選択ですよ。
着物姿をより美しく見せる身だしなみと振る舞い
素敵な着物を着たら、振る舞いも美しくありたいですよね。着物ならではの動きや身だしなみのポイントを押さえておくと、当日の所作がグッと洗練されます。「素敵なお母様だな」と思われる最後の仕上げです。
母親らしく清潔感のある髪型とメイクのポイント
髪型は、襟足が見えるようにアップスタイルにするのが基本です。着物の襟に髪がかかると清潔感が損なわれるだけでなく、着物を汚してしまう原因にもなります。美容院でセットしてもらうのが一番ですが、ご自身でまとめる場合も「きっちり感」を意識しましょう。
メイクは、着物の華やかさに負けないよう、いつもより少し丁寧に仕上げます。特に口紅は、顔色を明るく見せるローズ系やピンク系がおすすめです。派手すぎるラメや濃すぎるアイメイクは避け、品のあるナチュラルメイクを目指してくださいね。
食事の席で袖を汚さないための所作
食事中、一番気をつけたいのが「袖(たもと)」です。遠くのお皿を取ろうとして、袖が料理についてしまうのはよくある失敗です。手を伸ばすときは、反対の手で袖口を軽く押さえるようにしましょう。これだけで所作が美しく見えます。
また、ナプキンは必ず膝にかけますが、心配な場合は大きめのハンカチを持参して、帯の上あたりまで広げておくと安心です。「汚したらどうしよう」と気にするあまり食事が楽しめないのは残念ですから、事前の対策をしておきましょう。
写真撮影で美しく映るための立ち方
最後に記念撮影をする際、着物姿を美しく見せる立ち方があります。体を少し斜めに向け、片足を半歩後ろに引くようにして立つと、ほっそりとした綺麗なラインが出ます。手は前で軽く重ねて、おへその下あたりに置くと落ち着いて見えますよ。
- 正面を向かず、少し斜めに構える
- 背筋をピンと伸ばす
- 顎を少し引く
猫背になると着物が着崩れて見えてしまうので、背筋を伸ばすことだけは意識し続けてくださいね。これだけで、後から見返したくなる素敵な写真が残せますよ。
まとめ
両家顔合わせに訪問着を着ていくことは、お相手への敬意を表し、場を華やかにする素晴らしい選択です。何よりも、お母様が嬉しそうに着物を着ている姿は、お子さんたちにとっても誇らしいものになるはずです。
今回のポイントを振り返ると、以下の3つが特に大切でしたね。
- 事前に相手の母親と服装の「格」を合わせておくこと。
- 顔映りの良い淡い色や、おめでたい柄を選ぶこと。
- 季節や会場に合わせたコーディネートを意識すること。
着物は準備が少し大変に感じるかもしれませんが、袖を通した時の高揚感は特別なものです。どうか、形式にとらわれすぎず、ご自身もそのハレの日を心から楽しんでくださいね。素敵なお顔合わせになりますように、心から応援しています。
