この長襦袢、半襟はついてる?初心者でもわかる見分け方と付いていない時の対処を解説

久しぶりに着物を着ようとタンスを開けたとき、あるいはリサイクルショップで素敵な長襦袢を見つけたとき、ふと疑問に思うことがあります。「これって、このまま着ていい状態なの?」と迷ったことはありませんか。

特に初心者さんを悩ませるのが、長襦袢の襟元です。白い襟のようなものは見えているけれど、それが「半襟(はんえり)」なのか、それとも土台の「地衿(じえり)」なのか、判断がつかないという声をよく耳にします。

もし半襟がついていない状態で着てしまうと、後で少し面倒なことになるかもしれません。ここでは、長襦袢に半襟がついているかどうかの見分け方と、もしついていなかった場合にどうすればいいのかを、やさしく解説していきます。

目次

長襦袢に半襟がついているか見分ける3つのチェックポイント

まずはお手元の長襦袢を広げて、襟元をじっくり観察してみましょう。実は、プロでなくても「触る」「見る」だけで簡単に見分けることができます。

難しい知識は必要ありません。次の3つのポイントを順番にチェックしていけば、今の状態がすぐにわかりますよ。

1. 襟の部分に厚みや段差があるか確認する

一番わかりやすいのが、手触りによる確認です。襟の部分を指で挟んでみて、少し厚みを感じたり、布が重なっている感触があったりしませんか。

もしペラペラとしていて、身頃(背中や胸の布)と同じ厚さであれば、それはまだ半襟がついていない可能性が高いです。半襟がついていると、土台の襟プラス一枚分の布の厚みが出るため、しっかりとした手触りになります。

2. 地衿の上に別の布が重なっているかを見る

次に、襟の端っこ(首の後ろにくるあたり)を見てみましょう。長襦袢本体の襟(地衿)の上に、別の白い布が覆いかぶさるように乗っていますか。

もし、襟の端から端まで縫い目のないつるっとした一枚布であれば、それは地衿のままです。半襟がついている場合は、明らかに「上から別の布をかけた」という見た目になっています。

3. 襟の内側や裏側に縫い目が見えるか探す

最後に、襟を裏返して内側を覗いてみてください。ざっくりとした手縫いの糸や、白い糸でまつり縫いをした跡が見えるでしょうか。

長襦袢本体はミシンで縫われていても、半襟は後から手縫いでつけられることがほとんどです。そのため、少し不揃いな縫い目や、あえて緩く縫われた糸が見えれば、それは半襟が縫い付けられている証拠だといえます。

そもそも長襦袢の「地衿」と「半襟」は何が違うのか

見分け方がわかったところで、「どうしてわざわざ二重にするの?」と不思議に思うかもしれません。実はこの二つには、明確な役割の違いがあります。

この違いを知っておくと、着物を着る準備がぐっとスムーズになりますし、大切なお着物を守ることにもつながります。

1. 長襦袢の本体についている地衿の役割

地衿というのは、長襦袢という衣服の「骨組み」にあたる部分です。ここがしっかりしていないと、着物の襟元がふにゃふにゃになってしまい、きれいな着姿になりません。

また、地衿の中に「襟芯(えりしん)」を通すための通り道としての役割も持っています。あくまで土台なので、基本的には汚れたり傷んだりしないように守られるべき部分なのです。

2. 地衿の上に半襟を重ねる大切な理由

では、なぜその上に半襟を重ねるのでしょうか。一番の理由は「汚れ防止」です。首回りは皮脂やファンデーションがつきやすい場所ですよね。

もし半襟がなかったら、長襦袢本体(地衿)が直接汚れてしまいます。長襦袢を毎回丸洗いするのは大変ですが、半襟ならそこだけ外して洗うことができます。洋服で言えば、枕に対する枕カバーのような存在だと思ってください。

3. 汚れを防ぎ顔映りを良くする半襟の効果

半襟にはもう一つ、お化粧のような効果があります。顔のすぐそばに真っ白な布がくることで、レフ板のように顔色を明るく見せてくれるのです。

また、あえて色や柄のついた半襟を選ぶことで、コーディネートのアクセントにすることもできます。実用的なカバーでありながら、おしゃれを楽しむためのキャンバスでもあるんですね。

新品やリサイクルの長襦袢には最初からついているのか

長襦袢を手に入れた経緯によって、半襟がついている確率は変わります。「新品だからついているはず」と思い込んでいると、着る直前になって慌てることになるかもしれません。

ここでは、購入先やタイプごとの傾向を整理しておきましょう。

  • 仕立て上がりの既製品(プレタ)
  • 反物から仕立てた場合
  • リサイクル着物やアンティーク

1. 仕立て上がりの既製品(プレタ)の場合

ポリエステルなどで作られた、S・M・Lサイズ展開の既製品の場合、ほとんど最初から半襟がミシンで縫い付けられています。

パッケージから出してすぐ着られるのが魅力ですが、稀についていない商品もあります。購入時の商品説明に「半襟付き」と書かれているかを必ずチェックしておくと安心です。

2. 反物から仕立てた場合の状態

呉服屋さんで自分のサイズに合わせて仕立てた場合、基本的には地衿の状態で納品されます。半襟は「別売り」の扱いになることが多いからです。

ただ、仕立てを頼む際に「半襟もつけておいてください」とお願いしていれば、職人さんがつけてくれているはずです。注文時の伝票を確認するか、お店の方に聞いてみるのが確実ですね。

3. リサイクル着物やアンティークの場合の注意点

古着屋さんで買った場合、前の持ち主がつけていた半襟がそのまま残っていることがあります。一見ラッキーに思えますが、よく見ると黄ばんでいたり、生地が弱っていたりすることも少なくありません。

そのまま使うよりも、衛生面や見た目の美しさを考えて、新しいものに付け替えることをおすすめします。「ついているけれど、交換が必要」というケースが多いのがリサイクルの特徴です。

もし半襟がついていない状態で着物を着るとどうなるか

「面倒だし、このまま地衿の状態で着ちゃダメかな?」と思うこともあるでしょう。急いでいる時などは特にそう感じるかもしれません。

しかし、半襟なしで着物を着ることには、いくつかのデメリットがあります。少し厳しい言い方になりますが、リスクを知っておきましょう。

1. 長襦袢の本体(地衿)が汚れてしまう問題

先ほどもお伝えした通り、地衿は長襦袢本体の一部です。ここにファンデーションや汗染みがついてしまうと、簡単には落とせません。

クリーニングに出すと「染み抜き代」が高額になることもあります。数百円の半襟をつける手間を惜しんだばかりに、後で高いメンテナンス代がかかってしまうのは避けたいですよね。

2. 着物の襟元から地衿が見えてしまう見た目の違和感

地衿の多くは、長襦袢と同じ生地で作られています。そのため、着物の襟元から襦袢の共布(ともぬの)が見えていると、詳しい人から見れば「下着が丸見えになっている」ような違和感を与えてしまいます。

キリッとした白い半襟があってこそ、着物姿は引き締まります。見た目の清潔感という意味でも、やはり半襟は欠かせません。

3. 着付けの際に襟のカーブがきれいに決まらない

半襟をつけることで襟元に適度な厚みと張りが生まれ、きれいなカーブが描きやすくなります。

地衿だけの状態だと生地が薄すぎて、襟芯を入れても浮いてしまったり、シワが寄ったりしがちです。着付けの練習をしてもうまくいかない時は、もしかしたら半襟の状態が原因かもしれません。

ついていない時の対処法1:お店にお願いする場合

ここまで読んで「やっぱりついていない!」と気づいた方も、焦らないでください。自分で縫うのが苦手なら、プロに頼むという選択肢があります。

時間は少しかかりますが、仕上がりは間違いなく綺麗です。無理をして失敗するより、頼れる場所を知っておくのも着物を楽しむコツですよ。

1. 購入した呉服店や着物専門店に相談する

一番確実なのは、その長襦袢を購入したお店に持ち込むことです。「半襟をつけたいのですが」と相談すれば、快く対応してくれるはずです。

もしネットショップやリサイクル店で買ったものでも、近所の呉服屋さんで「他店購入品」として受け付けてくれる場合があります。まずは電話で問い合わせてみましょう。

2. お直し専門店での半襟付けサービスの相場

着物のお手入れを専門にしているお店(悉皆屋・しっかいや)や、ショッピングモールに入っているお直し屋さんでも対応していることがあります。

気になる料金ですが、お店によって異なります。一般的な目安をまとめてみました。

依頼先料金目安(半襟代別)特徴
呉服店1,000円〜2,000円丁寧で安心。納期は要確認。
クリーニング店1,500円〜3,000円クリーニングとセットが多い。
お直し専門店2,000円〜3,500円早い場合があるが割高なことも。

3. クリーニングと同時に依頼できるケース

長襦袢を丸洗い(クリーニング)に出すタイミングであれば、オプションで半襟付けを追加できることが多いです。

これなら、きれいに洗ってもらった長襦袢に、ピシッとした新しい半襟がついた状態で戻ってきます。衣替えの時期などにまとめてお願いすると、管理がとても楽になりますよ。

ついていない時の対処法2:自分でつけるための準備

「お店に持っていく時間がない」「なるべく安く済ませたい」という方は、自分でつけてみましょう。実は、それほど難しい道具は必要ありません。

まずは必要なアイテムを揃えるところからスタートです。手芸用品店はもちろん、最近では100円ショップでも揃うものが多いですね。

  • 白い半襟
  • 待ち針
  • 針と糸

1. 最初に用意すべき白い半襟の選び方

半襟には色々な種類がありますが、最初に買うなら「塩瀬(しおぜ)」と呼ばれるプレーンな白の半襟がおすすめです。

これはフォーマルからカジュアルまで、どんな着物にも合わせられる万能選手です。素材選びに迷ったら、「白の塩瀬」と言えば間違いありません。

2. 素材はポリエステルか正絹かどちらが良いか

素材は大きく分けて「ポリエステル(化繊)」と「正絹(シルク)」の2種類があります。それぞれの特徴を比較して、自分のライフスタイルに合う方を選んでみましょう。

素材メリットデメリット
ポリエステル洗濯機で洗える、安い、変色しにくい滑りやすい、安っぽく見えることもある
正絹(シルク)肌触りが良い、高級感がある、襟が決まりやすい水洗い不可が多い、黄ばみやすい、高い

初心者さんには、汚れても気兼ねなく洗えるポリエステル(洗える半襟)が扱いやすくておすすめです。

3. 裁縫道具以外に準備しておくと便利なもの

針と糸のほかに、アイロンがあると作業がスムーズになります。つける前に半襟にアイロンをかけて折り目をつけておくと、縫う時のズレが防げるからです。

また、着物専用の「衿ピン」や「安全ピン」も、縫わずに止める裏技を使う時に活躍します。必ずしも専用の道具でなくて大丈夫ですので、家にあるものを活用しましょう。

初心者でもできる簡単な半襟の付け方とは?

「お裁縫はボタン付けくらいしかできない」という方でも大丈夫です。半襟は着てしまえば見えない部分が多いので、完璧に縫う必要はありません。

きれいに縫うことよりも、「外れないこと」「表から縫い目が見えないこと」の2点が守られていればOKです。簡単な方法を3つご紹介します。

1. 針と糸を使わずに両面テープで貼る方法

一番簡単なのが、半襟専用の両面テープを使う方法です。地衿にテープを貼り、その上から半襟をペタッと貼るだけ。縫う手間が一切ありません。

  • 半襟用両面テープ

専用のテープは粘着力が絶妙で、着ている間は剥がれず、外す時は生地を傷めずに剥がせます。文房具のテープだと糊が残ることがあるので、必ず和装専用のものを使いましょう。

2. ざっくりと大きめの波縫いでつける方法

針を使う場合も、細かく縫う必要はありません。3センチくらいの大きな波縫い(ザクザク縫い)で十分止まります。

内側(首に当たる方)は少し丁寧に、外側(着物の下になる方)はもっと大雑把でも大丈夫です。縫い目が表に出ないようにだけ気をつければ、15分ほどで完成します。

3. 安全ピンを使って応急処置的に留める方法

「今すぐ出かけなきゃいけない!」という時の緊急手段として、安全ピンで留める方法もあります。

襟の裏側から、地衿と半襟を数箇所ピンで留めます。肌にピンが当たらないように向きに注意が必要ですが、縫う時間がない時の救世主です。ただし、あくまで応急処置なので、帰宅したら外してくださいね。

半襟がついている長襦袢を洗濯する時の疑問

無事に半襟がついた長襦袢を着て、お出かけから帰ってきた後。「これって、このまま洗濯機に入れていいの?」と迷うことがあります。

メンテナンスの方法を間違えると、せっかくつけた半襟がシワシワになったり、長襦袢ごと縮んでしまったりするかもしれません。

1. 半襟をつけたままで洗濯機で洗える素材か確認する

まず、長襦袢本体と半襟、両方の素材を確認します。両方ともポリエステル(化繊)であれば、ネットに入れて洗濯機で丸洗いが可能です。

この「手軽さ」がポリエステルの最大の魅力ですね。脱水時間を短くして、形を整えて干せば、アイロンがけも最小限で済みます。

2. 洗うと縮んでしまう正絹(シルク)の場合の扱い

もし、どちらか片方でも正絹(シルク)が使われている場合は、水洗いは避けましょう。正絹は水に濡れると縮む性質があり、一度縮むと元のサイズには戻りません。

特に「半襟はポリだけど長襦袢は絹」という組み合わせは要注意です。この場合は半襟だけを外して洗い、長襦袢は陰干しするかクリーニングに出すのが正解です。

3. 半襟の汚れがひどい時は外して洗うのが基本

素材に関わらず、ファンデーションの汚れがひどい時は、外して洗うのが一番きれいに落ちます。

つけたまま洗うと、襟の内側に汚れが溜まったままになったり、襟芯を通す部分の糊が取れて型崩れしたりすることがあります。「数回着たら外してしっかり洗う」というサイクルを作ると、いつも清潔な襟元を保てますよ。

季節によって付け替える必要があるのか

最後に、季節による半襟のルールについて少しだけ触れておきます。洋服に衣替えがあるように、半襟にも夏用とそれ以外用があります。

「暑いから」という理由だけでなく、着物のマナーとして使い分けることが一般的です。

1. 10月から5月までは通常の白い半襟を使う

秋から春にかけての長い期間は、「塩瀬」や「縮緬(ちりめん)」といった、透け感のない生地の半襟を使います。

私たちが普段「半襟」と聞いてイメージするのはこのタイプです。とりあえずこのタイプがついていれば、一年のうちの半分以上はカバーできます。

2. 6月から9月の夏場は絽(ろ)や紗(しゃ)の半襟にする

汗ばむ季節になると、着物も薄物(うすもの)に変わります。それに合わせて、半襟も「絽(ろ)」や「紗(しゃ)」といった、メッシュ状の透ける素材に付け替えます。

見た目にも涼やかですし、風通しが良いので首元の蒸れを軽減してくれます。夏用の長襦袢には、最初からこの夏用半襟がついていることが多いですね。

3. 季節の変わり目に交換するタイミング

衣替えのタイミング(6月と10月)は、半襟を付け替える良いきっかけになります。

長襦袢をしまう前に半襟を外して洗い、次に出す時には季節に合った新しい半襟をつける。このリズムができると、着物生活がよりスムーズで快適なものになりますよ。

まとめ

長襦袢の半襟は、小さいパーツですが着物の仕上がりを左右する大切な存在です。最初は見分けるのに戸惑うかもしれませんが、一度触って違いがわかれば、すぐに判断できるようになります。

もしついていなくても、焦る必要はありません。
お店に頼んでもいいですし、便利なテープを使って自分でつけることもできます。ご自身の器用さや時間の余裕に合わせて、一番楽な方法を選んでください。

半襟がピシッと決まると、不思議と背筋も伸びるものです。
きれいな襟元で、自信を持って着物のおしゃれを楽しんでくださいね。

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