男性着物の着付けと帯結び!初心者でもできる「貝の口」の結び方を解説

「男性の着物を着てみたいけれど、着付けが難しそう」

そんなふうに思って、一歩踏み出せないでいませんか?実は、男性の着物や浴衣の着付けは、女性に比べると驚くほどシンプルです。

特に帯結びの定番である「貝の口」さえ覚えてしまえば、初心者でもすぐにかっこよく着こなせるようになります。

この記事では、初めての方でも迷わずにできる「男性着物の着付け」と「貝の口の結び方」の手順をわかりやすく解説します。

基本を押さえて、粋な和装ライフを始めてみませんか。

目次

男性の着付けに必要な道具

着物を着るために必要なものは、実はそれほど多くありません。まずは基本の道具を揃えることから始めましょう。あれもこれもと揃える前に、最低限必要なものを確認すると安心です。

初心者がまず用意すべきアイテムを整理しました。

1. 着物と角帯の基本セット

まずはメインとなる着物と帯、そして足元の準備です。これらが揃っていないと始まりません。

以下のアイテムを確認してみてください。

  • 長着(着物)
  • 角帯
  • 足袋
  • 雪駄または草履

長着は着物本体のことです。自分の身長に合ったサイズを選ぶのが、着崩れを防ぐ第一歩になります 。

角帯は、男性用の帯の中で最もポピュラーなものです。最初は扱いやすい綿やポリエステル素材のものを選ぶとよいでしょう 。

2. 腰紐の本数と選び方

着物を体に固定するために欠かせないのが腰紐です。男性の場合、女性のように何本も使う必要はありません。

  • 腰紐(1〜2本)

基本的には1本あれば着付けが可能です。ただ、初心者のうちは長襦袢を固定するためにもう1本あると、襟元が崩れにくくて安心です 。

素材はウール(モスリン)が滑りにくくておすすめです。化繊のツルツルした紐は解けやすいので、慣れるまでは避けたほうが無難かもしれません。

3. 初心者におすすめのインナー

着物の下には何を着ればいいのか、迷う方も多いのではないでしょうか。専用の肌着もありますが、手持ちのものでも代用できます。

  • VネックのTシャツ
  • ステテコ

首元からインナーが見えると、少し野暮ったく見えてしまいます。襟ぐりが深く開いたVネックやUネックのシャツを選ぶのがポイントです 。

下半身はステテコや、タイツのようなものを履くと足捌きが良くなります。冬場は防寒対策としても重要ですね。

着物を着る前の準備と肌着

いきなり着物を羽織るのではなく、土台作りが大切です。ここを丁寧に行うだけで、仕上がりのカッコよさが格段に変わります。

着崩れを防ぐための、ちょっとしたひと手間を紹介します。

1. タオルを使ったお腹の補正

男性の着付けは、お腹が出ているほうが帯が安定して見栄えが良いとされています。細身の方は、補正をすることをおすすめします 。

  • フェイスタオル

タオルを細長く折り、お腹周りに巻いて腰紐で止めます。これだけで帯の位置が安定し、時間が経っても着物がずり落ちにくくなるのです。

「寸胴(ずんどう)」な体型を目指すのが、男性着物を粋に着こなすコツと言えるでしょう。

2. 襟元を整える長襦袢の役割

着物の下に着る「長襦袢(ながじゅばん)」は、着物の襟汚れを防ぐだけでなく、見た目の品格を作ります。

半襦袢(はんじゅばん)

Tシャツタイプや、簡易的な半襦袢も便利です。襟芯が入っているものを選ぶと、襟元がピシッとして清潔感が出ます 。

長襦袢の襟が喉のくぼみあたりに来るように合わせると、苦しくなく、かつ美しく見えます。

男性の着物の羽織り方

準備が整ったら、いよいよ着物を羽織っていきましょう。洋服とは違うポイントがいくつかありますが、慣れればジャケットを羽織る感覚で着られるようになります。

まずは背中の中心を意識することから始めてみてください。

1. 背中心を合わせるコツ

着物を羽織ったら、まず背中の縫い目(背中心)が体の真ん中に来ているか確認します。ここがズレていると、全体が歪んで見えてしまいます。

片手で左右の襟先を持ち、もう片方の手で背中の縫い目を持って、軽く引っ張りながら調整します。鏡を見ながら、体の中心線と縫い目を合わせるのがポイントです 。

2. 裾の長さを決める目安

男性の着物は「対丈(ついたけ)」と言って、女性のようにおはしょりを作りません。そのため、着丈の調整がとてもシンプルです。

くるぶし

裾の長さは、くるぶしが隠れるか隠れないかくらいが理想です。長すぎると地面を引きずってしまいますし、短すぎると子供っぽく見えてしまいます 。

床すれすれではなく、少し足首が見えるくらいが、粋で歩きやすい長さです。

3. 襟合わせは右と左どっちが上?

着付けで最も間違いやすいのが「襟合わせ」です。ここは絶対に間違えてはいけない重要なマナーがあります。

左上(左の襟が上)

相手から見て、アルファベットの「y」の字になるように合わせます。自分の右手で持っている襟(下前)を先に体につけ、その上から左手で持っている襟(上前)を重ねます 。

「右手が懐(ふところ)に入る」と覚えると忘れにくいですよ。逆にしてしまうと「死装束」になってしまうので、ここだけは注意してくださいね。

腰紐を結ぶ正しい位置

着物を羽織ったら、腰紐で固定します。この腰紐の位置が、男性着物の着心地と見た目を大きく左右します。

「どこで結ぶか」が、苦しくなく着るための最大の鍵です。

1. お腹ではなく腰骨で締める理由

腰紐はウエストのくびれではなく、もっと下の位置で締めます。お腹で締めてしまうと、座った時に苦しくなってしまいます。

腰骨(こしぼね)の上

腰骨の出っ張りに引っ掛けるようなイメージで紐をかけます。この位置なら、お腹を圧迫せず、食事をしても苦しくなりません 。

男性の着物は「腰で着る」と言われます。重心が下がって、どっしりとした男らしいシルエットになります。

2. 苦しくない紐の締め加減

紐をぎゅうぎゅうに締めれば良いというわけではありません。血行が悪くならない程度の加減が必要です。

指が1本入るくらい

結び目に指が一本入るくらいの余裕を持たせつつ、緩まないように結びます。結び目は体の中心を避け、少し左右にずらすと、帯を巻いた時にゴロゴロしません 。

余った紐は、巻いた紐に絡めるようにして挟み込み、見えないように処理しましょう。

角帯の名称と準備

いよいよ帯結びです。まずは帯の準備をしましょう。帯には部位ごとに名前があり、それを知っておくと手順が理解しやすくなります。

難しい言葉ではありませんので、少しだけ確認しておきましょう。

1. 「手先」と「垂れ先」の違い

帯の結び方の説明では、必ず「手先(てさき)」と「垂れ先(たれさき)」という言葉が出てきます。

  • 手先:巻き始めに使う短い方
  • 垂れ先:体に巻き付ける長い方

帯の端っこどちらを手に持っても構いませんが、結び始める時に長さを調整する側を「手先」と呼びます 。

この二つの役割がわかると、動画や解説を見た時に「どっちのこと?」と迷わずに済みます。

2. 帯を半分に折る長さの目安

結びやすくするために、手先の一部を細く折る準備をします。これをしておくと、結び目がコンパクトにきれいに仕上がります。

約20〜30センチ

手先の先端から大体30センチくらいを半分に折ります。折り目は下側(輪が下)になるようにするのが一般的です 。

この半分に折った部分が、後で結び目の中心になります。

帯を胴に巻く手順

準備ができたら、体に帯を巻いていきます。ただぐるぐると巻くだけではなく、しっかりと締めるコツがあります。

緩まないようにするためのポイントを押さえながら巻いていきましょう。

1. 時計回りに巻いていく流れ

手先を肩に預けるか、クリップで留めておき、残りの「垂れ先」を体に巻いていきます。

反時計回り(左回り)

一般的には反時計回りに巻くことが多いですが、自分が巻きやすい方向で構いません。帯を広げたまま、シワにならないように重ねていきます 。

通常は2〜3周巻きます。体格や帯の長さによって変わりますが、余りすぎないように調整します。

2. 一巻きごとに引き締めるコツ

帯を巻くたびに、しっかりと引き締める動作が大切です。これをサボると、動いているうちにズルズルと帯が下がってきてしまいます。

息を吸って止める

帯の下側(下線)を持って、グッと力を入れて締めます。この時、上側は少し余裕があっても大丈夫です。下側が締まっていることが、着崩れ防止になります 。

「帯は下を締める」と覚えておきましょう。こうすると、胃のあたりは楽なまま、腰でしっかり帯が止まります。

貝の口の結び方

ここが一番の山場、「貝の口」を結ぶ工程です。手順さえ覚えれば、蝶結びよりも簡単かもしれません。

鏡を見ながら、ゆっくりと一緒にやってみましょう。

1. 帯を交差させてひと結びする手順

巻き終わった「垂れ先」の長さを調整し、半分に折っていた「手先」と長さを合わせるようなイメージで準備します。

  1. 垂れ先を内側に折り込む
  2. 手先を上にして重ねる
  3. ひと結びする

垂れ先が長すぎる場合は、内側に折り込んで長さを調整します。そして、手先が上に来るように交差させ、下からくぐらせてギュッとひと結びします 。

この時、帯が縦になるようにしっかりと引くのがコツです。

2. 垂れ先を折り上げる方向

次に、結び目の形を作っていきます。ここでの折り方が、貝の口の綺麗な形を決めます。

斜めに折り上げる

下にある「垂れ先」を、結び目に向かって斜めに折り上げます。そして、上にある「手先」を下ろしてきて、垂れ先で作った輪の中に通します 。

言葉で書くと難しく感じますが、要は「下を折り上げ、上を被せて通す」というシンプルな動きです。

3. 結び目をロックする最後の引き方

形ができたら、最後に緩まないようにロックをかけます。ただ引っ張るのではなく、引く方向にコツがあります。

斜め方向に引く

手先と垂れ先を持ち、お互いに反発させるように斜めにグッと引きます。こうすることで、結び目が固く締まり、ほどけにくくなります 。

結び目が平らで、角がキリッとしているのが理想的な貝の口です。

かっこいい帯位置の調整

結び終わっても、まだ完成ではありません。今のままだと、結び目が体の正面にあるはずです。

これを正しい位置に移動させて、粋なバランスに整えましょう。

1. 結び目を回す方向と位置

結び目を後ろに回します。この時、回す方向を間違えると、せっかく着た着物が着崩れてしまいます。

時計回り(右回り)

必ず「時計回り(右回り)」に回してください。着物の襟合わせと同じ方向に回すことで、襟が開くのを防ぎます 。

結び目の位置は、背中の中心から少し左右にずらすのが「粋」とされています。真後ろよりも、少しあえて外すのがおしゃれですね。

2. 前を下げて後ろを上げる「粋」なバランス

最後に帯の角度を微調整します。水平にするのではなく、少し傾斜をつけるのがポイントです。

前下がり、後ろ上がり

おへその下あたりまで帯の前側を下げ、背中側は少し上げ気味にします。こうすると、横から見た時にお腹を支えるようなラインになり、姿勢も良く見えます 。

この「前下がり」の形が、男性着物の色気を引き出す黄金バランスです。

帯が緩んでしまう理由

「歩いているうちに帯が緩んでくる…」というのは、初心者がよく直面する悩みです。でも、これには明確な理由があります。

原因を知っておけば、対策も簡単です。

1. 帯の素材による滑りやすさ

帯の素材によって、摩擦力が全く違います。特にポリエステルなどの化学繊維は、表面がツルツルしていて滑りやすい傾向があります。

絹(正絹)や綿

もし頻繁に緩むようなら、素材を変えてみるのも一つの手です。正絹(しょうけん)の帯は「絹鳴り」といって、締める時にキュッと音が鳴り、緩みにくいのが特徴です 。

初心者のうちは、滑りにくい綿の帯から練習するのも良い選択ですね。

2. 結び目が解けないためのひと工夫

貝の口は構造上、平らで引っかかりが少ないため、ふとした拍子に緩むことがあります。

帯締め(おびじめ)

不安な場合は、上から「帯締め」や「腰紐」を一本通して結んでおくと安心です。これがストッパーの役割を果たしてくれます。

また、最後に結び目をロックする時、遠慮せずに思いっきり締めることも大切です。

浴衣と着物の着付けの違い

「夏は浴衣を着たいけれど、着物と着方は違うの?」と疑問に思うかもしれません。基本は同じですが、いくつかの違いがあります。

季節に合わせた着こなしの差を押さえておきましょう。

1. 帯の結び方は同じ?

嬉しいことに、帯の結び方は全く同じです。

貝の口

今回覚えた「貝の口」は、着物だけでなく浴衣にもそのまま使えます。一度マスターしてしまえば、一年中使える万能なスキルになります 。

浴衣の場合は、少しラフに結んでも涼しげで良いですね。

2. 足元や下着の使い分け

違いが出るのは、主にインナーと足元です。浴衣は涼しく着るためのものなので、より簡略化されます。

  • 長襦袢なしでOK
  • 素足に下駄

浴衣の場合、長襦袢を着ずに肌着の上から直接着ます。足元も足袋を履かずに、素足に下駄を履くのが一般的です 。

着物は「足袋+雪駄」、浴衣は「素足+下駄」と覚えておくとわかりやすいでしょう。

まとめ

男性の着付けは、想像よりもずっと自由でシンプルだということが伝わったでしょうか。「貝の口」さえ結べるようになれば、着物も浴衣も自信を持って楽しむことができます。

最初は時間がかかるかもしれませんが、何度か練習すれば5分もかからずに着られるようになります。

鏡の前で帯をキュッと締めた瞬間、背筋が伸びて、いつもとは違う自分に出会えるはずです。

今度の休日は、ぜひ着物で出かけてみませんか?その一歩が、新しい趣味の世界を広げてくれるかもしれません。

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