丈が短いアンティーク着物「おはしょりなし」で着る対丈(ついたけ)テクニックを解説

リサイクルショップや骨董市で、運命の一着に出会うことってありますよね。色も柄もドストライクで「絶対に着たい!」と思ったのに、いざ羽織ってみると丈が短すぎてショックを受けることも多いのではないでしょうか。アンティーク着物は昔の人の小柄な体型に合わせて作られているので、現代人の私たちにはどうしてもサイズが足りないことがよくあるんです。

そこで諦めてしまうのは、正直とてももったいないですよ。実は、丈が短いアンティーク着物でも「対丈(ついたけ)」というテクニックを使えば、おはしょりなしでお洒落に着こなすことができます。私自身もこの方法を覚えてから、着物選びの幅がグンと広がりました。今回は、そんな魔法のような対丈の着方について、誰でも実践できるように詳しく解説しますね。

目次

丈が短いアンティーク着物を救う「対丈」とはどのような着方?

「対丈」という言葉を初めて聞く方もいるかもしれませんね。これは簡単に言うと、着物の丈を自分の身長に合わせて、余分な生地を折り畳まずに着る方法のことです。通常のおはしょりを作る着方とは違い、まるでロングワンピースのような感覚で着物を纏うスタイルですね。

着付け教室などで習う「おはしょり」は、着丈を調整するための重要な工程ですが、丈が足りない着物ではそもそも布が余りません。無理におはしょりを出そうとすると、腰紐が見えてしまったり着崩れの原因になったりします。対丈は、その「足りない事実」を逆手に取った、非常に合理的な解決策なんですよ。

1. おはしょりを作らずに真っ直ぐ着る方法

対丈の最大の特徴は、帯の下におはしょりが出ないことです。腰紐を結ぶ位置で裾の高さを決めたら、そのまま帯を締めて完成させます。お腹周りがモコモコしないので、見た目が非常にスッキリするという嬉しい効果もありますね。

おはしょりを綺麗に整えるのは、着付けの中でも特に難しいステップの一つです。その工程を丸ごとカットできるので、初心者さんにとっても実はハードルが低い着方と言えるでしょう。短い着物を無理やり着るための妥協策ではなく、一つの完成されたスタイルなんです。

2. 昔の日本人も実践していた着こなしの歴史

「おはしょりがないなんて邪道では?」と心配になる方もいるかもしれませんが、安心してください。実はおはしょりを作って着るようになったのは、明治時代以降と言われています。それ以前の江戸時代などは、引きずって着るか、今の対丈のように着るのが一般的でした。

つまり、対丈は新しい流行り廃りではなく、日本の着物文化における「原点回帰」とも言える着方なんです。特に昔の女性は、家事や労働の際に動きやすいように短めに着付けることもありました。歴史的な背景を知ると、自信を持って対丈を楽しめるようになりますよね。

3. レトロでモダンな雰囲気が出るメリット

対丈で着ると、全体のシルエットが縦長に見えてとてもスタイリッシュです。おはしょりによる横のラインが入らない分、スラッとした印象を与えられます。特にアンティーク着物の大胆な柄行きと合わせると、大正ロマンのようなレトロでモダンな雰囲気が際立ちますよ。

現代の洋服の感覚に近いので、帽子やブーツといった洋装小物とも相性が抜群です。「着物はこうあるべき」という固定観念から少し離れて、ファッションとして自由に楽しめるのが対丈の大きな魅力ですね。

おはしょりなしで着てもマナー違反にはならない?

着物を着る時に一番気になるのが「TPO」や「マナー」ですよね。おはしょりがない状態が、周りからどう見られるのか不安に思うのは当然のことです。結論から言うと、時と場所さえ選べば全く問題ありませんし、むしろ粋な着こなしとして評価されることもあります。

大切なのは、その着物を着て「どこに行くか」です。対丈はフォーマルな式典などには向きませんが、お友達とのランチや観劇、街歩きなど、プライベートなシーンでは自由に楽しんで良いスタイルです。着物のルールを知った上で、あえて崩すのが大人の楽しみ方ですよね。

1. 普段着や街着なら自由に着て大丈夫

対丈はあくまで「普段着」としての着方だと割り切ることが大切です。洋服で言えば、ジーンズやカジュアルなワンピースのような位置付けですね。結婚式や格式高いお茶会などに着ていくのは避けたほうが無難ですが、それ以外の場面なら堂々と着て歩いて大丈夫ですよ。

街中で見かける着物姿の方々も、最近は自由な着こなしを楽しんでいる方が増えています。特にアンティーク着物を好むコミュニティでは、対丈は非常にポピュラーなスタイルです。「ルール違反かな?」と縮こまらずに、個性を表現する手段として捉えてみてください。

2. フォーマルな場以外での楽しみ方

美術館巡りやカフェでの女子会など、ちょっとしたお出かけに対丈はぴったりです。かしこまった席ではないので、自分自身のテンションが上がるコーディネートを優先しましょう。短い丈を活かして、可愛い靴下を見せたりするのも遊び心があって素敵ですね。

もし誰かに「おはしょりがないわよ」と指摘されたら、「アンティークなので対丈で着ているんです」と笑顔で返せばOKです。知識として「あえてそうしている」ことが伝われば、相手も「なるほど、そういう着方なのね!」と納得してくれるはずですよ。

3. 着物の柄を全体で見せられる良さ

通常のおはしょりを作る着方だと、せっかくの柄が腰の部分で途切れてしまうことがあります。特にお気に入りの絵柄がちょうどおはしょりの内側に隠れてしまうと、悲しい気持ちになりますよね。対丈なら、肩から裾まで一枚の絵のように柄を見せることができます。

アンティーク着物は、全体に大胆な柄が描かれているものが多いですよね。そのデザインを余すところなく全身で表現できるのは、対丈ならではの特権です。着物の作り手が見せたかった世界観を、そのまま身に纏うことができるなんて素敵だと思いませんか。

対丈で着るのに向いている着物の長さとサイズ感

「どのくらい短くても対丈なら着られるの?」という疑問にお答えしましょう。一般的に、おはしょりを作るには「身長±5cm」の身丈が必要と言われています。しかし対丈の場合は、極端な話、肩から足首までの長ささえあれば着ることができます。

リサイクルショップで着物を選ぶ際、これまでは「身丈150cm以下は無理」と諦めていたものも、選択肢に入ってくるようになります。自分の中でのサイズ基準が変わると、宝探しのような着物選びがもっと楽しくなりますよ。

1. 身長と同じくらいの身丈がなくても着られる基準

具体的には、自分の身長からマイナス10cm〜15cm程度までなら、対丈で十分に綺麗に着られます。例えば身長160cmの方なら、身丈145cmくらいの着物でも問題ありません。おはしょり分の布(約20〜25cm)が必要なくなるからです。

もちろん、体型や紐を結ぶ位置によって多少の個人差はあります。試着ができるなら、一度羽織って腰紐をウエストで結んでみてください。その状態で裾が床にギリギリ届けば、十分に着こなせる可能性がありますよ。

2. くるぶしが見えるくらいの短さでも可愛く着るコツ

もし、さらに丈が短くてくるぶしが見えてしまう場合でも諦めないでください。むしろ、その短さを活かした「短め着付け」がアンティーク着物にはよく似合います。足首を少し見せることで、軽やかで若々しい印象になるんです。

あえて短めに着付けて、下にプリーツスカートやペチコートを重ね着する方法もあります。これなら丈の短さが気にならないどころか、レイヤードスタイルとしてのお洒落度がアップします。丈が足りないことは、工夫次第で強みにもなるんですよ。

3. 身幅が狭いアンティーク着物との相性

丈だけでなく、アンティーク着物は「身幅」も狭いことが多いですよね。対丈で着る場合、おはしょりがない分、布の重なりが少なくなるので、身幅の狭さが目立ちにくくなるというメリットがあります。上前が少し浅くなっても、下に何か履いていれば安心です。

ただし、あまりにも身幅が狭すぎて座った時に太ももが見えてしまうのは避けたいところです。下前の位置を工夫したり、歩き方を少しおしとやかにしたりする意識は必要かもしれませんね。サイズが完璧でなくても愛せるのが、アンティークの良さでもあります。

丈が短い着物を対丈で綺麗に着るための下準備

いきなり着始める前に、対丈ならではの下準備をしておくことが成功の鍵です。通常のおはしょりを作る着付けとは、紐を締める位置や補正の考え方が少し違います。ここを丁寧に行うだけで、仕上がりの美しさと着崩れにくさが段違いになりますよ。

特に対丈は、帯から下がストンと落ちるシルエットになるため、土台となる体のライン作りが重要です。寸胴に見せるための補正も大切ですが、それ以上に「紐が滑らない工夫」をしておくことが、一日快適に過ごすためのポイントになります。

1. 腰紐を締める位置をウエストジャストにする理由

通常の着付けでは腰骨の上あたりで腰紐を結びますが、対丈の場合は「ウエストのくびれ」部分でしっかり結ぶのが鉄則です。理由は単純で、丈を稼ぐためと、紐がずり落ちてくるのを防ぐためです。高い位置で結ぶことで、その分裾を長く保つことができます。

ウエストで結ぶとお腹が苦しくなりそうですが、紐の種類を工夫すれば大丈夫です。ゴム製のウエストベルトなどを使うと、食い込みも少なく楽に過ごせますよ。この位置決めが、対丈のシルエットを左右する一番の重要ポイントだと思ってください。

2. 襟元が崩れないようにするためのコーリンベルト活用

おはしょりがない対丈では、後から襟元を直すためのおはしょりを引っ張るという修正ができません。つまり、最初の段階で襟元を完璧に固定しておく必要があります。そこで活躍するのが「コーリンベルト」という便利アイテムです。

  • コーリンベルト

コーリンベルトを使えば、胸元でしっかりと襟を挟んで固定できるので、時間が経っても襟が開いてくるのを防げます。紐だけで着付けるよりも格段に安定感が増すので、対丈初心者さんには必須のアイテムと言えるでしょう。

3. 滑りやすい素材の着物に必要な補正の工夫

銘仙などのツルツルした素材が多いアンティーク着物は、動いているうちに裾が落ちてきやすいのが難点です。ウエストのくびれにタオルなどを巻いて補正をし、紐が食い込む「引っかかり」を作っておくと良いでしょう。摩擦を増やすイメージですね。

補正を入れすぎると着膨れして見えてしまうので、薄手のタオル1枚程度で十分です。また、腰紐自体も滑りやすい化繊のものではなく、モスリン(ウール)や綿素材のものを選ぶと、グリップ力が上がって着崩れ防止になりますよ。

実際の手順!おはしょりなしで着付ける基本テクニック

それでは、実際の着付け手順を見ていきましょう。難しそうに感じるかもしれませんが、工程が少ない分、慣れれば通常の着付けよりもずっと早く完了します。「長さを決めて、巻くだけ」というシンプルな構造をイメージしてくださいね。

ポイントは、最初に決めた裾の位置を最後まで死守することです。途中で手を離すとズルズルと下がってきてしまうので、腰紐を結ぶまでは気を抜かずに布を抑えておくことが大切です。鏡を見ながら、自分にとってベストな長さを見つけていきましょう。

1. 裾の長さを決めてから腰紐を結ぶ流れ

まず着物を肩にかけたら、襟先を持って裾の長さを決めます。この時、床すれすれにするのか、少し短めにするのかを決定します。通常はおはしょりで後から調整できますが、対丈はここで決めた長さがそのまま仕上がりになるので慎重に決めましょう。

  1. 裾の決定
  2. 上前合わせ
  3. 腰紐結び

位置が決まったら、その高さをキープしたまま腰紐をウエスト位置でギュッと結びます。この瞬間が一番緊張しますが、一度結んでしまえばこっちのものです。背中のシワを伸ばす時は、裾が持ち上がらないように優しく行ってくださいね。

2. 上前の幅を合わせてスッキリ見せるコツ

下前(右側の布)を巻き込む際、余分な布を少し持ち上げるようにして中に入れ込むと、裾すぼまりの綺麗なラインが作れます。これを「つまみ」と言いますが、対丈でもこの一手間を加えるだけで、プロっぽい仕上がりになりますよ。

上前(左側の布)を合わせる時は、右腰のあたりで少しだけ上に引き上げると、足元のラインが美しく見えます。ただ真っ直ぐ巻きつけるだけだと筒のようになってしまうので、少しだけ角度をつける意識を持つと、野暮ったさが消えて洗練された印象になります。

3. 余った布を処理する必要がないので着付けが早い

腰紐を結んだ後、通常ならおはしょりを整える長い戦いが始まりますが、対丈ならそれがありません。胸紐をかけて襟元を整えたら、もう伊達締めをして帯へと進めます。このスピード感に慣れると、急いでいる時はついつい対丈を選びたくなってしまうほどです。

おはしょりのモコモコを平らにしたり、斜めになったラインを直したりするストレスから解放されるのは大きいです。着付けの時短ができる分、帯結びやヘアアレンジに時間をかけられるのも、対丈ならではの嬉しいメリットと言えますね。

対丈の着こなしをスタイル良く見せる帯の位置

おはしょりがない分、帯の位置が全体のバランスを決定づけます。何も考えずに普段通りに帯を巻くと、なんとなく胴長に見えたり、子供っぽく見えたりすることがあります。対丈には対丈に合った、ベストな帯位置があるんです。

視覚的な錯覚を上手く利用して、スタイルアップを狙いましょう。帯の位置を数センチ変えるだけで、脚が長く見えたり、全体の雰囲気が大人っぽくなったりします。鏡で全身を見ながら、自分に似合う「黄金バランス」を探ってみてください。

1. 帯を少し低めに結んでバランスを取る方法

おはしょりがないと、帯から下の面積が広く見えすぎて、間延びした印象になることがあります。そこで、帯を通常より気持ち「低め」に結ぶのがおすすめです。お腹の下の方で帯を支えるイメージですね。

低めに結ぶことで、重心が下がって落ち着いた大人の雰囲気を演出できます。特にアンティーク着物は柄が華やかなので、帯を下げて柄の見える面積を少し調整することで、派手になりすぎず上品にまとまる効果もありますよ。

2. 帯揚げや帯締めをアクセントにする視覚効果

帯周りの小物使いも重要です。帯揚げを少しふっくらと見せることで、おはしょりがない分の「間」を埋めることができます。帯と着物の境目を曖昧にすることで、自然な繋がりを持たせるテクニックですね。

  • 帯揚げ
  • 帯締め
  • 帯留め

帯締めは、少し斜めに結んだり、大きめの帯留めを使ったりして視線を集中させましょう。見る人の目が帯周りのポイントに行けば、着丈の短さや仕立ての粗さに気づかれにくくなります。小物は着こなしの名脇役なんですよ。

3. 半幅帯を使ってカジュアルに仕上げるポイント

対丈のカジュアルな雰囲気に合わせるなら、袋帯や名古屋帯よりも「半幅帯」が断然おすすめです。ボリュームが出過ぎず、軽やかな印象になります。結び方も「カルタ結び」や「リボン返し」など、背中が平らになる結び方がよく合います。

半幅帯なら帯揚げや帯締めがなくても成立しますが、あえて飾りとして使うのもお洒落です。ルールに縛られず、洋服のベルト感覚で色合わせを楽しんでみてください。気楽な帯結びは、対丈のリラックス感と相性抜群です。

歩いている時に裾が乱れないようにするポイント

対丈で一番心配なのが「裾の乱れ」ではないでしょうか。おはしょりがない分、布の重なりに余裕がなく、歩幅を広げると裾がパッカーンと開いてしまうリスクがあります。でも、ちょっとした工夫でこれを防ぐことができるんです。

優雅に着物を着こなすためには、歩きやすさと見た目の美しさの両立が欠かせません。外出先で裾を気にしてばかりでは楽しめませんから、事前の対策をしっかりとしておきましょう。

1. 裾合わせを少しタイトにするテクニック

着付ける際、裾の合わせを通常よりも少し「きつめ」にするのがポイントです。下前を深く巻き込み、上前もしっかりと腰骨に沿わせるようにします。少しタイトなスカートを履いているような感覚になるくらいが丁度良いでしょう。

裾が広がっていると風でめくれやすくなりますが、タイトに仕上げることで足にまとわりつき、はだけるのを防いでくれます。見た目もシュッとして綺麗ですし、まさに一石二鳥のテクニックですね。

2. 下前を少し持ち上げて歩きやすくする工夫

裾をタイトにすると歩きにくくなるのでは?と思うかもしれません。そこで、着付ける時に内側にある「下前」の裾先(つま先)を、グッと10cm〜15cmほど持ち上げておきます。こうすることで足元の可動域が広がり、歩きやすさが格段にアップします。

外からは見えない部分なので、大胆に持ち上げてしまって大丈夫です。この「見えない工夫」が、着物での所作を美しく見せるための秘訣なんです。階段の上り下りも驚くほど楽になりますよ。

3. 静電気防止スプレーなどで足さばきを良くする

アンティーク着物や化繊の長襦袢は、乾燥する季節になると静電気が発生しやすくなります。静電気で着物が足に張り付くと、歩きにくい上にシルエットも崩れてしまいます。出かける前に、裾除けや着物の裏地に静電気防止スプレーをひと吹きしておきましょう。

これだけで足さばきがサラサラと快適になります。もしスプレーがない場合は、ハンドクリームを塗った手で一度足元を撫でておくだけでも効果があります。小さなケアですが、一日を快適に過ごすためには欠かせないステップです。

短い着物から長襦袢が見えないようにする工夫

対丈で着ると、どうしても着物の丈ギリギリになってしまい、中の長襦袢がチラチラ見えてしまうことがあります。長襦袢が着物より長いのは、着付けの世界では「ふしだら」と見られがちなので避けたいですよね。

でも、わざわざ長襦袢を縫い直すのは面倒です。ここでは、針と糸を使わずに、その場ですぐにできる長襦袢の丈調整テクニックをご紹介します。これで「長襦袢見えてる問題」も即解決です。

1. 長襦袢の裾を安全ピンや紐で調整する方法

一番手っ取り早いのは、長襦袢の腰紐を結ぶ時に、思い切って短めに着付けてしまうことです。着物より5cm以上短くなるように、たっぷりと持ち上げて紐を結びましょう。もしそれでも長い場合は、裾の余分な部分を安全ピンで留めてしまうのも一つの手です。

  • 安全ピン
  • クリップ
  • 腰紐

見えない部分なので、多少雑になっても問題ありません。「今日だけ短くしたい」という応急処置には最適です。ただし、安全ピンが着物の表地に響かないように注意してくださいね。

2. 見えても可愛いレースのペチコートを代用する案

「隠すのが大変なら、見せても良いものを着ればいい」という発想の転換もアリです。長襦袢の代わりに、裾にレースがついたペチコートやスカートを履いてみましょう。これなら着物の裾からチラッと見えても、むしろ計算されたお洒落に見えます。

「裾除け」として売られているレース付きのものもありますし、普通のアパレルショップで売っているスカートでも代用可能です。和洋折衷のモダンなスタイルになり、足元の寒さ対策にもなるので冬場には特におすすめですよ。

3. 筒袖の半襦袢を使って袖口の飛び出しも防ぐ

丈だけでなく、アンティーク着物は袖の長さ(裄)も短いことが多いです。長襦袢の袖が着物の袖口から飛び出してしまうのも気になりますよね。そんな時は、袖が筒状になっている「筒袖」の半襦袢を使うのが便利です。

筒袖なら袖の長さを気にせず着られますし、レースのアームカバーなどを合わせて袖口のお洒落を楽しむこともできます。嘘つき襟などを組み合わせれば、見た目はきちんとした着物姿に見えるので、一枚持っておくと非常に重宝します。

足元のおしゃれで対丈のバランスを整える

最後は足元のコーディネートです。対丈の着こなしを完成させるのは、実は履物選びだと言っても過言ではありません。丈が短いからこそ、足元に何を持ってくるかで全体の印象がガラリと変わります。

草履に白足袋という定番スタイルも良いですが、対丈ならもっと自由な発想で選んでみましょう。足元にボリュームを持たせたり、色を足したりすることで、全体のバランスが整い、こなれた雰囲気を出すことができます。

1. ブーツを合わせて大正ロマン風にする

対丈と最も相性が良いのが「編み上げブーツ」です。袴に合わせるイメージが強いですが、短い着物とのバランスも最高です。ブーツならくるぶしまで隠れるので、着丈がかなり短くても全く気になりません。

黒や茶色の革ブーツを合わせれば、一気に大正ロマンなハイカラさんスタイルが出来上がります。ヒールがある分、スタイルも良く見えますし、雨の日やたくさん歩く日でも安心ですよね。着物初心者さんにもぜひ挑戦してほしい組み合わせです。

2. カラータイツや靴下を見せるコーディネート

草履や靴を履く時に、あえてカラフルなタイツや柄物の靴下を見せるのも対丈ならではの楽しみ方です。着物の柄に入っている一色を足元に取り入れると、統一感が出てとてもお洒落に見えます。

  • カラータイツ
  • 柄靴下
  • レース足袋

冬場は防寒にもなりますし、ポップで可愛い印象を作れます。「着物は白足袋じゃなきゃ」というルールを少し横に置いて、その日の気分で足元を彩ってみてください。ファッションとしての着物の楽しさが倍増しますよ。

3. 厚底の草履で全体のスタイルアップを狙う

「やっぱり着物には草履を合わせたい」という方は、少し底が厚めの「厚底草履」を選んでみましょう。対丈で縦のラインが強調されているところに、さらに高さを出すことで、モデルのようなスラッとした立ち姿になります。

最近はスニーカーのような履き心地の厚底草履も増えています。モダンなデザインのものなら、アンティーク着物の雰囲気にもぴったりです。足元にボリュームが出ると、着丈の短さが「意図的なバランス」として綺麗にまとまるんですよね。

まとめ

丈が短いアンティーク着物を救う「対丈」のテクニック、いかがでしたでしょうか。おはしょりがないことで「着付けが楽」「スタイルが良く見える」「柄が綺麗に出る」といった、意外なメリットがたくさんあることに気づいていただけたかと思います。

サイズが合わないからと箪笥の肥やしにしておくのは、着物にとっても悲しいことです。対丈という選択肢を持つことで、今まで諦めていた可愛い着物たちを、もう一度主役として輝かせることができます。

最初はバランスを取るのが少し難しく感じるかもしれませんが、鏡の前で何度か練習すればすぐにコツが掴めますよ。ルールに縛られすぎず、自由な発想で自分らしい着こなしを楽しんでくださいね。次の休日は、ぜひお気に入りのアンティーク着物を対丈で着て、街へお出かけしてみませんか?

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次