帯揚げや帯締めの色は?喪服着物を自分で着付ける際の手順と小物のルールを紹介

急な訃報に接し、喪服着物の準備に追われていませんか?いざ着るとなると、帯揚げや帯締めの色はこれで合っているのか、自分で着付けられるだろうかと不安になるものです。

喪服は故人を偲ぶための正装であり、マナーを守ることが何より大切です。この記事では、喪服着物の基本的なルールから、初心者でも失敗しない着付けの手順までをわかりやすく解説します。あわてずに準備を整えて、心静かにお見送りができるようにお手伝いしますね。

目次

喪服着物とは?着用する場面

喪服着物とは、葬儀や告別式などで着用する最も格式高い着物のことです。黒紋付とも呼ばれ、日本人として人生の節目に袖を通す大切な衣裳といえます。洋装のブラックフォーマルが増えていますが、着物姿は遺族や参列者の悲しみの深さを表すとも言われますね。

1. お通夜や告別式での装い

お通夜や告別式では、喪主や親族は第一礼装である「黒紋付」を着用するのが一般的です。これは五つ紋が入った黒無地の着物で、最も格が高い装いになります。

一方で、参列者として出席する場合は、少し控えめな装いが求められることもあります。最近では「平服でお越しください」という案内も増えましたが、着物で参列することで故人への敬意をより深く表現できるでしょう。

2. 正喪服と準喪服の違いとは?

喪服には「正喪服」と「準喪服」、そして「略喪服」という格の違いがあることをご存じでしょうか?立場によって選ぶべき着物が変わってくるので注意が必要です。

  • 正喪服
  • 準喪服
  • 略喪服

正喪服は、喪主や親族が着用する五つ紋の黒紋付です。これに対し準喪服は、寒色系の無地着物に三つ紋や一つ紋を入れたもので、通夜や法事などで着用されます。略喪服は、地味な色合いの江戸小紋などを指し、一般参列者が着ることが多いですね。

喪服に合わせる帯揚げと帯締めの色

喪服を着る際、最も間違いが許されないのが小物の色選びです。着物自体が黒なので、帯周りの小物が全体の印象を大きく左右します。ここを間違えるとマナー違反になってしまうので、しっかり確認していきましょう。

1. 基本は「黒」で統一する

喪服に合わせる帯揚げと帯締めは、必ず「黒」のものを選びます。これは悲しみを表す色であり、他の色が混じることはマナー違反とされています。

お祝いの席では華やかな色を使いますが、弔事では一切の色味を排除するのがルールです。もし手持ちに黒がない場合は、代用品を使わず、必ず喪服専用のものを購入してくださいね。

2. 光沢のない素材を選ぶ理由

色は黒なら何でも良いというわけではありません。素材選びにも重要なポイントがあります。それは「光沢のないもの」を選ぶということです。

金糸や銀糸が入っているものはもちろん、ツヤのある綸子(りんず)などの素材は避けます。ちりめんのような、シボがあり光沢を抑えた素材が喪服には適しています。光るものは「涙」を連想させるとも言われ、避けるのが古くからの習わしですね。

3. 帯締めの房の向きと整え方

帯締めを結んだ後、房の向きを気にしたことはありますか?実は慶事と弔事では、房の向きが逆になるという決まりがあります。

  • 房の向きを下に向ける

喪服の場合は、帯締めの房を必ず「下」に向けます。これは「悲しみを流す」という意味が込められていると言われています。逆に上に向けると「喜びを受け止める」という意味になり慶事用となるので、鏡を見てしっかり確認しましょう。

喪服の着付けに必要な小物の選び方

着物や帯だけでなく、肌に直接触れる下着や足元の小物にも細かいルールがあります。見えない部分だからと気を抜かず、正しいものを選ぶことで、着姿全体が引き締まりますよ。白と黒の使い分けがポイントです。

1. 長襦袢と半衿は「白」を選ぶ

着物の下に着る長襦袢と、その衿に付ける半衿は「白」を選びます。喪服は黒一色ですが、衿元だけは白く清らかにするのが決まりです。

長襦袢は白の無地で、地紋(生地の織り柄)があっても構いませんが、吉祥文様などのめでたい柄は避けたほうが無難ですね。半衿も白の塩瀬(しおぜ)など、すっきりとした素材を選びましょう。

2. 足袋もこはぜ付きの「白」が基本

足元に合わせる足袋も、必ず「白」を着用します。普段着の着物では色足袋や柄足袋を楽しむこともありますが、喪服の時は厳禁です。

素材はキャラコなどの綿素材で、4枚こはぜ、または5枚こはぜのしっかりしたものを選びます。ストレッチ足袋は楽ですが、正式な場ではこはぜ付きの方が美しく見えますし、気持ちも引き締まりますよ。

3. 草履とバッグは布製の「黒」

草履とバッグは、帯揚げ・帯締めと同様に「黒」で統一します。ここで注意したいのが素材です。革製品は殺生を連想させるため、本来は避けるべきとされています。

布製の黒い草履とバッグのセットが喪服用として販売されているので、それを用意するのが一番安心です。光沢のないマットな布地で、金具なども目立たないシンプルなデザインのものを選びましょう。

着付けを始める前の準備

自分で着付けをするなら、事前の準備が成功の8割を決めると言っても過言ではありません。いざ着始めてから「あれがない!」と慌てないように、道具を使いやすい位置にセットしておきましょう。

1. 必要な道具を手の届く場所に置く

着付けに必要な腰紐や伊達締め、クリップなどは、あらかじめ取り出しやすい場所に並べておきます。鏡の前から動かずに手が届く位置がベストです。

  • 腰紐(3〜4本)
  • 伊達締め(2本)
  • 帯板
  • 帯枕
  • コーリンベルト

これらをパッケージから出し、すぐに使える状態にしておきます。特に腰紐は、真ん中を持ってすぐに結べるようにしておくとスムーズですよ。

2. 体型補正用のタオルを用意する

着物を美しく着るためには、体の凹凸をなくして寸胴(ずんどう)にすることが大切です。特にウエストのくびれや胸元の補正は欠かせません。

薄手のフェイスタオルを3〜4枚用意し、補正が必要な部分に当てておきます。補正をしっかりすることで、着崩れを防ぐだけでなく、帯の安定感も増します。喪服はシワが目立ちやすいので、このひと手間が仕上がりを大きく変えますよ。

3. 半衿を長襦袢に縫い付けておく

意外と忘れがちなのが、長襦袢への半衿付けです。着る直前になって「半衿が付いていない!」と気づくとパニックになりますよね。

前日までに必ず確認し、付いていなければ縫い付けておきます。縫い目が粗くても見えなくなる部分なので大丈夫ですが、衿芯を通せるように縫うことを忘れないでくださいね。衿芯を通すことで、衣紋が綺麗に抜けて凛とした後ろ姿になります。

手順1:肌着から長襦袢を着る流れ

準備が整ったら、いよいよ着付けのスタートです。まずは土台となる肌着と長襦袢を着ていきます。ここが緩んでいると、後から着る着物が崩れる原因になるので、しっかりと着付けることが重要です。

1. 肌襦袢と裾除けの身につけ方

最初に肌襦袢と裾除け(またはワンピースタイプの肌着)を身につけます。裾除けは、巻きスカートのように腰に巻きつけます。

この時、裾の高さが着物から出ないように少し短めに合わせるのがコツです。肌襦袢は背中の縫い目が体の中心に来るように合わせ、衿ぐりを深めに抜いておくと、長襦袢の衣紋が抜きやすくなりますよ。

2. 長襦袢の衣紋(えもん)の抜き加減

次に長襦袢を羽織ります。ここで最も重要なのが「衣紋を抜く」ことです。首の後ろにこぶし一つ分くらいの隙間を開けます。

喪服の場合は、あまり抜きすぎるとだらしない印象を与えてしまうので注意が必要です。こぶし一つ分を目安に、上品な抜き加減を意識しましょう。衿先を持って背中心を合わせ、左右対称になるように整えます。

3. 胸紐で長襦袢を固定する方法

衣紋が決まったら、胸紐を使って長襦袢を固定します。胸の下あたりで紐を結びますが、この時空気を抜くようにシワを伸ばすのがポイントです。

  • 背中のシワを脇に寄せる
  • 紐が苦しくないか確認する

紐を結んだ後、背中の中心から左右の脇に向かって手を入れてシワを伸ばします。この工程を丁寧に行うことで、背中がスッキリとし、着物を着た時の後ろ姿が格段に美しくなります。

手順2:喪服着物をきれいに着るコツ

長襦袢が着られたら、いよいよ黒紋付を羽織ります。黒い生地は白い汚れやシワが目立ちやすいので、手早く丁寧に扱うことが大切です。鏡を見ながら、左右のバランスに気をつけて進めていきましょう。

1. 裾の長さ(着丈)の決め方

着物を羽織り、袖を通したら、まずは裾の長さを決めます。これを「着丈(きたけ)」と言います。床すれすれの長さに合わせるのが基本です。

喪服は格式高い着物なので、短すぎるとカジュアルに見えてしまいます。逆にかかとを踏んでしまうほど長いのも歩きにくいので、床に触れるか触れないかギリギリのラインを狙ってください。背筋を伸ばして鏡で見るとわかりやすいですよ。

2. 腰紐を結ぶ位置と強さ

着丈が決まったら、腰骨の少し高い位置で腰紐を結びます。ここは着物全体を支える重要なポイントなので、少しきつめに結ぶのがコツです。

  • 腰骨の上あたりで結ぶ
  • 結び目は体の中心を避ける

おへその上あたりで結ぶと苦しくなりにくいと言われています。結び目が中心にあると帯とかさばって痛くなることがあるので、少し左右にずらしておくと良いですね。

3. おはしょりをきれいに整える方法

腰紐を結んだ後にできる、帯の下に出る部分を「おはしょり」と言います。ここがモコモコしていると太って見えてしまうので、平らに整えましょう。

身八つ口(脇の空いている部分)から手を入れて、前後の余分な布を下へ引きます。さらに、おはしょりの下のラインが斜めにならず、床と平行になるように整えると、きちんとした印象になりますよ。

手順3:喪服の帯の結び方(お太鼓結び)

着物の着付けにおける最大の難関、帯結びです。喪服では「黒共帯(くろともおび)」と呼ばれる名古屋帯を使い、「一重太鼓(いちじゅうだいこ)」という結び方をするのが一般的です。不幸が重ならないように、二重太鼓は避けます。

1. 黒共帯(名古屋帯)を使った一重太鼓の手順

名古屋帯の手先(短い方)を肩にかけ、胴に2回巻きます。帯を締める時は、息を吸ってから吐き切ったタイミングで引くと緩みにくいですよ。

タレ(長い方)を使ってお太鼓の形を作りますが、喪服の場合はお太鼓の大きさを少し小さめに、低めの位置に作ると落ち着いた印象になります。大きすぎると華やかになりすぎてしまうので、控えめを意識してみてください。

2. 前帯の幅出しと帯揚げの処理方法

帯を巻き終えたら、帯揚げを結びます。喪服の帯揚げは、あまりふっくらさせず、すっきりと納めるのがマナーです。

  • 本結びにする
  • 余分な布を帯の中にしっかり隠す

結び目が胸元の中心に来るようにし、端を帯の中に深く押し込みます。白い長襦袢と黒い帯の間を、黒い帯揚げが綺麗に埋めるように整えましょう。

3. 帯締めの結び方と余り分の始末

最後に帯締めを結んで、お太鼓を固定します。先ほどもお伝えしましたが、房が下を向くように結ぶのが鉄則です。

結び目は体の中心にきっちりと合わせます。余った紐は、脇の方で帯締めに挟み込みますが、この時も房が下を向くように挟んでください。これで着付けの完成です。

着付けの仕上がりを確認するポイント

全て着終わったら、最後に全身を鏡でチェックします。自分では完璧だと思っていても、意外なところが乱れているものです。出かける前にこの3点だけは必ず確認してください。

1. 背中の中心(背中心)が合っているか

後ろ姿のチェックは忘れがちですが、参列中はずっと背中を見られることになります。着物の背中の縫い目(背中心)が、背骨のラインに真っ直ぐ沿っているか確認しましょう。

もしズレていたら、ズレている方の袖口を軽く引いて調整します。背中心が通っていると、それだけで着付け上手に見えますよ。

2. 衿の合わせは「右前」になっているか確認

これは着物の大原則ですが、衿合わせは必ず「右前」になっているか再確認してください。右前とは、相手から見て小文字の「y」の字になる合わせ方です。

  • 左の衿が上に来る
  • 右手が懐(ふところ)に入る状態

逆に左前(右の衿が上)にしてしまうと、亡くなった方の着せ方(死装束)になってしまいます。縁起が悪いので、これだけは絶対に間違えないように注意しましょう。

3. お太鼓の大きさや位置のバランス

最後にお太鼓の形を見直します。傾いていたり、位置が高すぎたりしていませんか?帯枕の紐が緩んでいると、お太鼓が下がってきてしまうことがあります。

お太鼓の下のラインが真っ直ぐになっているかも重要です。鏡に背中を映して、首をひねって確認するか、家族に見てもらうと安心ですね。

喪服着物の紋(家紋)についての知識

喪服着物には必ず家紋が入っています。この家紋の数や種類によって、着物の格が決まるという非常に重要な役割を持っています。自分の着物にいくつの紋が入っているか、知っていますか?

1. 五つ紋・三つ紋・一つ紋の違い

紋の数には「五つ紋」「三つ紋」「一つ紋」の3種類があり、数が多いほど格が高くなります。

紋の数着物の種類着用シーン
五つ紋正喪服(黒紋付)葬儀・告別式の喪主・親族
三つ紋準喪服(色無地など)通夜・法事の親族・近親者
一つ紋略喪服(色無地・江戸小紋)通夜・法事の一般参列者

五つ紋は背中、両胸、両袖の後ろに入っています。喪主として参列する場合は、必ずこの五つ紋の着物を着用します。

2. 実家の家紋か婚家の家紋か

女性の場合、喪服に入れる紋を実家の紋にするか、嫁ぎ先の紋にするかで迷うことがあります。地域や家の方針によって異なりますが、一般的には以下のようになります。

関西地方などでは「女紋」といって、母から娘へと代々受け継ぐ紋を入れる習慣があります。一方、関東では婚家の紋を入れることが多いようです。着物を作る前に、両家の親や親戚に確認しておくのが一番トラブルが少ない方法です。

季節に合わせた喪服の選び方

着物には「衣替え」のルールがあり、季節によって仕立て方が異なります。喪服も例外ではなく、葬儀が行われる時期に合わせて適切な着物を選ばなければなりません。暑い時期に無理して冬物を着る必要はありませんよ。

1. 10月から5月は裏地のある「袷(あわせ)」

1年のうちで最も長く着用されるのが「袷(あわせ)」です。これは裏地がついている着物のことで、秋から春にかけての寒い時期に着ます。

着物の種類特徴
10月〜5月袷(あわせ)裏地あり。透けない。
6月・9月単衣(ひとえ)裏地なし。透けない。
7月・8月絽(ろ)裏地なし。透ける素材。

一般的に「喪服を持っています」という場合、この袷の喪服を指すことが多いですね。しっかりとした生地感で重厚感があります。

2. 6月と9月は裏地のない「単衣(ひとえ)」

季節の変わり目である6月と9月には、「単衣(ひとえ)」という着物を着ます。これは袷と同じ生地を使っていますが、裏地を付けずに仕立てたものです。

見た目は袷とあまり変わりませんが、着てみると軽くて通気性が良いのがわかります。最近は温暖化の影響で、5月や10月でも暑い日は単衣を着ることが許容されつつあります。

3. 7月と8月は透ける素材の「絽(ろ)」

真夏の7月と8月は、「絽(ろ)」や「紗(しゃ)」といった透ける素材の薄物(うすもの)を着ます。特に喪服では「絽」が一般的です。

縞模様のような透け感があり、見た目にも涼しげです。この時期は長襦袢や帯、帯揚げなどの小物もすべて夏用の透ける素材(絽や麻など)に変える必要があります。冬用の小物を合わせないように気をつけてくださいね。

まとめ

喪服着物の着付けやルールについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

最初は「黒一色だから簡単そう」と思っても、素材や小物のルール、着付けの手順など、意外と奥が深いことに気づかれたかもしれません。特に「帯締めは黒」「房は下向き」「衿は右前」といった基本ルールは、故人への敬意を表すためにも絶対に守りたいポイントです。

今はレンタルという選択肢もありますし、着付けをプロに頼むこともできます。しかし、一つ一つの意味を知った上で、自分で袖を通すことができれば、故人を送る気持ちもより深まるのではないでしょうか。

もしもの時に慌てないよう、一度タンスを開けて、喪服や小物の状態をチェックしてみてください。風を通しておくだけでも、いざという時の安心感が違いますよ。

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