雨コートの正しい着方と畳み方!着物の裾を濡らさないための手順を解説

せっかく楽しみにしていた着物でのお出かけなのに、当日の天気予報が雨だと少し気分が沈んでしまいますよね。

大切な着物を濡らしたくないけれど、雨コートの着方や畳み方に自信がないという方も多いのではないでしょうか。実は、雨コートはただ羽織るだけでは十分な効果を発揮できません。正しい手順を知っているだけで、雨の日でも裾を汚さず、快適に過ごせるようになります。

この記事では、着物初心者の方でも実践しやすい雨コートの着方と、脱いだ後に困らないスマートな畳み方を詳しくご紹介します。外出先でも慌てず、美しい所作で雨の日のお出かけを楽しめるようになりましょう。

目次

雨コートが必要になる場面とは?

雨の日に着物で外出する際、傘だけでは防ぎきれない足元の汚れや水濡れが心配になります。そんな時に頼りになるのが雨コートですが、具体的にどのような場面で必要性を感じるのでしょうか。単なる雨具としてだけでなく、着物を守るための「鎧」のような役割を果たしてくれるのです。

急な天候変化に備える安心感

天気予報が曇りでも、突然の雨に見舞われることは珍しくありません。そんな時に雨コートを携帯していると、精神的な余裕が生まれます。

雨が降り出した瞬間にサッと羽織れる準備があれば、着物が濡れるのを最小限に抑えられます。「降るかもしれない」という不安を抱えたまま歩くよりも、準備がある安心感を持って歩く方が、お出かけそのものを楽しめるはずです。

大切な着物を泥はねから守る役割

雨の日の最大の敵は、空から降ってくる雨粒よりも、地面から跳ね上がる泥水かもしれません。特にアスファルトや階段を歩く際、ふくらはぎのあたりまで泥が跳ねてしまうことがあります。

雨コートは着物の裾全体を覆ってくれるため、この泥はねを物理的にガードしてくれます。お気に入りの着物にシミができるのを防ぐためにも、足元までしっかりカバーすることが重要です。

着用前に着物の裾を上げる理由

雨コートを羽織る前に、着物の裾を少し持ち上げておくという一手間をご存じでしょうか。慣れないうちは面倒に感じるかもしれませんが、この工程を省くと後悔することになるかもしれません。着物を守り、快適に歩くためには欠かせない準備なのです。

泥はねや水濡れを確実に防ぐため

雨コートを着ていても、着物の裾がコートより長いと、結局裾が濡れてしまいます。着物の裾をコートの内側にしっかり収めることで、水濡れを完全にシャットアウトできます。

また、裾を持ち上げることで、地面からの距離を稼ぐことができます。これにより、深い水たまりや激しい泥はねからも、着物の繊細な生地を守ることができるのです。

歩きやすさを確保するための工夫

着物の裾を上げると、足さばきが格段に良くなります。雨の日は路面が滑りやすいため、いつもより歩幅を小さく、慎重に歩く必要がありますよね。

裾が足にまとわりつかない状態を作っておけば、階段の上り下りや、車への乗り降りもスムーズになります。転倒防止の観点からも、裾上げは非常に理にかなった対策と言えるでしょう。

着物の裾を上げる「裾よけ」の手順

では、実際にどのようにして着物の裾を持ち上げれば良いのでしょうか。ここでは、身近な道具を使った2つの方法をご紹介します。どちらも慣れれば1分もかからずにできるので、外出前の習慣にしてみてください。

クリップを使って裾を留める方法

着物クリップや洗濯バサミを使って、裾を帯に挟み込む方法はとても簡単です。

  • 着物の上前(うわまえ)の裾をつまむ
  • 帯の高さまで引き上げる
  • クリップで帯に留める
  • 下前(したまえ)も同様に引き上げて留める

上前と下前をそれぞれ持ち上げることで、裾全体が均等に上がります。クリップは帯の内側や目立たない場所に留めると、上から雨コートを羽織った時に膨らみが気になりません。

腰紐を使って裾を持ち上げる方法

もしクリップがない場合は、腰紐を一本使って裾をからげる方法もあります。

  • 腰紐を腰の位置で結ぶ
  • 着物の裾(褄)を腰紐に挟み込む
  • おはしょりの下あたりまで引き上げる

この方法は、昔ながらの「尻からげ」と呼ばれるスタイルに近いです。紐一本でしっかり固定できるので、長時間歩く場合や、風が強い日にはこちらの方が安定するかもしれません。

一部式雨コートの着方の流れ

ワンピースタイプの一部式雨コートは、洋服のコート感覚でサッと羽織れるのが魅力です。しかし、着物の袖や衿をきれいに収めるには少しコツがいります。手順を追って確認してみましょう。

袖を通すときのスムーズな動作

まず、コートを羽織る際の袖の通し方に注目してください。

  • コートを肩に掛ける
  • 着物の袖の「振り」を揃えて持つ
  • コートの袖の中に、着物の袖を滑り込ませる

着物の袖がコートの中で丸まってしまうと、後で直すのが大変ですし、シワの原因になります。袖を通す瞬間に、着物の袖口を持ってガイドしてあげるとスムーズに入ります。

衿元と裾の合わせ方のコツ

袖が通ったら、次は体の中心を合わせていきます。

  • 衿元のスナップボタンや紐を留める
  • 鏡を見て、着物の衿がコートから少し見えるように整える
  • 裾の長さを確認し、着物がはみ出していないかチェックする

衿元は詰めすぎず、少し余裕を持たせると着物の美しさを損ないません。また、裾に関しては、コートの裾が床すれすれになる長さが理想的です。短すぎると中の着物が濡れてしまうので注意しましょう。

紐を結ぶ位置と強さの加減

最後に、紐を結んでコートを固定します。

  • 内側の紐を結ぶ
  • 外側の飾り紐やベルトを結ぶ
  • 苦しくない程度の強さで調整する

帯の上あたりで結ぶと、全体のシルエットがきれいに見えます。きつく締めすぎると帯が崩れる原因になるので、優しくフィットさせる感覚で結んでください。

二部式雨コートの着方の流れ

二部式雨コートは、上下が分かれているため、丈の調整がしやすいのが特徴です。背の高さに関わらずジャストサイズで着られるので、初心者の方にもおすすめできます。手順を分けて見ていきましょう。

下の巻きスカートを装着する手順

まずは下半身部分、巻きスカートのような「裾よけ」部分から着付けます。

  • スカート部分を腰に巻く
  • 裾の長さを決めて、紐をしっかりと結ぶ
  • 上前が被るように調整する

この時、着物の裾が完全に見えなくなる長さに設定するのがポイントです。ウエスト位置で高さを調整できるので、自分の身長に合わせてベストな位置を探してみてください。

上着を羽織って整えるポイント

下が決まったら、次は上着(道行コートのような形)を羽織ります。

  • 上着を肩に掛ける
  • 袖を通す(一部式と同様に)
  • 下のスカート部分との重なりを確認する

上着がスカート部分に少し重なるようになっています。この構造のおかげで、雨水が中に入り込むのを防いでくれるのです。

上下のバランスを整えるコツ

最後に全体のバランスを見直します。

  • 衿元を整える
  • 上着の紐を結ぶ
  • 背中のシワを伸ばす

二部式は胴回りがもたつきにくいので、すっきりとした着姿になりやすいです。鏡で横からのシルエットも確認しておくと、より安心ですね。

外出先での雨コートの脱ぎ方

目的地に到着した時、雨コートをどのタイミングで、どのように脱ぐのが正解なのでしょうか。スマートな振る舞いは、着物姿をより美しく見せてくれます。周りへの配慮も含めた脱ぎ方を知っておきましょう。

玄関に入る前に脱ぐマナー

基本的には、建物の玄関に入る前に雨コートを脱ぐのがマナーとされています。

  • 軒下など、雨の当たらない場所を見つける
  • 玄関に入る前にコートを脱ぐ
  • 水滴を軽く払う

濡れたコートのまま室内に入ると、床や畳を濡らしてしまいます。お店や訪問先への配慮として、外で脱いでから「お邪魔します」と入るのが大人の気遣いです。

水滴を着物に落とさない脱ぎ方のコツ

脱ぐ瞬間に、コートについた水滴が着物に落ちてしまうことがあります。これを防ぐための動作があります。

  • 肩からコートを浮かすように脱ぐ
  • 濡れた面が内側になるように意識する
  • 自分から離すようにして腕を抜く

バサッと脱ぐのではなく、そっと脱皮するようなイメージでしょうか。濡れている外側を内側に巻き込むように脱ぐと、自分も周りも濡らしません。

濡れた雨コートの畳み方

脱いだ直後の雨コートはかなり濡れています。適当に丸めてしまうと、後で広げた時にシワだらけになったり、カビの原因になったりします。立ったままでもできる、簡単な畳み方をマスターしましょう。

濡れた面を内側に折り込む手順

最も重要なのは、濡れている表面を内側に隠すことです。

  • コートの衿を両手で持つ
  • 左右の衿を合わせるようにして、縦半分に折る
  • この時、濡れた面同士が合わさるようにする

こうすることで、手に触れる部分は乾いている裏地だけになります。これなら、バッグや他の荷物を濡らす心配も減りますね。

衿や袖をきれいに収める方法

縦長になったコートを、さらにコンパクトにしていきます。

  • 袖を身頃の上に折り返す
  • 裾の方から上に向かって畳んでいく
  • または、上から下へ畳んでいく

袖がだらんと垂れ下がらないように、内側に挟み込むように畳むときれいです。空気を抜きながら畳むと、より小さくまとまります。

素早くコンパクトにするための工夫

外出先では、ゆっくり畳む場所がないことも多いですよね。

  • 屏風畳み(蛇腹折り)にする
  • くるくるとロール状に巻く

屏風畳みなら、次に広げる時もパッと広げられます。自分のやりやすい方法で構いませんが、「濡れた面は内側」という鉄則だけは守ってください。

脱いだ雨コートの持ち運び

きれいに畳んだ雨コートをどう持ち歩くかも悩みどころです。濡れたままバッグに直接入れるのは抵抗がありますよね。便利なアイテムを活用して、ストレスなく持ち運びましょう。

専用ポーチや袋に入れるメリット

雨コートには、共布のポーチが付属していることが多いです。

  • 防水性のあるポーチを用意する
  • ビニール袋を一枚入れておく

もし専用ポーチがない場合は、ジッパー付きの保存袋や、防水加工されたスタッフバッグなどが代用できます。水を通さない袋に入れることで、安心してバッグに収納できます。

他の荷物を濡らさないための配慮

袋に入れた後も、念のための配慮が必要です。

  • バッグの中で一番上に置く
  • サブバッグに入れて、メインのバッグとは分ける

ハンカチやスマホなど、頻繁に取り出すものと一緒にしない方が無難です。独立したサブバッグを持っておくと、濡れた傘やコートをまとめて管理できるので便利ですよ。

帰宅後の雨コートのお手入れ

無事に帰宅したら、雨コートのお手入れを忘れずに行いましょう。そのまま放置してしまうと、嫌なニオイや生地の痛みに繋がります。次のお出かけのために、きちんとしたケアが必要です。

ハンガーにかけて湿気を取る方法

まずはしっかりと乾燥させることが先決です。

  • 着物ハンガーに掛ける
  • 風通しの良い日陰に干す
  • 完全に乾くまで数時間〜一晩置く

直射日光は色褪せの原因になるので避けてください。室内干しで十分ですが、扇風機の風などを当てて空気を循環させると早く乾きます。

シワを伸ばして保管する大切さ

乾いた後は、シワのチェックをしましょう。

  • 目立つシワがあれば、当て布をして低温アイロンをかける
  • きれいに畳んで収納する

素材によってはアイロン不可のものもあるので、洗濯表示を確認してください。きれいに手入れされた雨コートは、次回の雨の日も気持ちよく送り出してくれます。

まとめ

雨の日の着物はハードルが高く感じるかもしれませんが、雨コートの正しい扱い方を知っていれば、恐れることはありません。むしろ、雨の日ならではの情緒ある風景を、着物姿で楽しめるようになります。

今回ご紹介した「裾をしっかり上げる」「濡れた面を内側に畳む」といったポイントは、着物を守るだけでなく、あなたの所作を美しく見せてくれるものです。手順を一度覚えてしまえば、自然と体が動くようになります。

天気を気にせず、着たい時に着物を着られる自由を手に入れるために、ぜひ雨コートを味方につけてみてください。お気に入りの雨コートがあれば、雨予報さえも待ち遠しくなるかもしれませんね。

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