「結婚式の招待状が届いたけれど、今回は着物を着てみたいな」
そう考えたことはありませんか?
でも、いざ着ようと思うと「友人の結婚式に振袖は派手すぎない?」「親族として着るべき着物の種類は?」など、分からないことがたくさん出てきますよね。
実は、結婚式のお呼ばれ着物は、立場や年齢によって選ぶべき種類が決まっています。
マナーを守って正しく着こなせば、会場に華を添えることができ、新郎新婦からも「着てきてくれてありがとう!」と感謝されるはずです。
ここでは、初めて着物で参列する方にも分かりやすいように、友人・親族それぞれの立場に合った着物の選び方を丁寧に解説します。
結婚式のお呼ばれで着物を着るメリットとは?
最近はドレスで参列する方が多いですが、あえて着物を選ぶことには大きなメリットがあります。
ただおしゃれなだけではない、着物ならではの魅力を知っておきましょう。
1. 会場が華やかになり新郎新婦に喜ばれる理由
結婚式場に着物姿のゲストがいるだけで、その場の空気がパッと明るくなります。
特に集合写真を撮るとき、ドレスの中に和装の彩りがあると、全体がとても豪華な印象になるんです。
新郎新婦にとっても、ゲストが手間のかかる着物を着てきてくれることは、「この日のために準備してくれた」という特別な喜びにつながります。
「場を盛り上げてくれてありがとう」と言ってもらえることも多いんですよ 。
2. 「おめでとう」の気持ちが伝わるゲストの装い
着物は、着るだけで「お祝いの気持ち」を表現できる衣装です。
帯の結び方や縁起の良い柄には、すべて意味が込められています。
言葉で伝えるお祝いはもちろん大切ですが、装いそのもので祝福を表せるのは、日本の伝統衣装ならではの素敵な文化ですよね。
少し背筋が伸びるような特別感も、結婚式というハレの日にぴったりです。
親族と友人でふさわしい着物は違うの?
「着物なら何でもいい」というわけではありません。
洋服にフォーマルドレスとカジュアルウェアがあるように、着物にも明確なランク分けがあります。
1. 着物にも「格」があることを知っておこう
着物は、大きく分けて「第一礼装」「準礼装」「略礼装」の3つに分類されます。
結婚式では、自分の立場に合わせてこの「格」を選ぶことが最も重要なマナーです。
- 第一礼装:最も格が高い着物。新郎新婦の母親や仲人が着用。
- 準礼装:第一礼装に次ぐ格の着物。親族や主賓クラスの友人が着用。
- 略礼装:少しカジュアルな着物。カジュアルな二次会などで着用。
この格を間違えてしまうと、どんなに高価な着物でもマナー違反になってしまうので注意が必要です 。
2. 立場によって変わる「第一礼装」と「準礼装」の違い
具体的に誰が何を着るべきか、整理してみましょう。
基本的には、新郎新婦に近い親族ほど格の高い着物を着る必要があります。
| 立場 | ふさわしい着物(既婚) | ふさわしい着物(未婚) |
|---|---|---|
| 母親 | 黒留袖 | – |
| 親族(姉妹・叔母) | 色留袖 / 黒留袖 | 振袖 / 色留袖 |
| 友人・同僚 | 訪問着 | 振袖 / 訪問着 |
友人の場合は「準礼装」である訪問着や振袖を選びますが、親族の場合はよりフォーマルな「留袖」が選択肢に入ってきます 。
新郎新婦の母親が着る「黒留袖」の特徴とは?
結婚式で見かける、裾だけに模様が入った黒い着物。
あれが、既婚女性の第一礼装である「黒留袖(くろとめそで)」です。
1. 既婚女性の第一礼装「黒留袖」に見られる5つの家紋
黒留袖には、背中、両胸、両袖の後ろの計5箇所に家紋が入っています。
これを「五つ紋(いつつもん)」と呼び、着物の中で最も格が高いことを示しているんです。
母親はゲストをお迎えする「ホスト側」の立場ですよね。
そのため、最も礼儀正しい服装でお客様に敬意を表すという意味で、この黒留袖を着用します 。
2. おもてなしの心を表現する「比翼仕立て」の意味
黒留袖の襟元を見ると、白い布が重なって二枚着ているように見えませんか?
これは「比翼(ひよく)仕立て」といって、喜びが重なるようにという願いが込められています。
昔は本当に白い着物を下に重ね着していましたが、今は簡略化して、襟や袖口にだけ白い布を縫い付けているんです。
見た目の美しさだけでなく、こうした縁起の良い意味が隠されているのも着物の奥深いところですね。
姉妹や叔母など親族におすすめの着物は?
「母親以外の親族は何を着ればいいの?」と迷う方も多いかもしれません。
実は、未婚か既婚か、そして年齢によっておすすめの着物が変わってきます。
1. 結婚していても着られる華やかな「色留袖」
色留袖(いろとめそで)は、黒留袖と同じように裾だけに模様が入った着物ですが、地色が黒以外のものを指します。
五つ紋を入れれば黒留袖と同格になりますが、結婚式では三つ紋や一つ紋にして「準礼装」として着るのが一般的です。
淡いピンクや水色、ベージュなど優しい色合いが多く、既婚の姉妹や叔母様にぴったり。
黒留袖ほど重々しくならず、上品な華やかさを演出できますよ 。
2. 未婚の姉妹なら「振袖」を選んでもいい?
はい、もちろん大丈夫です。
振袖は未婚女性の第一礼装ですから、妹さんや姪っ子さんが着るととても喜ばれます。
ただし、花嫁さんもお色直しで振袖(引き振袖など)を着る場合があります。
色が被ってしまわないか、事前に確認しておくと安心ですね。
親族として参列する場合は、あまり派手すぎる柄よりも、古典柄などの落ち着いた雰囲気のものを選ぶと好感度が高いでしょう 。
3. 親族として落ち着きを出したい場合の選び方
「親族だけど、あまり目立ちたくない」という場合は、紋付きの訪問着や色無地という選択肢もあります。
特に遠縁の親戚や、従姉妹といった立場なら、そこまで格式張らなくても大丈夫なケースが多いです。
大切なのは「両家の母親(黒留袖)よりも格が上にならないこと」と「派手になりすぎないこと」。
親族間で服装のトーンを合わせるために、事前に相談しておくのが一番の失敗防止策です 。
友人の結婚式に華を添える「訪問着」の魅力
友人ゲストとして参列する場合、最も使い勝手が良くて人気なのが「訪問着」です。
肩から袖、裾にかけて絵羽模様(えばもよう)がつながっているのが特徴です。
1. 未婚でも既婚でも着られる「訪問着」が人気な理由
訪問着の最大のメリットは、未婚・既婚を問わずに着られることです。
「もう振袖を着る年齢ではないけれど、黒留袖を着る立場でもない」という30代以上の女性にとって、まさに救世主のような存在。
結婚式だけでなく、子供の入学式や七五三など、今後の人生の節目でも長く愛用できるので、一着持っておくといざという時に頼りになります 。
2. 写真映えする明るい色や柄の選び方
結婚式はお祝いの席ですから、明るく澄んだ色の着物が好まれます。
パステルカラーのピンク、クリーム色、若草色などは、顔色も明るく見えて写真映えも抜群です。
逆に、黒地の訪問着や、全体的に暗すぎる色は避けたほうが無難です。
「親族かな?」と間違われたり、喪服を連想させたりする場合があるからです。
せっかくの晴れ舞台、主役の花嫁さんを引き立てつつ、自分自身も楽しめる明るい色を選んでみてください 。
3. 友人代表のスピーチでは何を着るのが正解?
スピーチや余興を頼まれているなら、なおさら着物はおすすめです。
前に立ったときの華やかさが段違いですし、きちんとした印象を与えることができます。
この場合、振袖でも訪問着でも問題ありませんが、動きやすさを考えるなら訪問着のほうが楽かもしれません。
袖が長い振袖は、マイクを持つときや手元を動かすときに少し気を使う必要があるからです。
自信を持って話せるよう、自分がリラックスできる着物を選んでくださいね。
「未婚」と「既婚」で変わる着物選びのポイント
着物の世界では、「結婚しているかどうか」が着物選びの大きな基準になります。
洋服ではあまり意識しないポイントなので、少し戸惑うかもしれませんね。
1. 振袖は未婚女性だけの特権といわれる理由
振袖の長い袖は、かつて男性への求愛のサイン(袖を振る)として使われていたという説があります。
結婚したら「もう袖を振る必要がない」ということで、袖の短い留袖を着るようになったと言われているんです。
ですから、原則として振袖は未婚女性だけの特別な衣装。
このルールを知っておくと、「いつまで振袖を着ていいの?」という疑問もスッキリ解決しますよね 。
2. 30代の未婚女性が振袖を着るときに工夫すること
「未婚なら何歳でも振袖でいいの?」と悩む30代の方は少なくありません。
マナー上は問題ありませんが、成人式のような派手な色柄だと、少し子供っぽく見えてしまうことがあります。
大人の女性が振袖を着るなら、深みのある赤や紫、落ち着いた古典柄を選ぶのがコツ。
帯結びも、高い位置で可愛らしく結ぶより、少し下げて落ち着いた結び方にすると、年齢に合った上品な着こなしになります 。
3. 結婚したら袖を短くするのはどうして?
先ほどお話ししたように、結婚後は袖の短い「留袖」や「訪問着」を着るのが習わしです。
これを「袖を留める」と言います。
実は、振袖の袖を切って短くし、訪問着として仕立て直すこともできるんです。
思い出の詰まった振袖を、結婚後も形を変えて着続けられるなんて、物を大切にする日本らしい素敵な文化だと思いませんか?
夏の結婚式でも着物を着て大丈夫?
「真夏の結婚式に着物なんて、暑くて無理!」と思っていませんか?
実は着物には、夏専用の涼しい素材があるんです。
1. 7月や8月のお呼ばれには「絽(ろ)」や「紗(しゃ)」
7月・8月の盛夏には、「薄物(うすもの)」と呼ばれる透け感のある着物を着ます。
代表的なのが、縞模様の透かしが入った「絽(ろ)」と、全体的にメッシュのような透け感がある「紗(しゃ)」です。
見た目にもとても涼しげで、風を通すので意外と快適に過ごせます。
周りの人にも「涼」を感じさせるのが、夏の着物の粋なマナーと言われています 。
2. 6月や9月に適した「単衣(ひとえ)」という選択肢
季節の変わり目である6月と9月には、「単衣(ひとえ)」という裏地のない着物を着ます。
透けない生地ですが、裏地がないぶん軽くて涼しいのが特徴です。
最近は5月でも暑い日が多いので、気温に合わせて早めに単衣を着ることも許容されつつあります。
無理して厚着をするよりも、その日の気候に合わせて快適なものを選ぶ柔軟さも大切ですね 。
3. 季節感を大切にするのが日本ならではの心遣い
着物の衣替えルールを表にまとめてみました。
| 着用時期 | 着物の種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| 10月〜5月 | 袷(あわせ) | 裏地がついている一般的な着物 |
| 6月・9月 | 単衣(ひとえ) | 裏地がなく軽やか。透けない生地 |
| 7月・8月 | 薄物(絽・紗) | 透け感があり風通しが良い夏用着物 |
ただ、結婚式場の空調はしっかり効いていることが多いので、真夏でも「袷」で参列しても絶対にNGというわけではありません。
その場合は、移動中の暑さ対策をしっかり行うようにしましょう 。
足元や手元を彩る小物合わせのルール
着物選びと同じくらい大切なのが、バッグや草履などの小物選びです。
「小物は適当でいいや」と思っていると、意外と目立って恥ずかしい思いをするかもしれません。
1. お祝いの席にふさわしい草履とバッグの色は?
結婚式用の草履とバッグは、「金」か「銀」の礼装用セットを選ぶのが基本です。
特に親族として参列する場合や、黒留袖・色留袖を着る場合は、必ず金銀が入ったものを選びましょう。
友人の訪問着や振袖なら、エナメル素材や帯地を使った少し華やかなデザインでもOKです。
ただし、爬虫類の革(ワニやヘビ)は「殺生」を連想させるため、結婚式ではNGアイテムとされているので注意してください 。
2. 半衿(はんえり)は「白」を選ぶのが基本のマナー
着物の襟元から少しだけ見える「半衿」。
おしゃれな刺繍入りや色付きのものもたくさんありますが、結婚式の留袖の場合は「白」を選ぶのが正式なルールです。
振袖や訪問着なら、淡い色の刺繍衿や重ね衿を使って顔周りを華やかにしても大丈夫。
ただし、あまりにも派手すぎる色や黒い半衿は避けたほうが無難です。
清潔感のある白が、一番顔色をきれいに見せてくれますよ。
3. 扇子(末広)はどこに挿しておくもの?
留袖を着るときに欠かせないのが、扇子(末広)です。
「暑いからあおぐためのもの」と思いがちですが、実はこれ、儀式用の小物なのであおいで使ってはいけません。
帯の左側、帯揚げと帯締めの間に挟んでおくのが正しい位置です。
集合写真を撮るときだけ手に持ちますが、それ以外はずっと帯に挿しておきます。
「末広がり」で縁起が良いアイテムなので、忘れずに身につけておきましょう 。
着物姿をより美しく見せる髪型のポイント
着物を着るときの髪型、普段のまとめ髪と同じでいいと思っていませんか?
着物のボリュームに負けない、バランスの良いヘアセットが必要です。
1. 派手になりすぎない上品なヘアセットのコツ
結婚式の主役はあくまで花嫁さんです。
盛りすぎたキャバ嬢のようなヘアスタイルや、逆毛を立てすぎた派手な髪型はマナー違反になります。
おすすめは、低い位置でまとめたシニヨンや、夜会巻きなどのクラシカルなスタイル。
うなじがきれいに見えるアップスタイルにすると、着物姿の色っぽさと清潔感が引き立ちます 。
2. 花嫁さんと被らない髪飾りの選び方
髪飾り選びで一番気をつけるべきなのは、「生花」や「ティアラ」を避けること。
これらは花嫁さんの特権とされているアイテムだからです。
ゲストにおすすめなのは、パールやべっ甲、漆塗りのかんざしなど。
キラキラしすぎない、上品な光沢のあるものが着物によく合います。
「少し地味かな?」と思うくらいが、着物の柄を引き立ててちょうどいいバランスになりますよ 。
3. ショートヘアでも着物に似合うアレンジ方法
「髪が短いからアップにできない」と諦める必要はありません。
ショートやボブでも、サイドを編み込んだり、髪飾りをつけたりするだけで十分華やかになります。
また、あえて何もつけず、毛流れを整えてツヤを出すだけでも、着物特有の「凛とした美しさ」が出ます。
美容師さんに「着物を着るので、襟足がすっきり見えるようにしてください」と相談してみましょう 。
着物は購入するのとレンタルではどちらが良い?
最後に、着物をどうやって調達するかという問題です。
購入とレンタル、それぞれに良いところがあります。
1. 毎回違う柄を楽しめるレンタルの手軽さ
最近はネットレンタルの質も上がっていて、フルセットで数万円から借りられます。
最大のメリットは、毎回違う着物を選べること。
「前回の結婚式と同じ着物だね」と言われる心配もありませんし、クリーニングの手間も不要です。
夏用の絽の着物など、出番が少ないものをピンポイントで借りられるのも嬉しいですよね 。
2. 自分だけのサイズで仕立てる購入のよさ
一方、自分の体型に合わせて仕立てた着物は、着心地が全く違います。
着崩れもしにくいですし、何より「自分のもの」という愛着が湧きます。
将来、自分の子供に受け継ぐこともできます。
もし金銭的に余裕があって、今後も着る機会がありそうなら、訪問着を一着作っておくのも素敵な投資かもしれません 。
3. 着付けやヘアセットもセットになったプランの活用
結婚式場やホテルには、衣装レンタルと着付け、ヘアセットが全部セットになったプランがあることが多いです。
これを利用すれば、当日は手ぶらで行くだけなので本当に楽ちん。
自分で別々に手配するよりも安く済む場合もあるので、招待状が届いたら式場の美容室に問い合わせてみることをおすすめします。
プロにお任せすれば、マナーの面でも安心ですよね。
まとめ
結婚式での着物選び、少しハードルが高いと感じていた不安は解消されましたか?
大切なポイントをおさらいしておきましょう。
- 母親は黒留袖、親族は色留袖か訪問着が基本。
- 友人は訪問着か振袖(未婚)で華やかに。
- 季節に合わせた素材(袷・単衣・薄物)を選ぶ。
- 花嫁さんより目立たない、上品な装いを心がける。
いろいろとルールはありますが、一番大切なのは「お祝いしたい」というあなたの気持ちです。
マナーを守った着物姿は、誰が見ても美しく、品格を感じさせるものです。
ぜひ、次のお呼ばれには着物で参列してみてください。
いつもと違う特別な一日が、より一層思い出深いものになるはずですよ。
