「着物警察」に遭いたくない!街中で指摘されないための回避術と対処法を解説

「せっかく楽しみにしていた着物でのお出かけなのに、知らない人に声をかけられたらどうしよう」

そんなふうに不安を感じたことはありませんか?SNSなどでも話題になる「着物警察」という言葉ですが、実際に遭遇すると楽しい気分が台無しになってしまいますよね。

着物を着るハードルを上げてしまっているこの存在ですが、実はちょっとしたコツを知っているだけで、ターゲットにされる確率をぐっと下げることができます。

この記事では、着物歴の長い私が実践している「着物警察」に指摘されないための回避術と、万が一遭ってしまったときのスマートな対処法を紹介します。

安心して着物を楽しむための、心の準備として読んでみてくださいね。

目次

「着物警察」とはどんな人たちなのか

そもそも「着物警察」とは、どのような人たちを指すのでしょうか。もちろん本当の警察官ではありません。

街中や駅などで、見知らぬ着物姿の人に対して、頼んでもいないのに着付けやコーディネートの指摘をしてくる一般の方々のことです。

1. 街中で見知らぬ人の着付けを指摘する人

多くの場合、年配の女性であることが多いですが、実は男性のケースもあります。彼女(彼)たちは、ターゲットを見つけると突然近づいてきます。

そして、「帯が下がっている」「その季節にその着物は変だ」などと、一方的にダメ出しをしてくるのです。

2. 「教えてあげている」という善意と迷惑の境界線

厄介なのは、彼女たちの多くが悪意ではなく「善意」で動いているという点です。「私が正しいことを教えてあげなきゃ」という使命感に燃えています。

そのため、こちらが嫌がっていても「せっかく教えてあげているのに」と、逆に不機嫌になられることさえあるのです。

3. 勝手に体に触れて直そうとするケースもある

言葉だけの指摘ならまだマシかもしれません。中には、いきなり体に触れてきて、帯や襟元を直そうとする強引な人もいます。

いくら着物を直すためとはいえ、知らない人に突然触られるのは恐怖でしかありませんよね。

以下は、着物警察によく見られる行動パターンです。

  • 一方的な指導
  • 無許可の身体接触
  • 待ち伏せや追跡
  • 大声での指摘

こうした行動は、受け手にとってはハラスメントに近い恐怖体験となってしまいます。

どんなときにターゲットにされやすい?

着物警察は、誰彼構わず声をかけているわけではありません。実は、声をかけやすい「ターゲット」を選んでいる傾向があります。

「もしかしたら、自分が隙を見せているのかも?」と振り返ることで、対策が見えてくるはずです。

1. 裾や帯が少し崩れているとき

一番狙われやすいのが、着付けに「隙」があるときです。お太鼓の形が少し歪んでいたり、裾が歩いているうちに下がってきたりしていませんか?

彼女たちは、そうした「乱れ」を絶対に見逃しません。「だらしない」と判断されると、すぐに指導の対象になってしまいます。

2. 季節のルールと違う素材や柄を身につけているとき

着物には「袷(あわせ)」「単衣(ひとえ)」「薄物(うすもの)」といった、季節ごとの衣替えルールがあります。

最近は気温に合わせて柔軟に着るのが主流ですが、着物警察はカレンダー通りのルールを重視します。「10月なのに単衣はおかしい」といった指摘は、非常によくあるケースです。

3. 洋服とミックスした現代風の着こなしをしているとき

着物の下にブラウスを着たり、ブーツを合わせたりする「和洋折衷コーデ」も、ターゲットになりやすいスタイルです。

伝統を重んじる彼女たちにとって、こうした新しい着こなしは「乱れ」にしか見えないのかもしれません。自由なおしゃれを楽しんでいるだけなのに、理不尽に感じてしまいますよね。

よくある指摘の言葉と内容

敵を知るには、まず相手の手口を知っておくことが大切です。着物警察がよく口にするフレーズには、いくつかの決まったパターンがあります。

あらかじめ知っておけば、「ああ、またこのパターンのことか」と冷静に受け止められるようになりますよ。

1. 「お太鼓が下がっているわよ」などの着付けチェック

最も多いのが、帯周りへの指摘です。「お太鼓の山が低い」「タレ先が長すぎる」など、かなり細かい部分まで見ています。

自分では綺麗に着たつもりでも、プロ並みの厳しい基準でジャッジしてくるので、気にしすぎないことが大切です。

2. 「今の時期にその着物は季節外れ」というルールの押し付け

先ほども触れましたが、季節感に対する指摘も非常に多いです。「もう10月なのに、まだ夏物を着ているの?」といった言葉が飛んできます。

実際の気温が30度を超えていても、彼女たちの頭の中にある「暦」が絶対なのです。

3. 「もっとちゃんとした着物を着なさい」という素材への口出し

最近はポリエステルやデニムなど、手軽な素材の着物も人気です。しかし、着物警察の中には「着物は絹であるべき」という固定観念を持つ人もいます。

「そんな安っぽいものを着て」といった心ない言葉を投げかけられることもありますが、これは完全に好みの押し付けです。

以下に、よくある指摘と、その裏にある(かもしれない)心理を整理しました。

指摘の内容相手の主張・心理こちらの受け止め方
着付けの乱れ「私が直してあげなきゃ」親切心と思い込み、スルーする
季節外れ「ルールは絶対守るべき」今は気温優先の時代と割り切る
素材・コーデ「伝統を壊さないで」ファッションの自由を楽しむ

なぜ見知らぬ人に声をかけてくるのか

「放っておいてくれればいいのに、どうしてわざわざ声をかけてくるの?」と思いますよね。

その心理を少しだけ理解しておくと、遭遇したときの恐怖心が少し和らぐかもしれません。

1. 着物文化を正しく守りたいという強い正義感

彼女たちの根底にあるのは、実は「着物への愛」だったりします。「日本の伝統文化が廃れてしまう」「間違った着方が広まっては困る」という危機感を持っています。

その正義感が暴走した結果、見知らぬ他人への攻撃的なアドバイスになってしまっているのです。

2. 自分の知識を披露したい・教えたいという心理

単純に「私はこんなに詳しいのよ」と知識をひけらかしたい、マウンティングの心理が働いていることもあります。

先生のような立場で誰かに教えることで、優越感に浸りたいのかもしれません。このタイプは、相手が感謝しないと不機嫌になることが多いです。

3. 若い人が自由に着ていることへの複雑な感情

昔は着物のしきたりが今よりもっと厳しく、窮屈な思いをして着ていた世代もいます。

そのため、今の若い人たちが自由に、楽に着物を楽しんでいる姿を見ると、無意識に嫉妬心のようなものが芽生えてしまうのかもしれません。「私は我慢したのに」という気持ちが、厳しい指摘に変わるのです。

街中で遭遇しないための予防策

できれば遭遇せずに、平穏に一日を過ごしたいものです。着物警察を物理的に遠ざけるための、いくつかの予防策を紹介します。

「私はあなたのアドバイスを必要としていません」というオーラを出すことが最大の防御です。

1. イヤホンをして「話しかけないでオーラ」を出す

一人で歩くときは、イヤホンをしておくのが最も効果的です。音楽を聴いていなくても構いません。

「外の世界を遮断しています」というアピールになりますし、もし声をかけられても「聞こえませんでした」とそのまま通り過ぎる口実になります。

2. 足早に歩いて忙しそうな雰囲気を演出する

ゆっくりと散策していると、どうしても声をかけられる隙が生まれてしまいます。移動中は少し早歩きを心がけてみてください。

「急いでいる人」を引き止めてまで説教をする人は、さすがにそう多くはありません。目的地まではサッサと移動し、安全な場所でゆっくり過ごしましょう。

3. 一人ではなく友人やパートナーと一緒に歩く

着物警察は、一人でいる女性を狙う傾向が強いです。二人以上で会話しながら歩いているグループには、割って入ってくる勇気がない場合がほとんどです。

着物友達と一緒にお出かけするか、洋服の友人とでも良いので、誰かと一緒にいるだけで強力なバリアになります。

着物警察が寄ってきにくい人の特徴は以下の通りです。

  • 歩くスピードが速い人
  • イヤホンやヘッドホンをしている人
  • 誰かと楽しそうに会話している人
  • スマホを見て忙しそうにしている人

指摘されにくい着こなしのポイント

「予防策をしていても不安」という方は、着こなしの面でも防御力を高めておきましょう。

完璧を目指す必要はありませんが、パッと見たときの印象を整えるだけで、指摘される確率は下がります。

1. 着崩れ防止の便利グッズを上手に活用する

着付けに自信がないうちは、便利グッズに頼るのが賢い選択です。ゴム付きの帯板や、コーリンベルトなどを活用すれば、長時間歩いても着崩れしにくくなります。

道具を使って「綺麗な状態」をキープしていれば、着物警察も指摘するポイントを見つけられません。

2. 移動中は羽織やコートで帯周りを隠してしまう

一番指摘されやすい帯周りを、物理的に隠してしまうのも一つの手です。道行コートや羽織、大判のショールなどを羽織ってしまいましょう。

「中がどうなっているか見えない」状態にしてしまえば、そもそもチェックされることもありません。目的地に着いてから脱げば良いのです。

3. 姿勢を良くして堂々と歩くことで隙を見せない

実はこれが一番大切かもしれません。猫背でオドオド歩いていると、「自信がなさそう=教えてあげなきゃ」と思わせてしまいます。

背筋を伸ばして、堂々と前を向いて歩いてみてください。「私は私の着こなしに自信があります」という態度は、相手を怯ませる効果があります。

もし声をかけられてしまったときの対処法

万全の対策をしていても、運悪く遭遇してしまうことはあります。そんなときは、まともに相手をしないことが重要です。

議論したり反論したりせず、のらりくらりとかわして、その場を去ることに全力を注ぎましょう。

1. 「ありがとうございます」と笑顔で挨拶して受け流す

何を言われても「ありがとうございます!勉強になります〜」と笑顔で返し、足を止めずに去るのが最強です。

相手は「教えてあげた」という満足感を得られますし、こちらは話を聞かずに済みます。まともに会話のキャッチボールをする必要はありません。

2. 「急いでいますので」と伝えてその場をすぐに離れる

もし呼び止められそうになったら、「すみません、待ち合わせに遅れそうで!」と言って逃げましょう。

嘘でも構いません。この言葉には「あなたの話を聞く時間はありません」という明確な拒絶が含まれています。物理的に距離を取るのが一番の安全策です。

3. 「祖母の形見なんです」という嘘も方便で身を守る

着物やコーディネートを批判されたときに使える魔法の言葉が、「これ、祖母の形見なんです」です。

「形見」と言われると、さすがの着物警察もそれ以上は強く言えなくなります。自分のセンスを守るための「優しい嘘」として、ポケットに忍ばせておいてください。

対処法のステップをまとめました。

  1. 相手の目を見ず、足も止めない
  2. 「ありがとうございます」や「急いでます」と短く返す
  3. それでもしつこい場合は「形見です」で口封じをする

嫌な思いをしたあとの気持ちの切り替え方

もし不快な言葉を投げかけられてしまったら、どうしても心がモヤモヤしますよね。でも、そのせいで着物を嫌いになってほしくありません。

上手に気持ちを切り替えて、楽しい思い出を上書きしましょう。

1. 「今日は運が悪かっただけ」と割り切る

着物警察に遭うのは、道を歩いていて水たまり踏んでしまったようなものです。単なる「事故」であり、あなたが悪いわけではありません。

「今日はたまたま変な人に遭っちゃったな、運が悪かった!」と割り切って、すぐに忘れてしまいましょう。

2. 自分の着姿とセンスに自信を持つ

見知らぬおばさんの評価よりも、鏡に映った自分を信じてください。「今日の私は可愛い」「この組み合わせが好き」という気持ちが一番大切です。

あなたの着こなしは、あなたが楽しむためのものです。他人の物差しで測られる必要なんて、どこにもありません。

3. 着物友達やSNSで共有して共感してもらう

一人で抱え込まず、誰かに話して発散するのもおすすめです。SNSには同じような経験をした人がたくさんいます。

「今日こんなこと言われちゃった」と発信すれば、「気にしなくていいよ!」「そのコーデ素敵だよ!」と、たくさんの味方が励ましてくれるはずです。

令和の時代は「自由な着こなし」でいい

最後に伝えたいのは、今はもう「令和」だということです。着物の世界も少しずつ、でも確実に変わってきています。

古いルールに縛られるよりも、今の時代の空気に合った楽しみ方をしていいんです。

1. 時代によって着物の「正解」は変わっていく

そもそも、明治、大正、昭和と、時代ごとに着物の流行や常識は変わってきました。今「正しい」とされていることも、かつては「新しい」ことだったはずです。

ですから、今の時代に合わせた新しい着方が生まれるのは、とても自然なことなのです。

2. ファッションとして楽しむことが一番大切

着物は「式典のための衣装」である前に、「ファッション」の一つです。洋服と同じように、自分の個性を表現するツールであっていいはずです。

ルールを守ることよりも、「着ていて楽しい」「気分が上がる」という感覚を大切にしてください。

3. 完璧を目指さず「着たいものを着る」気持ちを持つ

最初から完璧に着られる人なんていません。プロだって、最初は失敗しながら覚えたはずです。

多少シワがあっても、季節が少しずれていても、あなたが笑顔で着ているならそれが「正解」です。「着たいものを着る」という勇気が、新しい着物文化を作っていきます。

まとめ:着物をもっと楽しむために

ここまで、着物警察への対策や心構えについてお話ししてきました。少しは不安が解消されたでしょうか?

街中には口うるさい人もいますが、それ以上に「着物姿、素敵ですね」と温かい目で見てくれる人もたくさんいます。

私自身、着物を着ていて「良いお着物ね」「見ているだけで涼しくなるわ」と声をかけられ、嬉しくなった経験のほうが圧倒的に多いです。

一部の声の大きい人たちに遠慮して、着物を楽しむのをやめてしまうのは本当にもったいないことです。

ご紹介した「イヤホン作戦」や「羽織ガード」、そして何より「堂々とする」というマインドセットを持って、ぜひ次のお休みも着物でお出かけしてください。

あなたが楽しく着物を着続けることが、一番の着物警察対策になるはずです。

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