「着物を着てお出かけしたいけれど、着付けが難しそうで手が出せない。」そんな風に思って、憧れだけで終わらせていませんか?実は今、そんな悩みを一瞬で解決してくれる「二部式着物」が注目を集めています。これは特別な技術がなくても、誰でも5分あれば着られる魔法のような着物です。
本記事では、初心者の方に向けて二部式着物の魅力と具体的な着方を徹底解説します。普通の着物と変わらない見た目をキープしつつ、驚くほど簡単に和装を楽しむ方法を持ち帰ってください。これを読めば、次の休日にはきっと着物で街を歩きたくなりますよ。
二部式着物(セパレート着物)とはどんな仕組み?
「二部式着物」と聞いても、どんな構造なのかパッと思い浮かばないかもしれませんね。実はこれ、洋服と同じような感覚で着られるように改良された着物なんです。従来の着物の常識を覆す、そのシンプルな仕組みについて見ていきましょう。
1. 上下で分かれている構造の特徴
二部式着物の最大の特徴は、名前の通り「上着」と「スカート(下衣)」の2つのパーツに分かれていることです。洋服で言えばセットアップのスーツや、ブラウスと巻きスカートのような関係に近いですね。
この構造のおかげで、長い一枚布を体に巻き付ける苦労から解放されます。身長に合わせて長さを調整する手間もほとんどありません。
2. 一般的な着物との決定的な違い
普通の着物を着る時、一番苦労するのが「おはしょり」を作ることではないでしょうか?腰の部分で布を折り上げて長さを調整する、あの難しい工程です。
二部式着物には、このおはしょりを作る工程が最初からありません。上下が分かれているため、着るだけで勝手にバランスが整うようになっています。初心者の方がつまずく最大のポイントが解消されているのは嬉しいですね。
3. 着付けの知識がなくても大丈夫な理由
「腰紐はどこで結ぶの?」「襟の合わせ方は?」といった専門的な知識がなくても、二部式着物なら直感的に着られます。なぜなら、必要な紐があらかじめ所定の位置に縫い付けられていることが多いからです。
説明書を見ながらパズルのように着る必要はありません。洋服を着るのと同じように、ただ順番通りに身につけるだけで着姿が完成します。
初心者でも5分で着られる3つの理由
なぜ「5分」という短時間で着られるのか、その理由を深掘りしてみましょう。時短できるのには明確な根拠があります。これを読めば、忙しい朝でも「着物を着て行こうかな」と思えるはずです。
1. 面倒な「おはしょり」を作る必要がない
先ほども触れましたが、おはしょりの処理がないだけで着付けの時間は半分以下になります。鏡を見ながらミリ単位で長さを調整したり、シワを伸ばしたりする時間は必要ありません。
ウエスト周りが最初からもたつかないので、着崩れしにくいのも大きなメリットです。長時間着ていても楽に過ごせる秘密はここにあります。
2. 紐があらかじめ縫い付けられている
着付けで大変なのが、何本もの腰紐を準備して、正しい位置で結ぶことですよね。二部式着物は、必要な紐が本体に縫い付けられているタイプがほとんどです。
- 紐を探す手間
- 紐を結ぶ位置の調整
- 余った紐の処理
これらの作業がすべてカットされます。紐を手に取って結ぶだけ、というシンプルさは感動的ですらあります。
3. 洋服と同じ感覚で着脱ができる
上着を羽織って、スカートを巻く。この動作は、私たちが普段洋服を着る時と同じですよね。着物独特の「右前・左前」さえ気をつければ、あとは感覚的に進められます。
トイレに行く時も、全部脱ぐ必要がないので安心してください。スカート部分だけをめくれば良いので、洋服のロングスカートと同じ感覚で過ごせます。
着付けを始める前に準備するものは?
いくら簡単と言っても、着物本体だけでは着られません。最低限必要なアイテムを揃えておきましょう。これさえあれば、届いたその日から和装ライフをスタートできますよ。
1. 着物の下に着る肌着や長襦袢
着物は素肌の上に着るものではありません。汗を吸い取り、着物を汚れから守るためのインナーが必要です。二部式着物の場合、「二部式襦袢」や「半襦袢」を使うと、さらに簡単に着られます。
- 肌襦袢
- 裾よけ
- 二部式長襦袢
もし専用の肌着がなければ、首元が大きく開いたキャミソールやペチコートでも代用可能です。最初は手持ちのもので試してみるのも賢い方法ですね。
2. 足元を整える足袋や履物
足元は意外と目立つポイントです。白い足袋と草履が基本ですが、カジュアルな二部式着物なら、もっと自由に楽しんでも構いません。
レースの足袋や、柄の入った足袋靴下などを合わせるとモダンな雰囲気になります。最近では、ブーツやスニーカーを合わせる「和洋折衷コーデ」も人気ですよ。
3. 全身をチェックするための鏡
着付けをする時は、必ず全身が映る鏡(姿見)を用意してください。特に後ろ姿や裾の長さを確認するのに欠かせません。
もし全身鏡がない場合は、洗面所の鏡と手鏡を組み合わせて、背中の中心がずれていないかチェックしましょう。姿勢を正して鏡の前に立つことが、美しい着姿への第一歩です。
ステップ1:下(スカート部分)を綺麗に巻く手順
準備が整ったら、いよいよ実践です。まずは土台となる下のスカート部分から着ていきます。ここさえしっかり決まれば、着崩れの心配はほとんどありません。
1. 上前の位置を決めて裾の長さを合わせる
まずはスカート部分を腰に巻きつけて、位置を決めます。この時、自分の体の正面に来る部分(上前)の端が、右腰の骨あたりに来るように調整してください。
裾の長さは、くるぶしが隠れるくらいがベストです。短すぎると子供っぽくなり、長すぎると床を引きずってしまうので注意しましょう。
2. 腰紐を後ろで交差させてしっかり結ぶ
位置が決まったら、付いている紐を後ろに回して交差させます。そして前に戻して、お腹の前でしっかりと結んでください。
この紐が緩いと、歩いているうちにスカートが下がってきてしまいます。「ちょっときついかな?」と思うくらい、ギュッと結ぶのがポイントです。
3. 歩きやすくするための裾合わせのポイント
ただ巻くだけではなく、最後に裾の形を整えると歩きやすさが格段に上がります。内側になる布(下前)の裾を、少しだけ上に持ち上げてみてください。
こうすることで、裾すぼまりの綺麗なシルエットになります。見た目が美しくなるだけでなく、足さばきが良くなって階段の上り下りも楽になりますよ。
ステップ2:上(上着部分)を正しく羽織る手順
土台ができたら、次は上着を羽織ります。ここは顔まわりの印象を決める重要なパートですが、手順はとてもシンプルです。
1. 背中の中心を合わせて羽織る
上着を肩にかけたら、まずは背中の縫い目(背中心)が、自分の背骨の真上に来ているか確認してください。ここがずれていると、全体がだらしない印象になってしまいます。
袖に腕を通したら、両手で襟先を持って、軽く左右に引くと中心が合いやすくなります。
2. 下前の紐を横の穴から通して結ぶ
上着の左側にある紐を、右側の脇にある穴(身八つ口)から内側に通します。そして、内側にある紐と結び合わせます。
この工程があるおかげで、着物が体にフィットしてズレにくくなるんです。見えない部分ですが、しっかりと結んでおきましょう。
3. 上前の紐を背中に回して固定する
最後に、右側の紐を背中に回して、左側の紐と結びます。この時、襟の合わせ目(喉のくぼみあたり)が崩れないように、左手で襟を押さえながら右手で紐を引くのがコツです。
これで着物のベースは完成です。鏡を見て、襟元がV字に綺麗に合わさっているか確認してくださいね。
帯結びはどうする?簡単に済ませる方法
「着物は着れたけど、帯が結べない!」という壁にぶつかる方も多いはず。でも安心してください。二部式着物に合わせる帯は、簡単なもので十分なんです。
| 帯の種類 | 特徴 | おすすめ度 |
| ワンタッチ帯 | マジックテープで留めるだけ。最速1分。 | ★★★★★ |
| 作り帯(軽装帯) | 形ができているので背中に乗せるだけ。 | ★★★★☆ |
| 半幅帯 | 自分で結ぶが、リボン結びなどで簡単。 | ★★★☆☆ |
1. マジックテープ式のワンタッチ帯を使う
一番簡単なのが、マジックテープで留めるだけの帯です。巻いてペタッと貼るだけなので、結び方を覚える必要は一切ありません。
見た目も普通の帯と変わらないものが多く販売されています。初心者の方は、まずこのタイプから入るのが挫折しないコツです。
2. 作り帯(軽装帯)で形だけ整える
「お太鼓結び」などの形がすでに作られている帯です。胴に巻く部分と、背中に乗せる部分が分かれています。
これなら、誰かに手伝ってもらわなくても、本格的な帯結びに見せることができます。ちょっとしたお出かけで「きちんと感」を出したい時にぴったりです。
3. 半幅帯でリボン結びをする
少し慣れてきたら、浴衣などで使う「半幅帯」に挑戦してみましょう。蝶々結びやリボン結びをするだけで、可愛らしい後ろ姿になります。
帯締めや帯揚げがいらないので、道具も少なくて済みます。アレンジの幅も広いので、自分なりの結び方を見つける楽しさもありますよ。
「普通の着物」に見せるための着こなしのコツ
簡単だからといって、「安っぽい」「偽物っぽい」と思われたくはないですよね。ちょっとしたコツを意識するだけで、着付けのプロが着せたような仕上がりになります。
1. 襟元(衣紋)を少し抜いてこなれ感を出す
首の後ろの襟(衣紋)を、握り拳一つ分くらい空けてみてください。これを「衣紋を抜く」と言います。
首筋が少し見えることで、女性らしい色気とすっきりした印象が生まれます。詰まりすぎていると苦しそうに見えるので、ここを意識するだけで一気に垢抜けます。
2. 上下のつなぎ目を帯でしっかり隠す
二部式着物の最大の弱点は、上下の分かれ目が見えてしまうことです。ここが見えると、どうしても「セパレート感」が出てしまいます。
帯を巻く位置を少し高めにするか、帯の幅を広めに取って、つなぎ目を完全に隠しましょう。これだけで、誰が見ても「普通の着物」にしか見えなくなります。
3. 背中のシワを脇に寄せてスッキリさせる
着終わった後に、背中の中心から脇に向かって手でシワをなでつけてください。余分な布を脇に逃がすイメージです。
背中がピンと張っていると、後ろ姿がとても美しく見えます。着物は「後ろ姿で語る」とも言われるので、最後の仕上げとして忘れずに行いましょう。
二部式着物はどんな場面で着てもいい?
「簡単な着物だけど、結婚式に着て行ってもいいの?」と迷うこともあるでしょう。二部式着物が活躍するシーンと、避けたほうが無難なシーンを整理します。
1. 街歩きやショッピングなどのカジュアルな外出
二部式着物が最も輝くのは、普段のお出かけです。カフェ巡り、観劇、美術館、友人とのランチなど、カジュアルなシーンには最適です。
汚れても手入れが楽な素材が多いので、食べ歩きも気兼ねなく楽しめます。「今日の服、着物にしようかな」くらいの軽い気持ちで選んでみてください。
2. 旅館や温泉地でのリラックスウェア
旅行先の旅館やホテルで、浴衣の代わりに着るのも素敵です。締め付けが少ないので、部屋でゴロゴロする時にも邪魔になりません。
温泉街を散策する時も、浴衣よりきちんとして見えるので写真映えも抜群です。旅の思い出をより華やかにしてくれますよ。
3. 自宅で和装を楽しむ普段着として
最近では「おうち着物」として楽しむ方も増えています。急な宅配便が来ても対応できますし、そのまま家事をしても動きやすいのが特徴です。
自宅なら誰の目も気にする必要はありません。好きな柄を組み合わせて、自分だけのファッションショーを楽しむのも良いリフレッシュになります。
着た後はどうする?洗濯や収納について
楽しんだ後の片付けも、二部式着物なら驚くほど簡単です。クリーニングに出す手間も費用もかかりません。
1. 素材によっては洗濯機で丸洗いができる
ポリエステル素材の二部式着物なら、ネットに入れて洗濯機で丸洗いが可能です。洋服と同じように洗えるので、汗や食べこぼしも怖くありません。
洗った後は、着物ハンガーにかけて陰干しするだけ。アイロンがけ不要の素材も多く、メンテナンスの手軽さは圧倒的です。
2. ハンガーにかけて干すだけの簡単ケア
脱いだ直後は湿気を含んでいるので、すぐに畳まずに一晩ハンガーにかけておきましょう。これだけでシワが伸び、カビの予防にもなります。
毎回洗わなくても、風を通すだけで十分綺麗に保てます。洋服のジャケットと同じような感覚で扱って大丈夫です。
3. 洋服のように畳んでタンスにしまう方法
「本畳み」のような複雑な畳み方は不要です。上着とスカートをそれぞれ四角く畳んで、洋服ダンスの引き出しにしまうだけでOKです。
場所を取らないので、専用の桐ダンスも必要ありません。クローゼットの隅に数着ストックしておけば、いつでもサッと取り出して着られます。
まとめ
二部式着物は、着物に対する「難しい」「苦しい」「面倒くさい」というハードルをすべて取り払ってくれる画期的なアイテムです。5分で着られて、見た目も美しく、お手入れも簡単。これなら私生活に取り入れない手はありません。
まずは一着、気に入った柄の二部式着物を手に取ってみてください。袖を通した瞬間、背筋がスッと伸びて、いつもの景色が少し違って見えるはずです。日本の伝統を、今のあなたのライフスタイルに合わせて、もっと自由に、もっと軽やかに楽しんでみませんか?
