着物は自宅で洗濯できる?洗える素材の見分け方と洗濯機・手洗いの手順を解説

お気に入りの着物を着たあと、「自宅で洗えたらいいのに」と考えたことはありませんか?着物のお手入れは複雑なイメージがありますが、実は着物は自宅で洗濯できるものと、そうでないものがあります。クリーニングに出す手間や費用を考えると、自宅で洗えるならこれほど嬉しいことはありませんよね。

この記事では、自宅で着物を洗濯するための、洗える素材の確実な見分け方から、洗濯機や手洗いでの具体的な手順まで、着物ライターの視点から詳しく解説します。大切な着物を傷めずに、いつでも気持ちよく着られるよう、正しい知識を身につけていきましょう。

目次

👘 着物は自宅で洗濯できる?まずは知っておきたいこと

着物というと、高価で繊細な正絹(しょうけん)のイメージが強いかもしれません。そのため、「自宅で水に濡らすなんてとんでもない!」と思っている方もいらっしゃいますね。しかし、すべての着物がそうではありません。

実は、着物の中には自宅で水洗いが可能なものがちゃんと存在しています。自宅で着物を洗濯できるかどうかは、その着物がどのような素材でできているかによって決まるのです。

1. そもそも着物は自宅で洗えるもの?

着物の中には、もともと自宅でのお手入れを想定して作られたものがあります。それは主にポリエステルなどの化学繊維でできた「洗える着物」と呼ばれるものです。

一方で、正絹やウールといった天然素材は水に弱く、自宅で洗うと縮んだり風合いが変わったりするリスクがあります。つまり、洗えるかどうかは素材次第で、「洗える着物」であれば迷うことなく自宅で洗濯できます。

2. 自宅で洗える着物の素材とは?

自宅で水洗いできる着物は、主に化学繊維で作られています。ポリエステルは最も一般的で、そのほかにもアセテートやキュプラなどが使われることもあります。

これらの素材は水に強く、型崩れしにくいため、家庭の洗濯機や手洗いに適しているのが特徴です。昔ながらの着物とは違い、雨の日でも気にせず着られる手軽さも魅力ですね。

✨ 洗える素材を見分けるコツ:簡単チェックリスト

いざ自分の持っている着物を洗おうと思っても、「これは洗える素材なのかな?」と判断に迷うこともあります。素材が分からないまま水洗いしてしまうのは大変危険です。

大切な着物を傷つけないためにも、ここで紹介するチェックリストを活用して、洗える素材かどうかを確実に見分けられるようにしましょう。判断のコツさえ掴めば、もう迷うことはありません。

1. タグを見て素材をチェックする方法

最も確実な方法は、着物の内側についている品質表示タグを確認することです。洋服と同じように、素材や洗濯表示が記載されています。

もし「ポリエステル100%」と書かれていれば、自宅で洗える可能性が非常に高いです。タグが見当たらない場合は、専門家に相談するか、洗うのは避けた方が安心ですね。

2. ポリエステルなど化学繊維なら自宅で洗える理由

ポリエステルをはじめとする化学繊維は、繊維自体が水による影響を受けにくく、とても丈夫にできています。そのため、水に濡れても縮んだり色落ちしたりする心配がほとんどありません。

洗濯後もシワになりにくく、お手入れが楽なのは本当に助かります。これが、化学繊維が自宅で洗える着物の素材として選ばれる大きな理由です。

3. 正絹やウールは自宅で洗わない方がいい理由

日本の伝統的な着物に多い正絹(シルク)やウールは、天然素材ゆえにとても繊細です。これらの素材は、水に濡れると繊維の構造が変化してしまいます。

水洗いすると、大幅に縮んだり、艶がなくなって風合いが硬くなったり、色が滲んだりするリスクがあります。正絹やウールの着物は、迷わず専門のクリーニング店にお任せするのが正解です。


【自宅で洗える素材・洗えない素材の目安】

素材の種類自宅での水洗い主な理由
ポリエステル可能(推奨)水に強く、縮みにくい、丈夫
その他化学繊維可能(要表示確認)水に強い性質を持つため
正絹(シルク)不可(非推奨)縮みやすい、風合いが損なわれる、色落ちのリスク
ウール不可(非推奨)縮みやすい、型崩れしやすい
麻(ごく一部)要表示確認水に強いがシワになりやすいものもある

🧺 洗濯機で着物を洗う手順:失敗しない洗い方

洗える着物だと分かれば、いよいよ洗濯機でのお手入れに挑戦です。洗濯機を使えば、手洗いの手間が省けてとても楽になります。

ただし、洋服と同じように乱暴に洗ってしまうと、せっかくの着物が傷んでしまうかもしれません。ちょっとした注意点と正しい手順を踏むだけで、洗濯機でも失敗なくきれいに仕上げることができますよ。

1. 洗濯機で洗う前に必要な準備

洗濯機で洗う前には、いくつかの大切な準備があります。まず、着物の目立つ汚れがないかを確認しましょう。

もし襟元や袖口に部分的な汚れがある場合は、先に中性洗剤を薄めた液をつけた布で軽く叩き、前処理をしておくとよりきれいに仕上がります。このひと手間が仕上がりに差をつけます。

2. 適切な洗剤の選び方と注意点

着物の洗濯には、必ずおしゃれ着用の中性洗剤を選びましょう。一般的なアルカリ性の洗剤は、繊維を傷めたり色落ちの原因になったりする可能性があります。

漂白剤や蛍光増白剤が入っていないか、必ず成分表示を確認してください。優しく洗うことが、着物を長持ちさせるポイントです。

3. 洗濯機に入れる前の正しい畳み方

着物を洗濯機に入れる際は、専用のネットにぴったり収まるように「洗濯機で着物を洗う手順」に沿って正しく畳むことが重要です。適当に丸めてしまうと、シワや型崩れの原因になります。


【洗濯機に入れる前の畳み方】

    1. 縫い目に沿って、着物をきれいに広げて置きます。
    1. 襟を内側に折り込み、脇線で左右の身頃を合わせます。
    1. 袖山で袖を身頃の上に折り重ねます。
    1. 裾から二つ折り、さらに三つ折りにして、ネットにぴったり入る大きさに整えます。
    1. サイズに合った目の細かい洗濯ネットに入れます。

このように畳むことで、洗濯中に着物が動いて擦れるのを防げます。

4. 洗濯機の設定(コース・脱水時間)のポイント

洗濯機の設定も大切なポイントです。必ず「ドライコース」「手洗いコース」「おしゃれ着コース」など、水流が弱く、優しく洗うコースを選びましょう。

水温は30℃以下のぬるま湯か水を使ってください。脱水は、長すぎるとシワの原因になるため、30秒から長くても1分以内で済ませるのが鉄則です。

✋ 自宅で着物手洗いするやり方:丁寧に洗う手順

デリケートな着物や、より丁寧に扱いたい場合は、手洗いがおすすめです。洗濯機よりも手間はかかりますが、自分の手で優しく洗うことで、型崩れのリスクを最小限に抑えられます。

自宅で着物手洗いするやり方は、洋服の手洗いと同じく、ゴシゴシ擦らないことが大切です。手間を惜しまずに、一つ一つの手順を丁寧に進めていきましょう。

1. 手洗いのために用意するものと準備

手洗いを始める前に、以下のものを準備しましょう。


【手洗いのために用意するもの】

  • おしゃれ着用の中性洗剤
  • 着物が入る大きさのきれいなたらい(または洗面台)
  • 着物用のハンガー(厚みのあるもの)
  • きれいなタオル(大判がおすすめ)

着物を畳んだままの状態で優しく水に浸すため、大きなたらいを用意することが準備ポイントです。

2. たらいを使った「押し洗い」の手順

手洗いの基本は「押し洗い」です。水を入れたたらいに規定量の中性洗剤を溶かします。


【押し洗いの手順】

    1. 着物を畳んだまま(洗濯機に入れるのと同じ畳み方)、たらいに入れます。
    1. 上から手のひらでゆっくりと押したり浮かせたりを繰り返して、洗剤液を浸透させます。
    1. 5分から10分ほど優しく押し洗いを続けます。
    1. 水が濁っても、決して擦ったり揉んだりしないでください。

この手順で、汚れを無理なく浮き上がらせることができます。

3. すすぎと脱水の方法とコツ

押し洗いが終わったら、次はすすぎです。洗剤が残らないように、水を数回入れ替えて丁寧にすすいでください。

すすぎも押し洗いと同じように、手のひらで押したり浮かせたりして行います。脱水は、タオルに包んで洗濯機で30秒ほど軽く回すか、大判タオルで挟んで水分を押し出すのがコツです。

4. 手洗いに適した着物の種類

手洗いは、特にデリケートなポリエステル素材の着物や、裏地がキュプラなど少し心配な素材が使われている洗える着物に適しています。

また、頻繁に着る機会が少なく、部分的な汚れだけが気になる場合にも、手洗いはとても有効な方法です。自分で丁寧に洗うことで、着物への愛着もより深まりますね。

☀️ 洗濯後の着物をきれいに干す方法と乾燥の注意点

洗濯が終わったら、最後の工程は「乾燥」です。ここを間違えてしまうと、せっかくきれいに洗えたのに、大きなシワや型崩れの原因になってしまいます。

着物は立体的なものなので、干し方にも工夫が必要です。正しい着物をきれいに干す方法を実践して、パリッと気持ちよく仕上げましょう。

1. 着物ハンガーを使った正しい干し方

着物を干すときは、必ず「着物ハンガー」と呼ばれる、袖まで通せる長いハンガーを使用してください。これは、着物の重みで型崩れするのを防ぐためです。


【正しい干し方の手順】

    1. 着物ハンガーを使い、左右の袖まできちんと通します。
    1. 直射日光が当たらない、風通しの良い日陰を選んで干します。
    1. 縫い目やシワを軽く手で叩いて伸ばします。
    1. 裾の部分がよれていないか確認し、まっすぐに整えます。

直射日光は色あせの原因になるため、陰干しが鉄則です。

2. シワを防ぐためのひと工夫

脱水が短くても、着物には多少のシワが残ってしまうことがあります。ここでひと工夫として、干す前に手のひらで着物全体を優しく叩いてシワを伸ばしておきましょう。

特に、縫い代の部分はシワが残りやすいので、念入りに伸ばしてください。これだけで、乾燥後のシワが大きく軽減されます。

3. アイロンがけは必要か?の判断基準

基本的には、ポリエステルなどの化学繊維の着物は、適切に干せばほとんどアイロンがけは不要です。しかし、もし細かいシワが気になる場合は、低温に設定したアイロンを当て布の上から軽くかけるのが判断基準です。

熱に弱い素材もあるため、必ず目立たない場所で試してから行いましょう。アイロンはあくまで最後の仕上げとして、慎重に行うことをおすすめします。

まとめ

この記事では、着物は自宅で洗濯できるかどうかの判断基準から、洗濯機や手洗いでの具体的な手順までを解説しました。素材の見分け方さえマスターすれば、「洗える着物」なら自宅でのメンテナンスは決して難しくありません。

大切なのは、洗える素材であることを確認し、中性洗剤を使って優しく洗うこと、そして着物ハンガーで日陰に干すという基本的なコツを守ることです。慣れてしまえば、もうクリーニングに出す手間も費用も節約できます。正しくお手入れされた着物は、何度でも気持ちよく袖を通せるものです。この記事を参考に、自宅での着物ライフをさらに充実させてくださいね。

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