着付けを始めると、揃えなければならない道具の多さに驚いてしまいますよね。特に「着物クリップ」は数が必要なわりに値段が高くて、「100均の洗濯バサミで代用できるのでは?」と考える方も多いはずです。実は私も着付けを始めた頃は、家にあるもので済ませようと試行錯誤していました。
結論から言うと、着物クリップは100均グッズでも十分に代用できるんです。ただし、買ってきたものをそのまま使うと、大切な着物を傷つけてしまうリスクがあるのも事実です。この記事では、私が実際に試して良かった「100均アイテムの安全な加工法」や、専用品との賢い使い分けについて詳しく解説していきます。
着物クリップは100均グッズで代用できる?
着付け教室や本では必ず用意するように言われる着物クリップですが、本当に専用のものでないといけないのでしょうか。まずは、代用品としての可能性と、知っておくべきリスクについて整理してみましょう。
結論は「工夫すれば十分に代用可能」
着物クリップの主な役割は、着付けの最中に布を一時的に固定することです。この「挟んで止める」という機能だけであれば、100均で売っている洗濯バサミや文房具でも代用は可能です。実際に多くの着物愛好家が、身近なグッズを工夫して使っています。
大切なのは「そのまま使わない」という点です。100均の商品には着物専用の配慮がされていないため、少し手を加える必要があります。ほんの少しの工夫で、数百円の専用クリップと同じような働きをしてくれるようになります。
着付け初心者がコストを抑える賢い選択
着付けを始めたばかりの頃は、着物や帯以外にも小物類でお金がかかりますよね。専用の着物クリップは、大サイズだと1つ1000円以上することもあります。まずは100均の代用品で練習を始めて、浮いたお金を帯締めや帯揚げに回すのも賢い選択です。
100均グッズなら、万が一壊れても買い替えが簡単です。練習中はクリップを落としたり踏んだりすることもありますが、精神的なダメージも少なくて済みます。気兼ねなくガンガン使えるのは、初心者にとって大きなメリットと言えるでしょう。
ただし「そのまま」使うのは避けるべき理由
洗濯バサミや文房具のクリップをそのまま使うのはおすすめできません。なぜなら、それらは「布を傷つけないこと」を最優先に作られていないからです。特に正絹(しょうけん)の着物はデリケートなので、強い力で挟むと生地が傷んでしまうことがあります。
また、挟む部分の素材にも注意が必要です。プラスチックがむき出しの状態だと、滑りやすくてしっかり止まらないことがあります。これでは着付けの最中に帯が緩んでしまい、結果として着姿が崩れる原因になってしまいます。
洗濯バサミを代用する前に知っておきたいポイント
家庭にある洗濯バサミは一番身近な代用品ですが、選び方を間違えると使い物になりません。ここでは、代用に向いている洗濯バサミの特徴と、避けるべきポイントを見ていきましょう。
洗濯バサミのギザギザが生地を傷める可能性
多くの洗濯バサミには、洗濯物が風で飛ばされないように挟む面にギザギザがついています。このギザギザこそが、着物にとって最大の敵です。柔らかい着物の生地に食い込み、繊維を毛羽立たせてしまう恐れがあります。
特に帯揚げや帯締めなどの薄い小物は、一度傷がつくと修復が難しいものです。代用する際は、挟む面がフラットなものを選ぶか、後ほど紹介する加工法でギザギザをカバーする必要があります。
挟む力が弱くて帯が滑り落ちる悩み
洗濯バサミは、濡れた衣類を干すための道具です。そのため、重たい帯を何重にも重ねて止めるような強い力は想定されていません。特に安価なプラスチック製のものはバネが弱く、厚手の帯を挟むと弾け飛んでしまうことがあります。
着付け中にクリップが外れると、せっかく決めた位置がズレてしまい、最初からやり直しになることもあります。これは非常にストレスが溜まります。バネの力がしっかりしているものを選ぶことが、代用成功の鍵となります。
サイズ選びは「大きめ」が使いやすい理由
100均には大小さまざまな洗濯バサミがありますが、着物用には断然「大きめ」がおすすめです。小さいと開口部が狭く、帯と着物を一緒に挟むことができません。無理に挟もうとすると生地にシワが寄ってしまいます。
布団バサミほど大きい必要はありませんが、指でつまむ部分が大きく、軽い力でガバッと開くタイプが使いやすいです。竿用ピンチなどの名称で売られているものが、比較的ホールド力も強く、サイズ感も適しています。
100均の洗濯バサミを安全な着物クリップにする加工法
ここからは、100均の洗濯バサミを着物専用クリップに変身させる簡単なDIYを紹介します。所要時間は1つあたり3分ほどです。特別な道具は必要ありませんので、ぜひ試してみてください。
用意するのはマスキングテープやガーゼだけ
加工に必要な材料は、全て100均で揃います。家にある余り物を使っても構いません。特にマスキングテープは剥がした跡が残りにくいのでおすすめです。
- 洗濯バサミ(挟む面が平らなものがベスト)
- マスキングテープ(または布テープ)
- ガーゼや薄い布の端切れ
- 両面テープ(布を使う場合)
マスキングテープは紙製なので、滑り止めの効果は弱めです。より強力な滑り止め効果が欲しい場合は、テーピング用のテープや、隙間テープなどのクッション性がある素材を使うと、さらに使い勝手が向上します。
クリップの内側を保護して滑り止めを作る手順
加工の手順はとてもシンプルです。要点は「着物に当たる部分を柔らかくカバーする」ことです。これで生地へのダメージを防ぎつつ、滑り落ちるのを防ぎます。
- 洗濯バサミの挟む部分の汚れや油分を拭き取る
- 挟む部分の大きさに合わせて、テープや布をカットする
- ギザギザを覆うように丁寧に貼り付ける
- はみ出した部分はハサミで綺麗に整える
特に先端部分は生地に引っかかりやすいので、テープを少し折り返すようにして貼ると安心です。布を貼る場合は、両面テープでしっかりと固定し、接着剤がはみ出さないように注意してください。
見た目も可愛くアレンジするアイデア
せっかく自作するのですから、見た目も自分好みにアレンジしてしまいましょう。無機質な洗濯バサミも、可愛いマスキングテープで全体を巻けば、おしゃれな和装小物に早変わりします。
- 着物の色に合わせてテープの色を変える
- リボンやビーズを接着剤でつける
- 油性ペンで目印や名前を書く
お気に入りの道具を使えば、練習のモチベーションも上がりますよね。「これは衿用」「これは帯用」と色分けしておくと、着付けの最中に迷わずにサッと手に取れるので便利です。
文房具のダブルクリップも代用品として使える?
オフィスで書類をまとめる「ダブルクリップ」も、家によくあるアイテムですよね。実はこれも着付けの代用品として優秀な働きをしてくれます。洗濯バサミとは違ったメリットについて解説します。
挟む力が強いので厚手の帯結びに便利
ダブルクリップの最大の特徴は、その強力なホールド力です。バネの力が非常に強いため、分厚い袋帯などをしっかりと固定したい時に重宝します。洗濯バサミでは頼りない場面でも、ダブルクリップならガッチリと止めてくれます。
特に、帯結びの最中に背中側で帯を仮止めする際などに活躍します。サイズも豊富にあるので、特大サイズを用意しておけば、厚みのある帯でも安心して任せられます。
生地への食い込みを防ぐためのひと手間
ただし、ダブルクリップは金属製でエッジが鋭いため、そのまま使うのは厳禁です。強い力で挟む分、生地にくっきりと跡がついてしまったり、最悪の場合は生地が切れてしまったりする恐れがあります。
必ずクリップの金属部分を保護する必要があります。先ほどの洗濯バサミと同様に、内側にクッション性のあるテープを何重にも貼ってください。金属の冷たさや硬さが直接生地に伝わらないようにするのがポイントです。
ティッシュや布を噛ませて跡を防止する方法
加工が面倒な場合や、急いでいる時の応急処置として使えるテクニックがあります。それは、クリップと着物の間に「当て布」をすることです。
- ポケットティッシュを四つ折りにする
- 手拭いやハンカチの端を使う
- 不要になった布切れを小さく切って挟む
これらをクリップに噛ませるだけで、生地への負担が激減します。少し手間はかかりますが、着物を守るためには欠かせない工程です。特に借り物の着物や、高価な着物を扱う時は必ず行ってください。
100均ショップで探すべき他の代用アイテム
洗濯バサミやダブルクリップ以外にも、100均には代用できる優秀なアイテムが隠れています。視点を少し変えて、手芸コーナーや文具コーナーをパトロールしてみましょう。
手芸コーナーの「仮止めクリップ」が優秀
最近の100均の手芸コーナーで見かける「仮止めクリップ」をご存知でしょうか?これは元々、待ち針の代わりに布を止めるための道具です。これが驚くほど着物クリップに近い形状をしています。
- 仮止めクリップ(小〜大サイズ)
- キルト用クリップ
これらは元々布を扱うために作られているので、挟む面がフラットで生地を傷めにくい構造になっています。バネの強さも程よく、小ぶりなので衿元の細かい調整などに最適です。見つけたら即買いをおすすめします。
ダイソーやセリアで見つかる着物便利グッズ
実は、ダイソーやセリアなどの大型店舗では、稀に「着物用クリップ」そのものが売られていることがあります。もし見つけられたらラッキーですが、品質にはバラつきがあるため確認が必要です。
また、「帽子クリップ」や「マルチクリップ」の部品も流用できます。ゴム紐がついているタイプは、袂(たもと)クリップとして食事の際に袖を留めるのにも使えます。アイデア次第で用途は無限に広がります。
売り場は洗濯用品と文具コーナーをチェック
代用品を探す際は、一つの売り場にとどまらず、店内を広く回ってみることが大切です。意外な場所に使えるアイテムが眠っていることがあります。
- 洗濯用品売り場: 竿用ピンチ、布団バサミ
- 文具コーナー: クリップ類、ブックスタンド
- 手芸コーナー: 仮止めクリップ、ゴムベルト
特に「バネの強さ」と「口の開き具合」を実際に手にとって確認してみてください。パッケージに入っていても、横から見て挟む面にギザギザがないかチェックするのを忘れないようにしましょう。
本物の着物クリップと代用品の決定的な違いとは?
ここまで代用品の良さをお伝えしてきましたが、やはり専用の着物クリップには敵わない部分もあります。プロが専用品を使うのには、それなりの理由があるのです。
| 比較項目 | 100均代用品 | 専用着物クリップ |
| 生地への優しさ | 加工が必要 | ゴム付きで安心 |
| ホールド力 | モノによる | 強く安定している |
| 耐久性 | プラスチックは劣化しやすい | 金属製で丈夫 |
| 価格 | 110円〜 | 500円〜2000円 |
先端のゴムクッションが着物を優しく守る
専用クリップの最大の特徴は、先端についている赤や白のゴムクッションです。このゴムは適度な弾力があり、着物をしっかりと捉えつつ、絶対に傷つけない絶妙な硬さで作られています。
この安心感は代用品ではなかなか再現できません。加工したテープはどうしても剥がれたりズレたりしますが、専用品ならメンテナンスフリーで長く使い続けられます。
帯をしっかり止めるホールド力の強さ
専用クリップは、帯の重みに耐えられる強力なバネを採用しています。しかも、ただ強いだけでなく、開くときは軽い力で開くように設計されているものが多いです。
手の小さい女性でも扱いやすく、かつ保持力は高い。このバランスの良さは専用設計ならではです。着付け中にクリップが弾け飛ぶストレスから解放されるのは、大きなメリットと言えます。
曲線にフィットするカーブの有無
高級な着物クリップの中には、着物の衿のカーブに合わせて本体が緩やかに湾曲しているものがあります。これにより、クリップが首元に当たって痛くなるのを防ぎ、着物のラインを崩さずに止めることができます。
直線的な洗濯バサミでは、どうしても角が体に当たったり、生地に変なシワが入ったりすることがあります。美しい着姿を追求するなら、やはり専用品に軍配が上がります。
代用クリップが活躍するのは着付けのどの場面?
では、代用クリップは具体的にどのようなシーンで使うのが正解なのでしょうか。専用品と遜色なく使える、おすすめのシチュエーションを紹介します。
襦袢の襟合わせを一時的に固定する時
長襦袢の襟を合わせ、伊達締めをするまでの短い間だけ止めておきたい。そんな時は代用クリップの出番です。ここは上から着物を着てしまうので、クリップの見た目を気にする必要もありません。
手芸用の仮止めクリップや、小さめの洗濯バサミが使いやすいでしょう。長時間止めるわけではないので、そこまで強力なホールド力も必要ありません。
帯を巻くときの補助として使う時
帯を巻く際、手先(てさき)を肩に預けたり、垂れ先を仮止めしたりする場面です。ここではある程度の挟む力が必要になりますが、加工済みの大きめの洗濯バサミなら十分に対応できます。
背中側で帯を挟む時は、見えない部分なので大きくて無骨なクリップでも問題ありません。しっかりと止まってくれることを最優先に選びましょう。
雨の日に裾を少し持ち上げる時
外出先での雨対策や、お手洗いの際に着物の裾を持ち上げる時にも代用クリップが役立ちます。この場合、帯に挟んで裾を吊り上げることになるため、紐付きのクリップを作っておくと便利です。
100均のフィッシュクリップ(帽子留めなどに使うもの)とゴム紐を組み合わせれば、簡易的な「袂クリップ」や「裾上げクリップ」が作れます。バッグに忍ばせておくと、いざという時に助かります。
代用クリップを使う時に気をつける注意点
便利で安上がりな代用クリップですが、トラブルを避けるために必ず守ってほしいルールがあります。大切な着物を守るためにも、これだけは覚えておいてください。
長時間つけっぱなしにすると跡が残る
代用品は専用品に比べて、挟む力の加減が調整されていません。そのため、長時間同じ場所を挟み続けると、クッキリと跡が残ってしまうことがあります。特に湿気を含んだ生地は跡がつきやすいので注意が必要です。
着付けが終わったら、すぐに外す癖をつけましょう。「仮止め」はあくまで「仮」です。用が済んだら速やかに取り外すことで、着物へのダメージを最小限に抑えられます。
古い洗濯バサミのサビや汚れを確認する
家のベランダにあった古い洗濯バサミを使う場合は、バネの部分が錆びていないか必ずチェックしてください。錆が着物に付着すると、専門のクリーニングに出しても落ちないことがあります。
また、プラスチックが劣化して粉を吹いているようなものもNGです。着物用に使うクリップは、必ず新品を購入するか、綺麗に洗って室内専用として管理するようにしましょう。
正絹などのデリケートな着物には慎重に使う
ポリエステルやウールの着物なら多少ラフに扱っても大丈夫ですが、正絹(シルク)や金箔が施された帯などは非常に繊細です。これらの着物を着る時は、できるだけ専用のクリップを使うか、代用品なら当て布を必ず使ってください。
特にアンティーク着物などは生地が弱っていることもあります。クリップを外す時も、引っ張って取るのではなく、一度口を開いてから優しく外すように心がけましょう。
クリップの数を揃えるなら100均と専用品の併用がおすすめ
最終的に私がたどり着いた結論は、「専用品と100均グッズのハイブリッド使い」です。全てを専用品で揃える必要はありませんし、全てを代用品で済ませる必要もありません。
襟元など重要な部分は専用クリップに任せる
着付けの仕上がりを左右する「衿(えり)」の固定には、やはり専用のクリップを使うことを強くおすすめします。衿元は顔に一番近く、人の視線が集まる場所だからです。
ここに変なシワや跡がつくと目立ってしまいます。小ぶりで綺麗な専用クリップを2〜3個持っておき、ここぞという場所にはそれを使う。これだけで着付けの安心感が段違いです。
数が必要な場面で代用クリップを活用する
一方で、帯結びの仮止めや、着付け中の背中側の処理など、「見えない場所」や「力が必要な場所」には代用品をどんどん使いましょう。こちらは数が必要になることが多いので、安価な代用品が活躍します。
加工した大きめの洗濯バサミを5〜6個用意しておけば、複雑な帯結びの練習をする時も困りません。質より量を優先するゾーンと割り切って使うのがポイントです。
まずは代用品で試して必要なら買い足す
最初から高価なセットを揃える必要はありません。まずは100均のアイテムで代用してみて、「ここはもっとしっかり止めたいな」「跡がつくのが気になるな」と感じたら、その分だけ専用品を買い足せば良いのです。
自分の着付けの癖や、よく着る着物の種類によっても必要な道具は変わってきます。走りながら自分にベストな道具セットを作っていく。そんな過程も着物の楽しみの一つだと思います。
まとめ
着物クリップは、工夫次第で100均グッズでも十分に代用できることがお分かりいただけたでしょうか。専用品でなければ着付けができない、なんてことはありません。
大切なのは、道具にこだわりすぎず、まずは着物を着て楽しむことです。今回紹介した加工法を使えば、数百円で十分なセットが揃います。浮いたお金で、次の休日に着物で美味しいランチを食べに行くのも素敵ですよね。
身近なアイテムを上手に活用して、ぜひ気軽に着物ライフをスタートさせてください。あなたの着付け時間が、もっと楽しく快適なものになりますように!
